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5話
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公爵家の結婚式ともあって式は盛大に行われた。出席者の席には錚々たる面々が揃っていた。第一王子殿下から直接お祝いの言葉を賜る。
次々に訪れる賓客をもてなし、祝辞を受け取り笑顔で応対する。
正直言って疲れた‥‥。主役だから抜けるわけにもいかないし。はぁ~、早く終わらないかしら?
挨拶って疲れるのよね。政治的な駆け引きもさることながら令嬢たちからの棘のある言葉がね。まあ仕方ないのだろうけど。こうなることは覚悟の上だったのだから。
「ああ、済まない。そろそろ父上達に挨拶に行かなければ。では失礼する。さあ、行こう。ダリア。」
「ええ、失礼させていただきますわ。」
手を組んで移動する。恥ずかしいけれどこれは必要なこと。
「あの?どこへいかれるんです?義父様たちへ挨拶に行かれるのでは‥‥?」
「ああ、疲れただろう。少しくらい休憩しても咎められないさ。」
「まあ!お気遣い痛み入ります。」
悪い人ではないのよね。スマートにエスコートしてくれるしこちらを気遣ってくれる。その上イケメンだし公爵家で財力も申し分ない。そりゃあ年頃の令嬢が夢中にもなるはずよねぇ。
少し休憩をしてから公子のご両親にご挨拶をした。身分差の結婚だけれどとても喜んでくださったわ。
結婚式も無事に終わり、既に爵位を継いでいるルーカス公子と公爵邸で暮らし始めた。
私は公爵夫人として恥のないように礼儀も教養もものすごく頑張ったおかげで問題なく仕事もこなせている。
相変わらず令嬢たちからの嫉妬はすごいみたいだけれど公爵夫人となった私に表立って何かするわけでもないから放置ね。
「あら?マーサ。この花はどうしたの?」
ふと目に止まったのはテーブルの上に飾られた花瓶の中の淡い青色のネモフィラ。レオが1番好きだった花でなんとも懐かしい気持ちになる。
「ああ、こちらは公爵様がお好きな花だそうで今の時期には必ず飾ってあるんだそうですよ。」
「そう‥‥。」
「お嫌いでしたか?」
「いいえ、私も好きよ。とってもね。でも‥‥いいえ、何でもないわ。」
「紅茶を淹れてまいりますね。」
「ふふっ、お願い。」
パタン
マーサが下がって1人になる。偶然‥‥よね。ネモフィラが好きな人なんてたくさんいるわよね。
考えすぎ‥‥考えすぎだわ。最近、夢を見ているせいね。楽しかった思い出が夢となって見れるのは嬉しいけれど‥‥。
でもやっぱり綺麗ね~。枯れてしまうのが勿体無いくらい。一輪栞にしてとっておこうかしら?そうすれば枯れることはないわ。
次々に訪れる賓客をもてなし、祝辞を受け取り笑顔で応対する。
正直言って疲れた‥‥。主役だから抜けるわけにもいかないし。はぁ~、早く終わらないかしら?
挨拶って疲れるのよね。政治的な駆け引きもさることながら令嬢たちからの棘のある言葉がね。まあ仕方ないのだろうけど。こうなることは覚悟の上だったのだから。
「ああ、済まない。そろそろ父上達に挨拶に行かなければ。では失礼する。さあ、行こう。ダリア。」
「ええ、失礼させていただきますわ。」
手を組んで移動する。恥ずかしいけれどこれは必要なこと。
「あの?どこへいかれるんです?義父様たちへ挨拶に行かれるのでは‥‥?」
「ああ、疲れただろう。少しくらい休憩しても咎められないさ。」
「まあ!お気遣い痛み入ります。」
悪い人ではないのよね。スマートにエスコートしてくれるしこちらを気遣ってくれる。その上イケメンだし公爵家で財力も申し分ない。そりゃあ年頃の令嬢が夢中にもなるはずよねぇ。
少し休憩をしてから公子のご両親にご挨拶をした。身分差の結婚だけれどとても喜んでくださったわ。
結婚式も無事に終わり、既に爵位を継いでいるルーカス公子と公爵邸で暮らし始めた。
私は公爵夫人として恥のないように礼儀も教養もものすごく頑張ったおかげで問題なく仕事もこなせている。
相変わらず令嬢たちからの嫉妬はすごいみたいだけれど公爵夫人となった私に表立って何かするわけでもないから放置ね。
「あら?マーサ。この花はどうしたの?」
ふと目に止まったのはテーブルの上に飾られた花瓶の中の淡い青色のネモフィラ。レオが1番好きだった花でなんとも懐かしい気持ちになる。
「ああ、こちらは公爵様がお好きな花だそうで今の時期には必ず飾ってあるんだそうですよ。」
「そう‥‥。」
「お嫌いでしたか?」
「いいえ、私も好きよ。とってもね。でも‥‥いいえ、何でもないわ。」
「紅茶を淹れてまいりますね。」
「ふふっ、お願い。」
パタン
マーサが下がって1人になる。偶然‥‥よね。ネモフィラが好きな人なんてたくさんいるわよね。
考えすぎ‥‥考えすぎだわ。最近、夢を見ているせいね。楽しかった思い出が夢となって見れるのは嬉しいけれど‥‥。
でもやっぱり綺麗ね~。枯れてしまうのが勿体無いくらい。一輪栞にしてとっておこうかしら?そうすれば枯れることはないわ。
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