2 / 2
二話
しおりを挟む
『お嬢様、準備もつつがなく完了いたしました。』
「そう、決行は明日。乗り込むわよ!」
『はい!!』
ーー翌日その日、王城は喧騒に包まれていた。
国外追放を言い渡され、国を去った悪女ことシルビアが大勢の兵を連れ城に押し入ってきたのだった。
『キャーッ!!助けてくださいぃ~!!』
甲高く不快な悲鳴をあげているのは自称ヒロインだ。
『おいっ!!なんだ!お前たちは!!
俺はこの国の王だぞ!!なんだと思って!今すぐこの暴挙を止めろ!!騎士団は!!』
「無駄ですわ。騎士団は既に私の手の中。諦めて大人しくその王座を明け渡しなさい。」
『お前はっ‥‥シルビアかっ!!
なんでこの国に‥‥。いや、騎士団って。
王座を明け渡せだと?ふざけるなっ!!』
『シルビア‥‥?なんで悪役令嬢が出てくるのよ!!ふざけないで!!わたしはヒロインなのよ!!』
「はぁ、その煩いの黙らせてくれないかしら?うるさくて話が進まないわ。」
『はっ!!』
どさっ
騎士に手刀を食らわされた自称ヒロインは意識を無くして無様に倒れ伏す。
誰も支えることもなく顔面から倒れた。
痛そう‥‥。まぁ、自業自得ね。
「ふざけているのはそちらでしょう?
これだけ国を傾け、民から搾取をしておいて何をおっしゃっているのです?そもそもこんな状態では私がわざわざ来なくてもいずれ暴動が起こり、王城も襲撃されていたことでしょう。被害を最小限に抑えるために私は来たのですよ?」
『なっ!!うるさいうるさいうるさいっ!!
ふざけるなよ!!お前は王の資格なんて持ってないくせに!!』
「あら?ご存じなくて?私は前王の王弟の血を継ぐ皇女。つまり、継承権は元から持っていたのですよ?」
『そんな‥‥。そんなことあり得ないだろ!!』
「そもそもその説明は何度も陛下がなさっていたではないですか。まぁ、聞いていなかったんでしょう。どちらにせよ、常識ある貴族は既にこちらに回っています。あなたを命懸けで守る人なんていませんよ。」
『おっ、おい!!俺を守れ!』
ひぃーっと情けない悲鳴をあげながら美味しい蜜をたっぷり吸って脂肪を沢山蓄えた貴族たちは逃げ惑う。
「捕えなさい」
静かに、けれど威厳ある声で命じると一斉に騎士が動き1人残らず捕えられた。
「さあ、これで正真正銘誰もいなくなりましたよ?」
『ふざけるなああああああ!!!』
自棄をおこしたように暴れ始めたかつての婚約者を冷めた瞳で見下ろす。
「もう茶番はいいわ。全ての責はあなたにある。
前にも言ったでしょう?後悔しても知らないと。
責任をとってもらいます。」
片手を上げると騎士団長が捕え、次々と罪人たちは地下牢へ放り込まれていった。
バルコニーから出てその場で王位交代を宣言し、傾いた国を立て直していくことを宣言すると民衆は希望の光に沸き立った。
シルビア様ばんざい!!ばんざい!!
はぁ、調子のいいこと。
まあ仕方ないわ。
さて国王とし国を立て直していきますかっ!!
ーーシルビアが即位してから国をみるみるうちに回復して行き、かつてよりもいっそう栄え、豊かな大国となった。
100年経った頃でも彼女は史上稀に見る賢王として名を残し、今尚語り継がれている。
ちなみに国王交代の後、自称ヒロインは強制労働に就かされ、最もきつい鉱山の中で一生を終えた。
またシルビアの婚約者だった元国王は一生涯幽閉されて1人寂しく死んでいったと言う。
シルビアは隣国の王子と結婚し、子宝にも恵まれて誰よりも幸せな生涯を送ったのだった。
「そう、決行は明日。乗り込むわよ!」
『はい!!』
ーー翌日その日、王城は喧騒に包まれていた。
国外追放を言い渡され、国を去った悪女ことシルビアが大勢の兵を連れ城に押し入ってきたのだった。
『キャーッ!!助けてくださいぃ~!!』
甲高く不快な悲鳴をあげているのは自称ヒロインだ。
『おいっ!!なんだ!お前たちは!!
俺はこの国の王だぞ!!なんだと思って!今すぐこの暴挙を止めろ!!騎士団は!!』
「無駄ですわ。騎士団は既に私の手の中。諦めて大人しくその王座を明け渡しなさい。」
『お前はっ‥‥シルビアかっ!!
なんでこの国に‥‥。いや、騎士団って。
王座を明け渡せだと?ふざけるなっ!!』
『シルビア‥‥?なんで悪役令嬢が出てくるのよ!!ふざけないで!!わたしはヒロインなのよ!!』
「はぁ、その煩いの黙らせてくれないかしら?うるさくて話が進まないわ。」
『はっ!!』
どさっ
騎士に手刀を食らわされた自称ヒロインは意識を無くして無様に倒れ伏す。
誰も支えることもなく顔面から倒れた。
痛そう‥‥。まぁ、自業自得ね。
「ふざけているのはそちらでしょう?
これだけ国を傾け、民から搾取をしておいて何をおっしゃっているのです?そもそもこんな状態では私がわざわざ来なくてもいずれ暴動が起こり、王城も襲撃されていたことでしょう。被害を最小限に抑えるために私は来たのですよ?」
『なっ!!うるさいうるさいうるさいっ!!
ふざけるなよ!!お前は王の資格なんて持ってないくせに!!』
「あら?ご存じなくて?私は前王の王弟の血を継ぐ皇女。つまり、継承権は元から持っていたのですよ?」
『そんな‥‥。そんなことあり得ないだろ!!』
「そもそもその説明は何度も陛下がなさっていたではないですか。まぁ、聞いていなかったんでしょう。どちらにせよ、常識ある貴族は既にこちらに回っています。あなたを命懸けで守る人なんていませんよ。」
『おっ、おい!!俺を守れ!』
ひぃーっと情けない悲鳴をあげながら美味しい蜜をたっぷり吸って脂肪を沢山蓄えた貴族たちは逃げ惑う。
「捕えなさい」
静かに、けれど威厳ある声で命じると一斉に騎士が動き1人残らず捕えられた。
「さあ、これで正真正銘誰もいなくなりましたよ?」
『ふざけるなああああああ!!!』
自棄をおこしたように暴れ始めたかつての婚約者を冷めた瞳で見下ろす。
「もう茶番はいいわ。全ての責はあなたにある。
前にも言ったでしょう?後悔しても知らないと。
責任をとってもらいます。」
片手を上げると騎士団長が捕え、次々と罪人たちは地下牢へ放り込まれていった。
バルコニーから出てその場で王位交代を宣言し、傾いた国を立て直していくことを宣言すると民衆は希望の光に沸き立った。
シルビア様ばんざい!!ばんざい!!
はぁ、調子のいいこと。
まあ仕方ないわ。
さて国王とし国を立て直していきますかっ!!
ーーシルビアが即位してから国をみるみるうちに回復して行き、かつてよりもいっそう栄え、豊かな大国となった。
100年経った頃でも彼女は史上稀に見る賢王として名を残し、今尚語り継がれている。
ちなみに国王交代の後、自称ヒロインは強制労働に就かされ、最もきつい鉱山の中で一生を終えた。
またシルビアの婚約者だった元国王は一生涯幽閉されて1人寂しく死んでいったと言う。
シルビアは隣国の王子と結婚し、子宝にも恵まれて誰よりも幸せな生涯を送ったのだった。
57
お気に入りに追加
53
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
ヒロインがいない。
もう一度言おう。ヒロインがいない!!
乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。
※ざまぁ展開あり
【完結】反逆令嬢
なか
恋愛
「お前が婚約者にふさわしいか、身体を確かめてやる」
婚約者であるライアン王子に言われた言葉に呆れて声も出ない
レブル子爵家の令嬢
アビゲイル・レブル
権力をふりかざす王子に当然彼女は行為を断った
そして告げられる婚約破棄
更には彼女のレブル家もタダでは済まないと脅す王子だったが
アビゲイルは嬉々として出ていった
ーこれで心おきなく殺せるー
からだった
王子は間違えていた
彼女は、レブル家はただの貴族ではなかった
血の滴るナイフを見て笑う
そんな彼女が初めて恋する相手とは
真実の愛だからと平民女性を連れて堂々とパーティーに参加した元婚約者が大恥をかいたようです。
田太 優
恋愛
婚約者が平民女性と浮気していたことが明らかになった。
責めても本気だと言い謝罪もなし。
あまりにも酷い態度に制裁することを決意する。
浮気して平民女性を選んだことがどういう結果をもたらすのか、パーティーの場で明らかになる。
私のモノをなんでも奪う義妹、盛大に自爆させようと思う
神々廻
恋愛
「お母様〜!お姉様のドレスが欲しいわ!お姉様.....譲って?」
ドレスも宝石も別に欲しくないし、義妹が貰っててもそれは良い。
「私が解明しました!今後も役に立てるように頑張りたいと思います!」
だけど、私の研究ノートを勝手に持ち出して自分の手柄にし、発表しやがった!!
しかも、お父様がコイツに気を配りまくるから使用人達も私よりも優遇するしー!
婚約者は取られ、手柄も奪われ........それなら盛大に弾けて頂きますわ!
お気に入り、感想お願いします〜!
婚約破棄?ほーん…じゃあ死にますね。
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢が潔く死ぬお話…のはすが?
ゼナイドは王太子に婚約破棄を告げられる。そんなゼナイドは自死を選ぶことにした。果たして王家への影響は?ゼナイドは結局どうなる?
小説家になろう様でも投稿しています。
私は何もしていない!〜勝手に悪者扱いしないでください〜
四季
恋愛
「この方が私のことをいつも虐めてくるのです!」
晩餐会の最中、アリア・フルーレはリリーナから突然そんなことを言われる。
だがそれは、アリアの婚約者である王子を奪うための作戦であった。
結果的に婚約破棄されることとなってしまったアリア。しかし、王子とリリーナがこっそり関係を持っていることを知っていたので、婚約破棄自体にはそれほど驚かなかった……。
完 あの、なんのことでしょうか。
水鳥楓椛
恋愛
私、シェリル・ラ・マルゴットはとっても胃が弱わく、前世共々ストレスに対する耐性が壊滅的。
よって、三大公爵家唯一の息女でありながら、王太子の婚約者から外されていた。
それなのに………、
「シェリル・ラ・マルゴット!卑しく僕に噛み付く悪女め!!今この瞬間を以て、貴様との婚約を破棄しゅるっ!!」
王立学園の卒業パーティー、赤の他人、否、仕えるべき未来の主君、王太子アルゴノート・フォン・メッテルリヒは壁際で従者と共にお花になっていた私を舞台の中央に無理矢理連れてた挙句、誤り満載の言葉遣いかつ最後の最後で舌を噛むというなんとも残念な婚約破棄を叩きつけてきた。
「あの………、なんのことでしょうか?」
あまりにも素っ頓狂なことを叫ぶ幼馴染に素直にびっくりしながら、私は斜め後ろに控える従者に声をかける。
「私、彼と婚約していたの?」
私の疑問に、従者は首を横に振った。
(うぅー、胃がいたい)
前世から胃が弱い私は、精神年齢3歳の幼馴染を必死に諭す。
(だって私、王妃にはゼッタイになりたくないもの)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる