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7話 ギルドの朝

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窓から差し込む柔らかな日差しの温かさに誘われて目を覚ます。

「ふわぁ~、よく寝た。仕事行かないと‥‥今何時?‥‥んん??」

時計がない。いやそもそもここどこだ?

ーーハッ!!そうだ。異世界に来たんだった。昨日の今日だからな。まだ慣れてない。頭が混乱している‥‥。でも受け入れていくしかないんだ。神様のいたずらかなんなのか知らないけど一度は失った命。今度こそ大切に好きなことをしながら自由に生きるんだ!!

顔を洗いたいな‥‥。とりあえず人前に出られる程度に身支度を整える。下にからは食器の触れ合う音やあわただしく行き来する人の足音が聞こえる。ちなみに食器とはいっても木製だから日本人が想像する音とは少し違うかもしれない。

下へ降りてみると早朝とは思えないほどに賑わっていた。日が昇るのと同時くらいに起きたから随分と早起きしたと思ったのにな‥‥。なんせ俺は休みの日は予定がなければ昼間しまうからな。まあこの宿は商人が多いから早起きは普通なのかな?次の街へ移動するのは朝早く、日が昇ると同時に出発するのが普通だ。それに冒険者だって早朝から活動する。夜の方が魔物は狂暴になる。その理由は解明されていないが‥‥。依頼を早く終えた冒険者なんかは昼から飲んでいるそうだ。

「おはようございます!こちら本日の朝食です!ごゆっくり~」

受付をしてくれた女将さんの娘のエリーゼちゃんが運んできてくれた。なかなかにボリュームがあるな。一般的な朝食によくある目玉焼きとベーコン。目玉焼きは明らかに鶏の卵じゃない‥‥。だってものすごくでかいんだ。鶏の卵三個分くらい?いやまあ異世界だから違うのは当たり前なんだろうけど、なんていうか慣れないなあ。ベーコンは厚切りで食べ応え抜群!他にも野菜のたっぷり入ったスープと近所のパン屋さんが毎日焼き立てを届けてくれている大きめのフランスパンのようなパン。

湯気の立った出来立ての料理は美味しい!ただやっぱり少し塩味が足りない‥‥。塩は高価だから仕方がないのはわかるんだけどな。よし!稼いで自分好みの料理を作ろう!!

んん~美味しかった!!美味しすぎて気が付いたら完食していた‥‥。朝食後にコーヒー飲みたいなあ~。朝はコーヒーを飲む習慣があったからなかなかその習慣が抜けなくて。おいおい探していこう。もしかしたら似たような飲み物がこの世界にもあるかもしれないしな!

朝食を食べ終え、ギルドへ向かう。まだお金に余裕があるといっても早めに収入は確保しておいた方がいいだろう。そんなわけでギルドの扉をくぐる。

昨日はあんなに人が少なかったのに今朝はすごい人がたくさんいる。装備を付けた屈強な男たちが我先にと依頼ボードへ向かって押し合い圧し合いしている光景はなかなかのインパクトがある。‥‥え?あれの中に突撃していかないといけないの??

割のいい依頼を受けたいのならあの群衆の中に果敢に挑んでいかなければならない。あれのピークが終わるのは9時頃。人が少なくなった依頼ボードには超高難易度の依頼か割の良くない依頼、または常設の薬草採取依頼くらいしか残っていない。

まだ見習いルーキーのうちは薬草採取をメインにするつもりだから人の波が引いてからでいいかな?それまで2階の資料室で勉強しておくか。

戦闘講習を受けないまま討伐依頼を受けるなんて命をどぶに捨てるようなもんだからな。チート能力を持っているわけでもないんだ。命大事に!油断大敵!これをモットーにこの世界を生き抜いてやる!!

2階の資料室‥‥ここか!たくさん本がある!試しに一番近くにあった本を手に取って見る。じゃらっ。鎖がついている。持ち出し防止用かな?この世界で本は非常に貴重だ。そもそも紙が貴重でさらに本は全て手書きだ。そのため必然的に本の値段は高くなる。ものによっては豪邸が立てられるほどだとか。ここにあるのはそこまではしないだろうがそれでも売れば豪勢に遊べるほどのお金になるだろう。まあギルドでそんな馬鹿なことする奴はそうそういないだろうが‥‥。念には念をっていうだろ?実際に過去に盗難にあったことがあるようだし‥‥。まあそのおかげでより警備が厳重になったのだが。盗みを働いたのはたびたび問題を起こしていた素行の悪い冒険者二人組だった。当然ばれてギルドから追放。行く当てもなく社会的な信用を失った彼らはやがて山賊に身をやつし退治されたんだとか。

おっと、話がだいぶ脱線してしまったな。

薬草とこの周辺の魔物についての本はどこだ?ーーあった!!

『薬草図鑑~リモージュ周辺・初級編~』

『魔物図鑑~リモージュ周辺・初級編~』

なんかゲームの攻略本を読んでいるみたいでわくわくする!!
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