3 / 19
2話 情報整理
しおりを挟む
「へえ~、つまり記憶喪失ってわけだ。正直怪しい点が多いから盗賊を疑っていたよ。ああ、そうだ。自己紹介がまだだったね。初めまして、私の名前はサミュエルだよ。気軽にサムと呼んでくれ。」
「あの!サムさん、本当にありがとうございました。あとさっき助けてくれた人にもお礼を言わせて下さい。」
「ああ、ヴォルフのことかな?彼は私の護衛だよ。ヴォルフはあの見た目に反してとてもやさしいからね。殺されかけている君を放っておけなかったんだろう。護衛対象を置いていくのはどうかと思うけどね‥‥。」
「そりゃあなただから危険はないと判断したんだ。それにあなたも望んだことだろう?」
サムと話していると並走している先ほど助けてくれた護衛の彼が会話に入り込んできた。
「まあそうだね。君が行ってな私が行っていたしね。」
「あなたに行かれるくらいなら俺が行ったんだ。護衛の役目は果たしているだろう?」
「ははっ、少しいじりすぎたかな?冗談だよ。」
「あなたって人は‥‥。まあ、なんだ。無事でよかった。ああ、自己紹介がまだだったな。聞いてるとは思うが俺の名前はヴォルフだ。よろしくな。護衛に集中したいから聞きたいことはサムに聞いてくれ。」
「はい!あの!俺真宮優一郎って言います!」
「マミヤ?ユーイチロ??珍しい名前だね。」
「呼びにくいならユウと呼んでください。」
「ああ、そうさせてもらうよ。ところでマミヤというのは名字かい?」
「そうですけど‥‥。」
「ふむ。名字を持つのは我々の国では貴族だけだ。まあ遠い異国では皆が名字を持つ国もあるらしいが‥‥。いらぬトラブルを避けるためにも名字は名乗らない方が身のためだと思うよ?」
「?!‥‥そうなんですね。それならこれからはユウと名乗ることにします。」
「そうだね、それがいい。記憶喪失なら基本的なこと‥‥この世界の常識を教えよう。」
「お願いします!」
「ええと、この世界はーーーー」
聞いたことを要約する。
この世界の名前はソーラル。そして今いる場所はリシェス森林、別名恵みの森と呼ばれている。ここは奥に入れば入るほど強力な魔物もいるが貴重な素材も多く取れる。そして隣国との間にあるため自然の防壁の役割も果たしている。今向かっているのはサムたちの暮らす国フローティア王国の中にある一つの街、リモージュだ。
フローティア王国とリシェス森林を挟んで隣国に位置しているのはアロガン王国だ。アロガン王国は治安が悪く、奴隷制度も残っている。もしあの時逆方向に進んでいたら今ごろ奴隷にされていたかもしれない‥‥。怖っ‥‥。
そしてここからが重要だ。この世界には魔物がいる。さっき襲われたのは魔狼という魔物だったらしい。成人済みであればパニックにさえならなければ対処できる比較的弱い魔物みたいだ。え?なにそれなんかめっちゃ恥ずかしい‥‥。
まっ、まあ仕方ないよね?だって俺、魔物なんていない平和な日本で育ったんだもん?いきなり魔物と戦うなんて漫画の主人公じゃあるまいし無理だろ。
それでも異世界に来てしまった以上そんな言い訳は通じない。弱ければ死ぬ。生きるためには強くならなければならない。
この世界には冒険者という職業があるらしい。よく漫画やアニメで見ていたのとさほど変わらない。身分証のない俺が金を稼いで生きていくのに一番近道なのは冒険者だ。問題は魔物を倒さなきゃならないってとこなんだよなあ~。でも薬草採取とかの戦闘がない簡単な依頼もあるみたい。まずはそれらを受けて徐々に魔物とも戦えるようにしていくつもりだ。
あっ!そうそう、一番衝撃受けたことがあるんだ。なんとこの世界、魔法が存在する!!魔物に襲われたことが衝撃的過ぎて忘れてたけど鉤爪で切り裂かれた傷がいつの間にか治ってたんだ。それをしばらくしてからサムに聞いたらあきれ顔で答えてくれた。サムが治癒魔法で治療してくれたんだって!ほかにもヴォルフが討伐した魔狼も火魔法で燃やして処理していたんだって。
魔法は適性がないと使えない。街に着いたら冒険者ギルドに行けば登録するときに属性もはかるみたいだからその時までのお楽しみだ。使えるといいな~!魔法とか最高!!憧れてたんだよな~。漫画とかアニメとか読み漁っていたし‥‥。社会人になってからもラノベを休みの日に読むくらい好きだったし。
おっ?そろそろ到着するみたいだ。街の外観が見えてきた。この街は魔物の脅威から街を守るための頑丈で高い壁に囲まれている。その壁の一角が森の中から見えてきたのだ。それにしても高い壁だなあ‥‥。
「あの、本当にありがとう。助かったよ。」
敬語はやめてくれって言われた。それに敬語をつかうのは貴族や裕福な商人、取引の場くらいなもので俺が使っていたら完全に浮いてしまう。どうしても日本人なので敬語が出てしまいそうになるがこれから気を付けなければ‥‥。
「ああ!何はともあれ無事でよかった。記憶がないと大変だろうけどどうか元気で。冒険者になって稼げるようになったらぜひうちがやっているサファル商会に来てくれ。いろいろそろっているよ。」
「サファル商会‥‥、必ず行くよ!」
「じゃあまた!!」
「ああ!!」
サムとヴォルフとはリモージュの入り口付近で別れた。俺はまだ身分証がないから並ぶ列が別なんだ。
いま入るために並んでいる街、リモージュはフローティア王国の中でも王都の次に大きな街だ。この街はダンジョンが近くにある。そのため冒険者稼業が活発だ。これから冒険者になろうとしている俺には最高だな。
「あの!サムさん、本当にありがとうございました。あとさっき助けてくれた人にもお礼を言わせて下さい。」
「ああ、ヴォルフのことかな?彼は私の護衛だよ。ヴォルフはあの見た目に反してとてもやさしいからね。殺されかけている君を放っておけなかったんだろう。護衛対象を置いていくのはどうかと思うけどね‥‥。」
「そりゃあなただから危険はないと判断したんだ。それにあなたも望んだことだろう?」
サムと話していると並走している先ほど助けてくれた護衛の彼が会話に入り込んできた。
「まあそうだね。君が行ってな私が行っていたしね。」
「あなたに行かれるくらいなら俺が行ったんだ。護衛の役目は果たしているだろう?」
「ははっ、少しいじりすぎたかな?冗談だよ。」
「あなたって人は‥‥。まあ、なんだ。無事でよかった。ああ、自己紹介がまだだったな。聞いてるとは思うが俺の名前はヴォルフだ。よろしくな。護衛に集中したいから聞きたいことはサムに聞いてくれ。」
「はい!あの!俺真宮優一郎って言います!」
「マミヤ?ユーイチロ??珍しい名前だね。」
「呼びにくいならユウと呼んでください。」
「ああ、そうさせてもらうよ。ところでマミヤというのは名字かい?」
「そうですけど‥‥。」
「ふむ。名字を持つのは我々の国では貴族だけだ。まあ遠い異国では皆が名字を持つ国もあるらしいが‥‥。いらぬトラブルを避けるためにも名字は名乗らない方が身のためだと思うよ?」
「?!‥‥そうなんですね。それならこれからはユウと名乗ることにします。」
「そうだね、それがいい。記憶喪失なら基本的なこと‥‥この世界の常識を教えよう。」
「お願いします!」
「ええと、この世界はーーーー」
聞いたことを要約する。
この世界の名前はソーラル。そして今いる場所はリシェス森林、別名恵みの森と呼ばれている。ここは奥に入れば入るほど強力な魔物もいるが貴重な素材も多く取れる。そして隣国との間にあるため自然の防壁の役割も果たしている。今向かっているのはサムたちの暮らす国フローティア王国の中にある一つの街、リモージュだ。
フローティア王国とリシェス森林を挟んで隣国に位置しているのはアロガン王国だ。アロガン王国は治安が悪く、奴隷制度も残っている。もしあの時逆方向に進んでいたら今ごろ奴隷にされていたかもしれない‥‥。怖っ‥‥。
そしてここからが重要だ。この世界には魔物がいる。さっき襲われたのは魔狼という魔物だったらしい。成人済みであればパニックにさえならなければ対処できる比較的弱い魔物みたいだ。え?なにそれなんかめっちゃ恥ずかしい‥‥。
まっ、まあ仕方ないよね?だって俺、魔物なんていない平和な日本で育ったんだもん?いきなり魔物と戦うなんて漫画の主人公じゃあるまいし無理だろ。
それでも異世界に来てしまった以上そんな言い訳は通じない。弱ければ死ぬ。生きるためには強くならなければならない。
この世界には冒険者という職業があるらしい。よく漫画やアニメで見ていたのとさほど変わらない。身分証のない俺が金を稼いで生きていくのに一番近道なのは冒険者だ。問題は魔物を倒さなきゃならないってとこなんだよなあ~。でも薬草採取とかの戦闘がない簡単な依頼もあるみたい。まずはそれらを受けて徐々に魔物とも戦えるようにしていくつもりだ。
あっ!そうそう、一番衝撃受けたことがあるんだ。なんとこの世界、魔法が存在する!!魔物に襲われたことが衝撃的過ぎて忘れてたけど鉤爪で切り裂かれた傷がいつの間にか治ってたんだ。それをしばらくしてからサムに聞いたらあきれ顔で答えてくれた。サムが治癒魔法で治療してくれたんだって!ほかにもヴォルフが討伐した魔狼も火魔法で燃やして処理していたんだって。
魔法は適性がないと使えない。街に着いたら冒険者ギルドに行けば登録するときに属性もはかるみたいだからその時までのお楽しみだ。使えるといいな~!魔法とか最高!!憧れてたんだよな~。漫画とかアニメとか読み漁っていたし‥‥。社会人になってからもラノベを休みの日に読むくらい好きだったし。
おっ?そろそろ到着するみたいだ。街の外観が見えてきた。この街は魔物の脅威から街を守るための頑丈で高い壁に囲まれている。その壁の一角が森の中から見えてきたのだ。それにしても高い壁だなあ‥‥。
「あの、本当にありがとう。助かったよ。」
敬語はやめてくれって言われた。それに敬語をつかうのは貴族や裕福な商人、取引の場くらいなもので俺が使っていたら完全に浮いてしまう。どうしても日本人なので敬語が出てしまいそうになるがこれから気を付けなければ‥‥。
「ああ!何はともあれ無事でよかった。記憶がないと大変だろうけどどうか元気で。冒険者になって稼げるようになったらぜひうちがやっているサファル商会に来てくれ。いろいろそろっているよ。」
「サファル商会‥‥、必ず行くよ!」
「じゃあまた!!」
「ああ!!」
サムとヴォルフとはリモージュの入り口付近で別れた。俺はまだ身分証がないから並ぶ列が別なんだ。
いま入るために並んでいる街、リモージュはフローティア王国の中でも王都の次に大きな街だ。この街はダンジョンが近くにある。そのため冒険者稼業が活発だ。これから冒険者になろうとしている俺には最高だな。
1
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説

クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~
はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。
俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。
ある日の昼休み……高校で事は起こった。
俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。
しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。
……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!
役立たずと言われダンジョンで殺されかけたが、実は最強で万能スキルでした !
本条蒼依
ファンタジー
地球とは違う異世界シンアースでの物語。
主人公マルクは神聖の儀で何にも反応しないスキルを貰い、絶望の淵へと叩き込まれる。
その役に立たないスキルで冒険者になるが、役立たずと言われダンジョンで殺されかけるが、そのスキルは唯一無二の万能スキルだった。
そのスキルで成り上がり、ダンジョンで裏切った人間は落ちぶれざまあ展開。
主人公マルクは、そのスキルで色んなことを解決し幸せになる。
ハーレム要素はしばらくありません。

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる