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一話
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貴族令嬢として正しい行いをした。
たとえ誰からも認められなくても。
大勢から非難されようと‥‥。
もともと政略結婚だった。
執拗にあなたからの愛を望んだわけでもない。
けれど婚約者である私を蔑ろにして別の女にうつつを抜かすなど一国の王族としてあるまじき行為。
残念でならない‥‥。
最後に見るのが別の女に向けるあなたの緩み切っただらしない顔だなんて。
後悔することになるわよ。
それでも私を国外追放すると言うのなら、その責任は自身で追いなさい。
逃げるな。目を逸らすな。
悪女と言われた令嬢はその言葉を残して毅然とした態度で国を去っていった。
それから一年後、かつて悪女と婚約を結んでいた王太子は運命の相手と大恋愛の末結ばれる。
まるでおとぎ話のような展開に市井の民までもが祝福した。
結婚式は盛大に行われ、大勢から祝福される2人の幸せな姿は多くの人の心に残った。
まさに乙女ゲームのハッピーエンドのスチルのような光景が広がっていた。
幸せそうな笑顔で微笑み合う2人。
顔を赤らめながら誓いのキスをする2人。
さまざまな障害(=主に悪役令嬢)を手を取り合って乗り越え最高のハッピーエンドを迎えることができたヒロインは内心では意地悪い顔でほくそ笑んでいた。
(ふははっ!邪魔者もいなくなって王子様と結婚とか最高だわ!!やっぱり私はヒロインだもの!!)
王子とヒロインが結ばれるハッピーエンド。
めでたしめでたし。
‥‥では終わらなかった。
国王が崩御し、王太子が王位に着くと国は急速に傾いていった。
ヒロインにうつつを抜かし、必要な教育を放棄してきたツケが回ってきた。
国王としての仕事も満足に出来ず、彼は傀儡の王となった。
甘言を囁く臣下にのみ耳を傾け、いつしか己の私服を肥やすことにしか興味のない貴族が政権を握るようになった。
もちろんそんな者たちが行う政治で国は荒れ、民は疲弊していった。
さらにはヒロインは王妃としての教養も能力も持ち合わせていなかった。
まだ国王がご存命の時、国王代理として立ったこともある王太子の変貌ぶりに誰もが疑問に思った。
けれどその疑問の答えは簡単だ。
今までは時期王妃であった悪女と呼ばれた令嬢が陰ながら支えていたのだ。
「ふふっ、そろそろかしら?」
『お嬢様、動きますか?』
「ええ、嘆願の声があちらこちらから届いているわ。」
『お嬢様を貶めた国です。もっと疲弊し国が失われるまで待ってもよろしいのでは?』
「あら、マリア。結構なことを言うのね。」
『当然です!!お嬢様があんな不当な扱いを受けたのに!!許せません!!』
「ありがとう。私のために怒ってくれるのね。」
『当然ですよ!!私はお嬢様の味方なんですからね!』
「確かに王族も貴族たちも碌な人はいなかったわ。それに民衆だって噂に流されて散々この私を貶めた。それは許されない行為よ。
けれどこのままでは搾取されるのは民衆ばかり。
力のない、弱い者たちが虐げられる姿はあまり気分のいいものではないわ。」
『さすがお嬢様っ!!まるで天女のようにお優しい。』
「それに民は権力者たちに惑わされているだけ。情報操作もなされている中で真実を知るのはこの体制下では容易ではないわ。」
『確かにそうですね。‥‥わかりました!』
「王位簒奪に向けて色々準備しなければ‥
まずは軍の要、騎士団の掌握に動くわよ。」
『はい!!騎士団長には渡りをつけています。
お会いになられますか?』
「ええ、会うわ。計画の目処が立ち次第、王城に乗り込むわよ。」
『了解です!!』
たとえ誰からも認められなくても。
大勢から非難されようと‥‥。
もともと政略結婚だった。
執拗にあなたからの愛を望んだわけでもない。
けれど婚約者である私を蔑ろにして別の女にうつつを抜かすなど一国の王族としてあるまじき行為。
残念でならない‥‥。
最後に見るのが別の女に向けるあなたの緩み切っただらしない顔だなんて。
後悔することになるわよ。
それでも私を国外追放すると言うのなら、その責任は自身で追いなさい。
逃げるな。目を逸らすな。
悪女と言われた令嬢はその言葉を残して毅然とした態度で国を去っていった。
それから一年後、かつて悪女と婚約を結んでいた王太子は運命の相手と大恋愛の末結ばれる。
まるでおとぎ話のような展開に市井の民までもが祝福した。
結婚式は盛大に行われ、大勢から祝福される2人の幸せな姿は多くの人の心に残った。
まさに乙女ゲームのハッピーエンドのスチルのような光景が広がっていた。
幸せそうな笑顔で微笑み合う2人。
顔を赤らめながら誓いのキスをする2人。
さまざまな障害(=主に悪役令嬢)を手を取り合って乗り越え最高のハッピーエンドを迎えることができたヒロインは内心では意地悪い顔でほくそ笑んでいた。
(ふははっ!邪魔者もいなくなって王子様と結婚とか最高だわ!!やっぱり私はヒロインだもの!!)
王子とヒロインが結ばれるハッピーエンド。
めでたしめでたし。
‥‥では終わらなかった。
国王が崩御し、王太子が王位に着くと国は急速に傾いていった。
ヒロインにうつつを抜かし、必要な教育を放棄してきたツケが回ってきた。
国王としての仕事も満足に出来ず、彼は傀儡の王となった。
甘言を囁く臣下にのみ耳を傾け、いつしか己の私服を肥やすことにしか興味のない貴族が政権を握るようになった。
もちろんそんな者たちが行う政治で国は荒れ、民は疲弊していった。
さらにはヒロインは王妃としての教養も能力も持ち合わせていなかった。
まだ国王がご存命の時、国王代理として立ったこともある王太子の変貌ぶりに誰もが疑問に思った。
けれどその疑問の答えは簡単だ。
今までは時期王妃であった悪女と呼ばれた令嬢が陰ながら支えていたのだ。
「ふふっ、そろそろかしら?」
『お嬢様、動きますか?』
「ええ、嘆願の声があちらこちらから届いているわ。」
『お嬢様を貶めた国です。もっと疲弊し国が失われるまで待ってもよろしいのでは?』
「あら、マリア。結構なことを言うのね。」
『当然です!!お嬢様があんな不当な扱いを受けたのに!!許せません!!』
「ありがとう。私のために怒ってくれるのね。」
『当然ですよ!!私はお嬢様の味方なんですからね!』
「確かに王族も貴族たちも碌な人はいなかったわ。それに民衆だって噂に流されて散々この私を貶めた。それは許されない行為よ。
けれどこのままでは搾取されるのは民衆ばかり。
力のない、弱い者たちが虐げられる姿はあまり気分のいいものではないわ。」
『さすがお嬢様っ!!まるで天女のようにお優しい。』
「それに民は権力者たちに惑わされているだけ。情報操作もなされている中で真実を知るのはこの体制下では容易ではないわ。」
『確かにそうですね。‥‥わかりました!』
「王位簒奪に向けて色々準備しなければ‥
まずは軍の要、騎士団の掌握に動くわよ。」
『はい!!騎士団長には渡りをつけています。
お会いになられますか?』
「ええ、会うわ。計画の目処が立ち次第、王城に乗り込むわよ。」
『了解です!!』
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