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5話
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ここは隣国アルセーヌ。
あの日、騎士に送られて国境を越えてからたどり着いたのは隣国アルセーヌの村の一つ。
のどかな風景の広がるこの村で私は生活している。
なんの準備もなく放り出されて途方に暮れていたところをこの村のお爺さんに拾われた。
大好きな人とは二度と会えなくて、家族も危険に晒されているかもしれなくてどうしたらいいかわからない。
そんな時、お爺さんは何も聞かずに私を受け入れてくれた。
私は元々薬師をしていたこともあり、この村でも薬師として活躍している。
特にこの村の周辺には珍しい薬草も多くて薬師にはちょうどいい。
アレンが私以外の人と結ばれるのを間近で見るのはきついからちょうど良かったのかもしれない。
私は大好きな人が別の誰かと幸せになるのを黙って祝福できるほどできた人間じゃない。
この傷ついた心を癒しながら日々を送っている。
それでもやっぱりまだ諦めきれなくてアレンを思い出さない日はないけれど‥‥。
そんなある日のことだった。
ものすごい勢いで走ってくる馬に乗った人がいた。
何事かと村の人がたくさん出てきた。
うそ‥‥。嘘でしょっ‥‥!!
泣きそうになる。
馬に乗ってやってきたのはアレンだった。
「アンジー!!」
その声を聞いた瞬間涙が溢れる。
昔と同じように呼んでくれるその声が‥‥。
どうしようもないくらい嬉しくて。
「アレン‥‥アレン!!」
「アンジー!!よかった、ようやく見つけた。」
「アレン‥‥なんで?どういうこと??」
「ごめん。ごめんな。いろいろ誤解があってこんなことに‥‥。でもこれだけは言わせてくれ。愛してる。俺が愛しているのはアンジーだけだ。どうか結婚してくれ。」
そう言いながら彼は彼の魔力のこもった魔石が嵌った指輪を出した。
「アレン‥‥。はい!!嬉しい!!アレン!アレン!!」
「よかった‥‥アンジー。大好きだ。ずっと前から‥‥。」
「私も‥‥私もずっと好きだった。本当は魔王討伐なんて危険なことしてほしくなかったの!ずっと怖かった‥‥あなたを失ってしまったらって‥‥。よかった。本当によかった。生きて帰ってきてくれてありがとう。大好きよ。」
「アンジー。君がずっと俺の支えだったよ。本当にありがとう。」
村の人たちの前だということも忘れて2人の世界にしばし入っていた私たち。
熱い抱擁を交わしたあと我に帰った私が赤面して村人たちに祝福された。
あのあとなんでこんなことになったのかをアレンに聞いた。
簡単にいえば王女様の暴走だったらしい。
アレンを見初めた王女様が自分のものにしようと外堀を埋め、噂を広めた。
その上で私を追い払い、アレンとの関係を妨害していたのだ。
そうして全てを知ったアレンが私を追いかけてきてくれた。
アレンと再開したあと、後始末もあるので国に戻る。
そこでアレンは王女様との噂を全て否定し、なんなら王女様の悪行を広めた。
街では私とアレンは引き裂かれた運命の恋人として有名になった。(恥ずかしいっ!)
王に事情を説明して改めて式を行う。
王女様は謹慎を言い渡され、今までわがまま放題だったのも今回の件でだいぶ大人しくせざるを得ない状態に追い込まれた。
あの騒動から1ヶ月後、無事にクレメンス教会で式をあげた私たちは子宝にも恵まれて幸せな生涯を送った。
あの日、騎士に送られて国境を越えてからたどり着いたのは隣国アルセーヌの村の一つ。
のどかな風景の広がるこの村で私は生活している。
なんの準備もなく放り出されて途方に暮れていたところをこの村のお爺さんに拾われた。
大好きな人とは二度と会えなくて、家族も危険に晒されているかもしれなくてどうしたらいいかわからない。
そんな時、お爺さんは何も聞かずに私を受け入れてくれた。
私は元々薬師をしていたこともあり、この村でも薬師として活躍している。
特にこの村の周辺には珍しい薬草も多くて薬師にはちょうどいい。
アレンが私以外の人と結ばれるのを間近で見るのはきついからちょうど良かったのかもしれない。
私は大好きな人が別の誰かと幸せになるのを黙って祝福できるほどできた人間じゃない。
この傷ついた心を癒しながら日々を送っている。
それでもやっぱりまだ諦めきれなくてアレンを思い出さない日はないけれど‥‥。
そんなある日のことだった。
ものすごい勢いで走ってくる馬に乗った人がいた。
何事かと村の人がたくさん出てきた。
うそ‥‥。嘘でしょっ‥‥!!
泣きそうになる。
馬に乗ってやってきたのはアレンだった。
「アンジー!!」
その声を聞いた瞬間涙が溢れる。
昔と同じように呼んでくれるその声が‥‥。
どうしようもないくらい嬉しくて。
「アレン‥‥アレン!!」
「アンジー!!よかった、ようやく見つけた。」
「アレン‥‥なんで?どういうこと??」
「ごめん。ごめんな。いろいろ誤解があってこんなことに‥‥。でもこれだけは言わせてくれ。愛してる。俺が愛しているのはアンジーだけだ。どうか結婚してくれ。」
そう言いながら彼は彼の魔力のこもった魔石が嵌った指輪を出した。
「アレン‥‥。はい!!嬉しい!!アレン!アレン!!」
「よかった‥‥アンジー。大好きだ。ずっと前から‥‥。」
「私も‥‥私もずっと好きだった。本当は魔王討伐なんて危険なことしてほしくなかったの!ずっと怖かった‥‥あなたを失ってしまったらって‥‥。よかった。本当によかった。生きて帰ってきてくれてありがとう。大好きよ。」
「アンジー。君がずっと俺の支えだったよ。本当にありがとう。」
村の人たちの前だということも忘れて2人の世界にしばし入っていた私たち。
熱い抱擁を交わしたあと我に帰った私が赤面して村人たちに祝福された。
あのあとなんでこんなことになったのかをアレンに聞いた。
簡単にいえば王女様の暴走だったらしい。
アレンを見初めた王女様が自分のものにしようと外堀を埋め、噂を広めた。
その上で私を追い払い、アレンとの関係を妨害していたのだ。
そうして全てを知ったアレンが私を追いかけてきてくれた。
アレンと再開したあと、後始末もあるので国に戻る。
そこでアレンは王女様との噂を全て否定し、なんなら王女様の悪行を広めた。
街では私とアレンは引き裂かれた運命の恋人として有名になった。(恥ずかしいっ!)
王に事情を説明して改めて式を行う。
王女様は謹慎を言い渡され、今までわがまま放題だったのも今回の件でだいぶ大人しくせざるを得ない状態に追い込まれた。
あの騒動から1ヶ月後、無事にクレメンス教会で式をあげた私たちは子宝にも恵まれて幸せな生涯を送った。
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