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二話

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『お嬢様、準備もつつがなく完了いたしました。』

「そう、決行は明日。乗り込むわよ!」

『はい!!』




ーー翌日その日、王城は喧騒に包まれていた。

国外追放を言い渡され、国を去った悪女ことシルビアが大勢の兵を連れ城に押し入ってきたのだった。

『キャーッ!!助けてくださいぃ~!!』

甲高く不快な悲鳴をあげているのは自称ヒロインだ。

『おいっ!!なんだ!お前たちは!!
俺はこの国の王だぞ!!なんだと思って!今すぐこの暴挙を止めろ!!騎士団は!!』

「無駄ですわ。騎士団は既に私の手の中。諦めて大人しくその王座を明け渡しなさい。」

『お前はっ‥‥シルビアかっ!!
なんでこの国に‥‥。いや、騎士団って。
王座を明け渡せだと?ふざけるなっ!!』

『シルビア‥‥?なんで悪役令嬢が出てくるのよ!!ふざけないで!!わたしはヒロインなのよ!!』

「はぁ、その煩いの黙らせてくれないかしら?うるさくて話が進まないわ。」

『はっ!!』

どさっ

騎士に手刀を食らわされた自称ヒロインは意識を無くして無様に倒れ伏す。

誰も支えることもなく顔面から倒れた。

痛そう‥‥。まぁ、自業自得ね。

「ふざけているのはそちらでしょう?
これだけ国を傾け、民から搾取をしておいて何をおっしゃっているのです?そもそもこんな状態では私がわざわざ来なくてもいずれ暴動が起こり、王城も襲撃されていたことでしょう。被害を最小限に抑えるために私は来たのですよ?」

『なっ!!うるさいうるさいうるさいっ!!
ふざけるなよ!!お前は王の資格なんて持ってないくせに!!』

「あら?ご存じなくて?私は前王の王弟の血を継ぐ皇女。つまり、継承権は元から持っていたのですよ?」

『そんな‥‥。そんなことあり得ないだろ!!』

「そもそもその説明は何度も陛下がなさっていたではないですか。まぁ、聞いていなかったんでしょう。どちらにせよ、常識ある貴族は既にこちらに回っています。あなたを命懸けで守る人なんていませんよ。」

『おっ、おい!!俺を守れ!』

ひぃーっと情けない悲鳴をあげながら美味しい蜜をたっぷり吸って脂肪を沢山蓄えた貴族たちは逃げ惑う。

「捕えなさい」

静かに、けれど威厳ある声で命じると一斉に騎士が動き1人残らず捕えられた。

「さあ、これで正真正銘誰もいなくなりましたよ?」

『ふざけるなああああああ!!!』

自棄をおこしたように暴れ始めたかつての婚約者を冷めた瞳で見下ろす。

「もう茶番はいいわ。全ての責はあなたにある。
前にも言ったでしょう?後悔しても知らないと。
責任をとってもらいます。」

片手を上げると騎士団長が捕え、次々と罪人たちは地下牢へ放り込まれていった。

バルコニーから出てその場で王位交代を宣言し、傾いた国を立て直していくことを宣言すると民衆は希望の光に沸き立った。

シルビア様ばんざい!!ばんざい!!

はぁ、調子のいいこと。

まあ仕方ないわ。

さて国王とし国を立て直していきますかっ!!






ーーシルビアが即位してから国をみるみるうちに回復して行き、かつてよりもいっそう栄え、豊かな大国となった。

100年経った頃でも彼女は史上稀に見る賢王として名を残し、今尚語り継がれている。

ちなみに国王交代の後、自称ヒロインは強制労働に就かされ、最もきつい鉱山の中で一生を終えた。

またシルビアの婚約者だった元国王は一生涯幽閉されて1人寂しく死んでいったと言う。

シルビアは隣国の王子と結婚し、子宝にも恵まれて誰よりも幸せな生涯を送ったのだった。


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