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5話 sideエミリア
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おかしい。
こんなはずじゃなかったのに‥‥。
あの婚約破棄の日から徐々に周りは変わっていった。
エレノアお姉様はレナード様を愛していたから泣いて縋るはずだったのに!!
それなのになんなのよ!!
全然想像と違った。
美しく着飾って令嬢らしく完璧なマナーで‥‥。
今まで地味なドレスばかりのパッとしない令嬢として私の影になっていたのに。
あの日全てが変わってしまった。
レナード様は少し動揺しながらもなんとか婚約破棄はしてくれた。
けれどあのあと会いにきてくれない。
婚約破棄後は1ヶ月は新たな婚約を結べないことになっている。
だから仕方がないのだと思っていた。
なのに1ヶ月経ってもなんの連絡もない。
どうして?
お姉様と婚約破棄したら私と婚約してくれるって言ってたよね??
レナード様のことだけじゃない。
あの日お姉様の着ていたドレスがいつのまにか令嬢たちの間で流行になっていた。
お姉様の着ていたドレスは『ラグランシア』という人気ブティックで売っている。
でもそこには注文が殺到していなかなか買えない。
誰にも媚を売らずに商売をしているお店だからお金や権力があったって手に入らない。
私なんて門前払いされた。
どうやらそのブティックの主人はお姉様の親友らしい。
そのせいで流行のドレスを買えなくて私は令嬢たちの笑い物にされた。
あの日のお姉様の姿が美しくて気品に溢れていて令嬢たちの間で一気に憧れの的になっていた。
今まで私と一緒にバカにしてきたじゃない!!
私の取り巻きも離れて行った‥‥。
なんで??
どうしてこんなに上手くいかないの!!
挙句お父様とお母様までお姉様を気にし出す。
今まで興味なんてなかったくせに!!
今までの私の苦労が全て水の泡。
私の全てをお姉様が壊していく。
いつだって私たちは双子だということで比べられてきた。
とても似た顔で生まれた私たち。
ただ髪と瞳の色が違うだけ‥‥。
私は平凡な茶髪に薄いピンクの瞳。
お姉様は絹のように美しい銀髪にルビーを思わせるような紅い瞳。
顔のパーツは同じでも髪と瞳の色が違うだけで随分と印象は変わる。
誰もがお姉様の容姿を褒め称えた。
それに加えてお姉様は頭もよかった。
お姉様は教えてもらったことはすぐに吸収できて勉強だってすごく得意。
私は何度も教えてもらわないとできるようにならなかった。
私たちに教えてくれる教師たちはお姉様を褒めて私を裏で貶めていた。
魔力だって膨大に持っていたわ。
私には平均くらいの魔力しかないのに。
平凡な私と何もかもを持っているお姉様。
両親は冷淡な人で使えると思ったお姉様には愛情を注いでいたけれど私には関心がなかった。
たった数分早く生まれただけのお姉様。
たった数分の違いでお姉様は次期当主となり私はあまり物になった。
ねえ?少しくらい私にくれたっていいでしょう?
劣等感や寂しさを埋めるために私はお姉様のものを奪うようになった。
最初は与えられたものを。
だんだんと上手くいくたびにやめられなくなった。
お姉様は人が良くて優しいから騙すのは簡単だった。
お姉様の悪い噂を流して少しずつ周囲から孤立させていく。
時にはお姉様を装って悪さをしたりわざと水を被って泣きながらお姉様にやられたと訴えたり。
みんなが私を信じた。
最初はどうしてこんなに上手くいくのか不思議なくらいだった。
でもある日わかったの。
本を読んだ時に見つけた魔法。
それは魅了魔法だった。
私は無意識に魅了魔法を使っていた。
ただ無意識だったからそんなに効果は強くなかったけれど長い間時間をかけてやっていたから上手く行っていたみたい。
自分が魅了魔法が使えることがわかってからは大いにそれを利用した。
以前より格段に楽にことを運べるようになった。
そうやってお姉様からいろんなものを奪った。
お姉様の唯一の味方となった婚約者のレナード様だって私の魅了魔法にかかれば簡単に手に入れられた。
その愛が偽物だとしてもよかった。
これで全て奪ってやった。
邪魔者はいなくなった。
これで全てがうまくいく‥‥はずだったのに。
どうして????
何もうまくいかない。
むしろ悪くなっていくばかり。
なんなのよ!!もう!!!
こんなはずじゃなかったのに‥‥。
あの婚約破棄の日から徐々に周りは変わっていった。
エレノアお姉様はレナード様を愛していたから泣いて縋るはずだったのに!!
それなのになんなのよ!!
全然想像と違った。
美しく着飾って令嬢らしく完璧なマナーで‥‥。
今まで地味なドレスばかりのパッとしない令嬢として私の影になっていたのに。
あの日全てが変わってしまった。
レナード様は少し動揺しながらもなんとか婚約破棄はしてくれた。
けれどあのあと会いにきてくれない。
婚約破棄後は1ヶ月は新たな婚約を結べないことになっている。
だから仕方がないのだと思っていた。
なのに1ヶ月経ってもなんの連絡もない。
どうして?
お姉様と婚約破棄したら私と婚約してくれるって言ってたよね??
レナード様のことだけじゃない。
あの日お姉様の着ていたドレスがいつのまにか令嬢たちの間で流行になっていた。
お姉様の着ていたドレスは『ラグランシア』という人気ブティックで売っている。
でもそこには注文が殺到していなかなか買えない。
誰にも媚を売らずに商売をしているお店だからお金や権力があったって手に入らない。
私なんて門前払いされた。
どうやらそのブティックの主人はお姉様の親友らしい。
そのせいで流行のドレスを買えなくて私は令嬢たちの笑い物にされた。
あの日のお姉様の姿が美しくて気品に溢れていて令嬢たちの間で一気に憧れの的になっていた。
今まで私と一緒にバカにしてきたじゃない!!
私の取り巻きも離れて行った‥‥。
なんで??
どうしてこんなに上手くいかないの!!
挙句お父様とお母様までお姉様を気にし出す。
今まで興味なんてなかったくせに!!
今までの私の苦労が全て水の泡。
私の全てをお姉様が壊していく。
いつだって私たちは双子だということで比べられてきた。
とても似た顔で生まれた私たち。
ただ髪と瞳の色が違うだけ‥‥。
私は平凡な茶髪に薄いピンクの瞳。
お姉様は絹のように美しい銀髪にルビーを思わせるような紅い瞳。
顔のパーツは同じでも髪と瞳の色が違うだけで随分と印象は変わる。
誰もがお姉様の容姿を褒め称えた。
それに加えてお姉様は頭もよかった。
お姉様は教えてもらったことはすぐに吸収できて勉強だってすごく得意。
私は何度も教えてもらわないとできるようにならなかった。
私たちに教えてくれる教師たちはお姉様を褒めて私を裏で貶めていた。
魔力だって膨大に持っていたわ。
私には平均くらいの魔力しかないのに。
平凡な私と何もかもを持っているお姉様。
両親は冷淡な人で使えると思ったお姉様には愛情を注いでいたけれど私には関心がなかった。
たった数分早く生まれただけのお姉様。
たった数分の違いでお姉様は次期当主となり私はあまり物になった。
ねえ?少しくらい私にくれたっていいでしょう?
劣等感や寂しさを埋めるために私はお姉様のものを奪うようになった。
最初は与えられたものを。
だんだんと上手くいくたびにやめられなくなった。
お姉様は人が良くて優しいから騙すのは簡単だった。
お姉様の悪い噂を流して少しずつ周囲から孤立させていく。
時にはお姉様を装って悪さをしたりわざと水を被って泣きながらお姉様にやられたと訴えたり。
みんなが私を信じた。
最初はどうしてこんなに上手くいくのか不思議なくらいだった。
でもある日わかったの。
本を読んだ時に見つけた魔法。
それは魅了魔法だった。
私は無意識に魅了魔法を使っていた。
ただ無意識だったからそんなに効果は強くなかったけれど長い間時間をかけてやっていたから上手く行っていたみたい。
自分が魅了魔法が使えることがわかってからは大いにそれを利用した。
以前より格段に楽にことを運べるようになった。
そうやってお姉様からいろんなものを奪った。
お姉様の唯一の味方となった婚約者のレナード様だって私の魅了魔法にかかれば簡単に手に入れられた。
その愛が偽物だとしてもよかった。
これで全て奪ってやった。
邪魔者はいなくなった。
これで全てがうまくいく‥‥はずだったのに。
どうして????
何もうまくいかない。
むしろ悪くなっていくばかり。
なんなのよ!!もう!!!
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