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15話

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「エレノア様!結果が出ましたのでお越しください。」

呼ばれた!ドキドキするわ。

「はい!」

試験室へ通される。

「あの‥‥結果は?まっまさか不合格ですか?!」

不安げに問いかける姿は庇護欲をそそるなんともまあ可愛らしいのだが本人は全く気づいていない。

「いえ、合格ですよ。本当に素晴らしい腕ですね。」

嬉しい!これで薬師として活動できるのね!!

「あっ、ありがとうございます!」

頬を染めてふわりと微笑む彼女はその美しさに気づいていない。

「ところで今後どうなさるおつもりですか?当ギルドで販売を委託していただくこともできますがご自分で店を持つおつもりでしょうか?」

「ええ~と、しばらくは販売を委託しようかと‥‥。ある程度お金が貯まったら小さなお店を建てようと思っていまして。そこで薬を販売しようかと‥‥。症状に合わせて調合したりする診療所も併設して。」

「なるほど‥‥。当ギルドでは単体の薬の取引もしておりますがもしご契約いただけるのでしたら月一回ギルドからの依頼の薬を納品していただくこともできますよ。そちらの方が収入も安定しますしギルドとしても大変助かります。それからもし物件を買う時も当ギルドをぜひご利用ください。物件の販売も行っておりますのでお役に立てるかと。」

「そうなのですね。物件探しの時はお願いしますね。あの、では月一回の契約でお願いしてもよろしいでしょうか?あの‥‥1人で作るのでそこまで数はご用意できないのですが‥‥。」

「はい、構いませんよ。需要が特に大きいのはポーションですね。月一回、初級ポーション20個、中級ポーション10個、上級ポーション5個の納品は可能でしょうか?」

「はい!問題ないです。」

「その月にもよりますが追加で作っていただきたいものがあるときは随時ご相談して納品していただく形になります。よろしいでしょうか?」

「はい!」

「それではこちらの契約書をーー。」

その後、契約に関する説明を受けた。

納品するのは月に一回、ポーションを決まった数。

必要によっては別の薬もおろすことになる。

契約は3ヶ月に一回ごとに更新する。

安定した収入を確保できたわ。これは嬉しい誤算ね。

生活費には当分困ることはなさそうね。

ええと、調合に必要な道具も揃えないと‥‥。

んー?あとはそうね。

今持ってる荷物の整理もしないと。

ふふっ、忙しいけれどこんなに楽しくて充実しているのは初めてだわ。

知らない地へ1人で向かうのはとても不安だったけれど街の人は親切だし本当に毎日が新鮮で楽しいわ。

ここへ来てよかった。

まだ数日しか過ごしていないけれど心からそう思える。

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