唯一の味方だった婚約者に裏切られ失意の底で顔も知らぬ相手に身を任せた結果溺愛されました

ララ

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七話

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「悪いようにはしないさ。」

「ルーカスは私の全てです。お願いします。奪わないでください!!」

「頭を上げて。悪いようにはしないと言っただろう?」

「あの‥‥?」

「順番が遅れてすまない。改めて私はテオドールだ。テオドール・クラウディオ。この国の第二王子さ。知っているかもしれないけれど。」

これでも侯爵家の令嬢だったのだ。王家の人間の名前くらい知っている。

「存じております。私はミレイアです。」 

そう、ただのミレイア。もう家名を名乗ることはない。

「ミレイア。私と結婚してくれないか?」

「ーーえ?」

「ルーカスは私の子だろう?さすがに王家の血を引くルーカスをそのままにはしておけないし、君は離れたくない。なら私たちが結婚してしまえばいい。」

「え、あ‥‥えぇ?」

混乱していると今まで大人しくしていたルーカスがいきなり声を上げた。

「おじさんぱぱ?僕のパパになるの??」

キラキラと瞳を輝かせてそう問いかけるルーカスを見てなんとも言えない気持ちになる。

父親がいないことを理解して何も言わずにいたこの子はやはり父親という存在に憧れていたのだ。ただ私が悲しむから言わないだけ。今までずっと我慢させてしまっていた。

「そうだ。私が君のパパだよ。」

「パパ!抱っこ!!」

「ほらおいで。」

テオドール殿下とルーカス。まるで肖像画のように綺麗な2人。やっぱり親子なのね。似ているわ。

「テオドール殿下。私は平民です。現実問題、結婚は不可能なのでは?」

「ねえ、ミレイア。君のその髪色と瞳の色は元から?あの時君は銀髪に紫色の瞳をしていたと思うんだけど。」

魔道具を外す。

「やっぱりね。」

「助けていただいた方に言われたのです。この髪と瞳は目立ちすぎる、と。だから魔道具でありふれた色に変えていたのです。」

「懸命な判断だね。その色じゃ厄介なことに巻き込まれかねない。ミレイア。とりあえず場所を移そう。一緒に来てくれるかい?」

「はい。」

村人たちに簡単に説明し、別れを告げる。殿下と同じ馬車に揺られること2日ほど。

王都についた。

正直少し怖い。あの時の記憶が蘇ってくる。

「大丈夫か?ほらおいで。」

躊躇せずに私の手を握ってくれる。

温かい。温かくて大きくて安心する。

連れて行かれたのは個室のレストランだ。

「まずは腹ごしらえだ。もうお昼の時間だからね。話は後にしよう。」

一流のシェフが作ったコース料理はどれも頬が落ちるほど美味しかった。ルーカスなんて夢中で食べてたわ。

「さて、ルーカスは私の侍女が預かろう。」

「お願いします。」

「話の続きをしようか。」
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