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8話
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さて、どうやって帰ろうかしら?
ここは学園の門前。たくさんの馬車が止まっている。それぞれ家からの迎えの馬車ね。平民や下位貴族は徒歩や借用馬車の人も多い。高位貴族は家で持っている紋章付きの馬車ね。護衛や使用人付き。貴族の紋章入りの馬車は精鋭が集まった護衛がついているので襲われる事はめったにない。襲われるのは主に商人の馬車や誰が乗っているかわからない乗合馬車ね。
ってそんなことは今どうでもいいのよね。なんだかざわざわしている。ああ。フォーテール男爵家の馬車が来たのね。金ぴかの馬車なんてね。馬鹿じゃないの?リリアの迎えによこされたのは金でできた豪奢な馬車。あっ私は乗らないわよ?
リリアと5日間も同じ空間にいたらストレスで禿げてしまうわ。それに私のための馬車なんてないからね。厄介者なのよ。私はフォーテール男爵家のね。まあどうせもうすぐ関わることもないからいいんだけどね。母の遺品だけは絶対に持ち出すわ。
それにしても本当にフォーテール男爵家にはバカしかいないのかしら?あんな馬車、襲ってくれと言っているようなものじゃない。護衛に腕の利く冒険者パーティーは雇っているみたいだけれどあんなの忠誠心のかけらもないわ。自分たちのふりを悟れば護衛対象を命がけで守るわけもなく逃げ出すでしょうね。盗賊にとってこれ以上ない最高のかもね。馬車は解体して売ればいいしリリアを人質に搾り取れるだけお金を搾り取ればいい。
私のせいにされるのも面倒だから予防線を張っておきましょう。
「リリア、これで帰るつもりなの?悪いことは言わないわ。やめておきなさい。危険よ。」
「あらぁ?お姉さま。羨ましいんでしょう?あっは!土下座して頼むなら乗せてあげないこともないわよ?」
「はあ~、忠告はしたわよ。それじゃ」
ほんと、救いようもないほど馬鹿ね。どうなっても知らないわ。
さて、どうやって帰ろうかしら?あっ、目の前に留まった黒塗りの上質な馬車。見覚えがある。ああ、やっぱり。ジークハルト様ね。お帰りになられるのね。
ぼーっとみんなが馬車に乗り込むのを荷物を抱えてみていた。すると視界が暗くなった。
「どうした?帰らないのか?」
「?!ジークハルト様!あの?先ほどお帰りになられたのでは?」
「ああ、少し気になることがあってな。先ほど見ていたのだが‥‥。」
「お恥ずかしいところを‥‥。今帰るところです。」
「‥‥馬車がないようだが?」
見渡してみるとほとんどの生徒がいなくなっていた。馬車もほとんど残っていない。
「ええ。まあ‥‥。」
「まさかないのか?!‥‥フォーテール男爵は何を考えているんだ。送っていこう。」
「それには及びません。ご迷惑をおかけするわけにはまいりませんし。一人で帰るのも初めてではありません。」
「だが危険だ。頼む、私が心配なんだ。送らせてくれ。」
「ですが‥‥失礼ですけれど反対方向でしょう?」
「ああ、だがフォーテール男爵家への道中にカニューレ街があるだろう?そこに用があるんだ。だから心配には及ばない。」
これだけ言っていただいて断るのは失礼にあたる。
「お手数をおかけしますがお願いしてもよろしいですか?」
「よかった!乗ってくれ。」
さすが公爵家の馬車。中にあるソファはふかふかだし振動もほとんど感じない。快適すぎる!!
ここは学園の門前。たくさんの馬車が止まっている。それぞれ家からの迎えの馬車ね。平民や下位貴族は徒歩や借用馬車の人も多い。高位貴族は家で持っている紋章付きの馬車ね。護衛や使用人付き。貴族の紋章入りの馬車は精鋭が集まった護衛がついているので襲われる事はめったにない。襲われるのは主に商人の馬車や誰が乗っているかわからない乗合馬車ね。
ってそんなことは今どうでもいいのよね。なんだかざわざわしている。ああ。フォーテール男爵家の馬車が来たのね。金ぴかの馬車なんてね。馬鹿じゃないの?リリアの迎えによこされたのは金でできた豪奢な馬車。あっ私は乗らないわよ?
リリアと5日間も同じ空間にいたらストレスで禿げてしまうわ。それに私のための馬車なんてないからね。厄介者なのよ。私はフォーテール男爵家のね。まあどうせもうすぐ関わることもないからいいんだけどね。母の遺品だけは絶対に持ち出すわ。
それにしても本当にフォーテール男爵家にはバカしかいないのかしら?あんな馬車、襲ってくれと言っているようなものじゃない。護衛に腕の利く冒険者パーティーは雇っているみたいだけれどあんなの忠誠心のかけらもないわ。自分たちのふりを悟れば護衛対象を命がけで守るわけもなく逃げ出すでしょうね。盗賊にとってこれ以上ない最高のかもね。馬車は解体して売ればいいしリリアを人質に搾り取れるだけお金を搾り取ればいい。
私のせいにされるのも面倒だから予防線を張っておきましょう。
「リリア、これで帰るつもりなの?悪いことは言わないわ。やめておきなさい。危険よ。」
「あらぁ?お姉さま。羨ましいんでしょう?あっは!土下座して頼むなら乗せてあげないこともないわよ?」
「はあ~、忠告はしたわよ。それじゃ」
ほんと、救いようもないほど馬鹿ね。どうなっても知らないわ。
さて、どうやって帰ろうかしら?あっ、目の前に留まった黒塗りの上質な馬車。見覚えがある。ああ、やっぱり。ジークハルト様ね。お帰りになられるのね。
ぼーっとみんなが馬車に乗り込むのを荷物を抱えてみていた。すると視界が暗くなった。
「どうした?帰らないのか?」
「?!ジークハルト様!あの?先ほどお帰りになられたのでは?」
「ああ、少し気になることがあってな。先ほど見ていたのだが‥‥。」
「お恥ずかしいところを‥‥。今帰るところです。」
「‥‥馬車がないようだが?」
見渡してみるとほとんどの生徒がいなくなっていた。馬車もほとんど残っていない。
「ええ。まあ‥‥。」
「まさかないのか?!‥‥フォーテール男爵は何を考えているんだ。送っていこう。」
「それには及びません。ご迷惑をおかけするわけにはまいりませんし。一人で帰るのも初めてではありません。」
「だが危険だ。頼む、私が心配なんだ。送らせてくれ。」
「ですが‥‥失礼ですけれど反対方向でしょう?」
「ああ、だがフォーテール男爵家への道中にカニューレ街があるだろう?そこに用があるんだ。だから心配には及ばない。」
これだけ言っていただいて断るのは失礼にあたる。
「お手数をおかけしますがお願いしてもよろしいですか?」
「よかった!乗ってくれ。」
さすが公爵家の馬車。中にあるソファはふかふかだし振動もほとんど感じない。快適すぎる!!
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