5 / 9
5話
しおりを挟む
穏やかな生活。それを脅かすものの足音は知らずのうちに迫っていた‥‥。
ーー
第二王子殿下がお越しになられて3日。特に何の変化もなく日常を送っていた。
ここ3日待ちでは歓迎のお祭りが開かれている。あちこちに屋台が並んで騒いで楽しんで。
歓迎と言いながら楽しいことが好きなだけな気もするが‥‥。
流石に他の子供たちがお祭りに行っている中、ルーカスだけ行けないのは可哀想なので深めの帽子を被せて今日の夜は2人でお出かけだ。
少し夜更かしをするので昼寝を促す。最初は楽しみで仕方がない様子で寝っ転がりながらふふふっと笑って転げていた。
安眠できるラベンダーの香りの香を炊いて胸をトントンとしていると呼吸は徐々に穏やかなものに変わりやがて眠りにつく。
2時間ほど寝かせてから起こす。
「ん~?おはよう?」
「ふふっ、おはよう。さあ!準備しましょう!お祭りよ?」
「おまつり‥‥お祭り!!わーい!!」
飛び跳ねて喜ぶ姿にこんなに喜ぶならもっと早く行かせてあげればよかったかなと思う。
「さあ!荷物を準備して。」
「んーとね。これとね。これが必要なの!」
「これは必要?」
「くまさん!必要なの!くまさんも行きたがってるよ!」
「そうなのね?じゃあ一緒に行きましょう!」
「でもね、うさぎさんも行きたがってるの。‥‥入らない。」
バックに入らなくてしょぼんとしてしまう。
ん”んっ!可愛い!!
「そうね。2人は入らないわ。どっちかお留守番してもらってお土産を買って行きましょう?」
「おみやげ‥‥うん!そうする!!じゃあ今日はうさぎさんはおるすばんね!」
小さなリュックを宝物でいっぱいにして準備は万端!
手をしっかりと繋いで活気ある街へ繰り出す。
「わぁ~!すごいね!!すごい!すごい!」
すごいを連発しながら飛び跳ねる我が子は可愛くて仕方がない。
「いい匂い‥‥んふふっ!楽しいね~?」
「ええ、楽しいわね。」
我が子のこんなにキラキラと輝く笑顔が見れたなら連れてきてよかったわ。
「あっち!あっちいこ!!こっちも!!」
ルーカスに連れられるままにお祭りを楽しんだ。
飲み物を買って少し2人で休憩している時だった‥‥。
「よう姉ちゃんひとりか?」
柄の悪い二人組の男に絡まれる。
「俺たちと遊ぼうぜ!」
「なぁ?楽しい事しようぜ?俺らうまいぞ?」
「あの!やめてください!子供がいるんです!」
乱暴に腕を掴まれてそのまま引き摺られてしまうそうな恐怖に駆られる。
「あぁ?何だよ。ガキなんてほっとけ。俺らが遊んでやるっつてんだよ!来いよ!」
「痛っ!やめて!!」
「母さまをいじめるなぁ!!!!」
突然ルーカスが私の腕を掴んでる男の腕に噛み付く。
「ぎゃっ!イッテ。このクソガキが!!!!」
男がルーカスに向かって拳を振り上げるのを見て咄嗟にルーカスに覆い被さる。来るだろう痛みに備えて身を硬くする。
ーー??痛くない?
「大丈夫ですか?レディ。」
涼やかな顔で男の腕を掴み私を心配げに見下ろしているのはサラサラの銀髪に青い瞳の人だ。
一瞬見惚れてしまうほどの美丈夫だ。
「か弱いレディと子どもに暴力だなんてありえない。お前たち覚悟はできているんだろうな?」
「はっ?ざけんなよ!関係ない奴が入ってくんじゃねぇ!」
酔っている男達は気が強くなって気付いていないのだろうか?美丈夫の腕には騎士を象徴する腕章がついているのに‥‥。
「はぁー、おいこいつら連れていけ!」
「はっ!!」
後ろからガタイの良い騎士達が来て男達の腕を捻り上げながら連行していく。
あまりの出来事にぼーっとしてしまう。
「レディ大丈夫ですか?僕、偉かったね。守ろうとしたんだもんね。」
「ぅん‥‥ふぇぇぇん!!!」
「ルーカス!大丈夫よ。ありがとうね。」
泣きながらしゃくりあげる我が子を抱き上げる。しばらくそうしていると疲れて眠ってしまったみたいだ。せっかくの楽しい夜だったのに残念でならない。
「レディ、送っていきましょう。夜道を歩くのは危険です。」
「いえ、あの、せっかくですが結構です。」
「遠慮なさらずに。私が心配で眠れなくなってしまうので送らせていただけませんか?」
彼の好意を無碍にもできなくてお言葉に甘える。
「ではお願いします。」
雑談をしながら家へ向かって2人で歩く彼らの後ろで騎士が呟く言葉をクレアが聞き取ることはなかった。
ーーーー
「まじか?殿下のあんな姿見たの初めてだぜ。」
「奇遇だな。俺もだ。」
「あんな笑顔できるんだな。」
「あの『氷の騎士』がねぇ。」
「なんか面白くなってきた。」
「でもあの女性子連れだよな?結婚してるんじゃ??」
「ぁ‥‥。殿下‥‥どんまいです。」
ーー
第二王子殿下がお越しになられて3日。特に何の変化もなく日常を送っていた。
ここ3日待ちでは歓迎のお祭りが開かれている。あちこちに屋台が並んで騒いで楽しんで。
歓迎と言いながら楽しいことが好きなだけな気もするが‥‥。
流石に他の子供たちがお祭りに行っている中、ルーカスだけ行けないのは可哀想なので深めの帽子を被せて今日の夜は2人でお出かけだ。
少し夜更かしをするので昼寝を促す。最初は楽しみで仕方がない様子で寝っ転がりながらふふふっと笑って転げていた。
安眠できるラベンダーの香りの香を炊いて胸をトントンとしていると呼吸は徐々に穏やかなものに変わりやがて眠りにつく。
2時間ほど寝かせてから起こす。
「ん~?おはよう?」
「ふふっ、おはよう。さあ!準備しましょう!お祭りよ?」
「おまつり‥‥お祭り!!わーい!!」
飛び跳ねて喜ぶ姿にこんなに喜ぶならもっと早く行かせてあげればよかったかなと思う。
「さあ!荷物を準備して。」
「んーとね。これとね。これが必要なの!」
「これは必要?」
「くまさん!必要なの!くまさんも行きたがってるよ!」
「そうなのね?じゃあ一緒に行きましょう!」
「でもね、うさぎさんも行きたがってるの。‥‥入らない。」
バックに入らなくてしょぼんとしてしまう。
ん”んっ!可愛い!!
「そうね。2人は入らないわ。どっちかお留守番してもらってお土産を買って行きましょう?」
「おみやげ‥‥うん!そうする!!じゃあ今日はうさぎさんはおるすばんね!」
小さなリュックを宝物でいっぱいにして準備は万端!
手をしっかりと繋いで活気ある街へ繰り出す。
「わぁ~!すごいね!!すごい!すごい!」
すごいを連発しながら飛び跳ねる我が子は可愛くて仕方がない。
「いい匂い‥‥んふふっ!楽しいね~?」
「ええ、楽しいわね。」
我が子のこんなにキラキラと輝く笑顔が見れたなら連れてきてよかったわ。
「あっち!あっちいこ!!こっちも!!」
ルーカスに連れられるままにお祭りを楽しんだ。
飲み物を買って少し2人で休憩している時だった‥‥。
「よう姉ちゃんひとりか?」
柄の悪い二人組の男に絡まれる。
「俺たちと遊ぼうぜ!」
「なぁ?楽しい事しようぜ?俺らうまいぞ?」
「あの!やめてください!子供がいるんです!」
乱暴に腕を掴まれてそのまま引き摺られてしまうそうな恐怖に駆られる。
「あぁ?何だよ。ガキなんてほっとけ。俺らが遊んでやるっつてんだよ!来いよ!」
「痛っ!やめて!!」
「母さまをいじめるなぁ!!!!」
突然ルーカスが私の腕を掴んでる男の腕に噛み付く。
「ぎゃっ!イッテ。このクソガキが!!!!」
男がルーカスに向かって拳を振り上げるのを見て咄嗟にルーカスに覆い被さる。来るだろう痛みに備えて身を硬くする。
ーー??痛くない?
「大丈夫ですか?レディ。」
涼やかな顔で男の腕を掴み私を心配げに見下ろしているのはサラサラの銀髪に青い瞳の人だ。
一瞬見惚れてしまうほどの美丈夫だ。
「か弱いレディと子どもに暴力だなんてありえない。お前たち覚悟はできているんだろうな?」
「はっ?ざけんなよ!関係ない奴が入ってくんじゃねぇ!」
酔っている男達は気が強くなって気付いていないのだろうか?美丈夫の腕には騎士を象徴する腕章がついているのに‥‥。
「はぁー、おいこいつら連れていけ!」
「はっ!!」
後ろからガタイの良い騎士達が来て男達の腕を捻り上げながら連行していく。
あまりの出来事にぼーっとしてしまう。
「レディ大丈夫ですか?僕、偉かったね。守ろうとしたんだもんね。」
「ぅん‥‥ふぇぇぇん!!!」
「ルーカス!大丈夫よ。ありがとうね。」
泣きながらしゃくりあげる我が子を抱き上げる。しばらくそうしていると疲れて眠ってしまったみたいだ。せっかくの楽しい夜だったのに残念でならない。
「レディ、送っていきましょう。夜道を歩くのは危険です。」
「いえ、あの、せっかくですが結構です。」
「遠慮なさらずに。私が心配で眠れなくなってしまうので送らせていただけませんか?」
彼の好意を無碍にもできなくてお言葉に甘える。
「ではお願いします。」
雑談をしながら家へ向かって2人で歩く彼らの後ろで騎士が呟く言葉をクレアが聞き取ることはなかった。
ーーーー
「まじか?殿下のあんな姿見たの初めてだぜ。」
「奇遇だな。俺もだ。」
「あんな笑顔できるんだな。」
「あの『氷の騎士』がねぇ。」
「なんか面白くなってきた。」
「でもあの女性子連れだよな?結婚してるんじゃ??」
「ぁ‥‥。殿下‥‥どんまいです。」
282
お気に入りに追加
457
あなたにおすすめの小説

転生先が意地悪な王妃でした。うちの子が可愛いので今日から優しいママになります! ~陛下、もしかして一緒に遊びたいのですか?
朱音ゆうひ
恋愛
転生したら、我が子に冷たくする酷い王妃になってしまった!
「お母様、謝るわ。お母様、今日から変わる。あなたを一生懸命愛して、優しくして、幸せにするからね……っ」
王子を抱きしめて誓った私は、その日から愛情をたっぷりと注ぐ。
不仲だった夫(国王)は、そんな私と息子にそわそわと近づいてくる。
もしかして一緒に遊びたいのですか、あなた?
他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5296ig/)

前世を思い出したので、最愛の夫に会いに行きます!
お好み焼き
恋愛
ずっと辛かった。幼き頃から努力を重ね、ずっとお慕いしていたアーカイム様の婚約者になった後も、アーカイム様はわたくしの従姉妹のマーガレットしか見ていなかったから。だから精霊王様に頼んだ。アーカイム様をお慕いするわたくしを全て消して下さい、と。
……。
…………。
「レオくぅーん!いま会いに行きます!」

騎士団寮のシングルマザー
古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。
突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。
しかし、目を覚ますとそこは森の中。
異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる!
……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!?
※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。
※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。

最悪なお見合いと、執念の再会
当麻月菜
恋愛
伯爵令嬢のリシャーナ・エデュスは学生時代に、隣国の第七王子ガルドシア・フェ・エデュアーレから告白された。
しかし彼は留学期間限定の火遊び相手を求めていただけ。つまり、真剣に悩んだあの頃の自分は黒歴史。抹消したい過去だった。
それから一年後。リシャーナはお見合いをすることになった。
相手はエルディック・アラド。侯爵家の嫡男であり、かつてリシャーナに告白をしたクズ王子のお目付け役で、黒歴史を知るただ一人の人。
最低最悪なお見合い。でも、もう片方は執念の再会ーーの始まり始まり。

じゃない方の私が何故かヤンデレ騎士団長に囚われたのですが
カレイ
恋愛
天使な妹。それに纏わりつく金魚のフンがこの私。
両親も妹にしか関心がなく兄からも無視される毎日だけれど、私は別に自分を慕ってくれる妹がいればそれで良かった。
でもある時、私に嫉妬する兄や婚約者に嵌められて、婚約破棄された上、実家を追い出されてしまう。しかしそのことを聞きつけた騎士団長が何故か私の前に現れた。
「ずっと好きでした、もう我慢しません!あぁ、貴方の匂いだけで私は……」
そうして、何故か最強騎士団長に囚われました。

この罰は永遠に
豆狸
恋愛
「オードリー、そなたはいつも私達を見ているが、一体なにが楽しいんだ?」
「クロード様の黄金色の髪が光を浴びて、キラキラ輝いているのを見るのが好きなのです」
「……ふうん」
その灰色の瞳には、いつもクロードが映っていた。
なろう様でも公開中です。
旦那様、愛人を作ってもいいですか?
ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。
「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」
これ、旦那様から、初夜での言葉です。
んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと?
’18/10/21…おまけ小話追加

誰も残らなかった物語
悠十
恋愛
アリシアはこの国の王太子の婚約者である。
しかし、彼との間には愛は無く、将来この国を共に治める同士であった。
そんなある日、王太子は愛する人を見付けた。
アリシアはそれを支援するために奔走するが、上手くいかず、とうとう冤罪を掛けられた。
「嗚呼、可哀そうに……」
彼女の最後の呟きは、誰に向けてのものだったのか。
その呟きは、誰に聞かれる事も無く、断頭台の露へと消えた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる