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三話
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*若干R18の内容含む
唯一の楽しみは婚約者との一ヶ月に一度の逢瀬だけ。
だったのに‥‥。
信じられない。
目の前で私を嘲笑うのがあのセルジオだなんて。ニーナと一緒になって楽しそうに笑うのは私の婚約者のはずのセルジオ。
彼の口からは私に対する暴言が溢れる。
わかってた。心のどこかでは‥‥。
でも信じられなかった、信じたくなかった!!
私と会うのは一ヶ月に一度だけだったのに彼は週に何度も侯爵家を訪れていた。何度も見たことがある。
セルジオとニーナが2人で侯爵家の庭園に入っていく様を。
楽しそうに手を繋いでいるのを‥‥。
私と2人で会う時の彼はいつも私に味方してくれた。
だから‥‥こんな。
裏切るくらいなら‥‥なんで私に優しくしたのよ!!
あの日、両親を失って叔父に騙され全てを失った日以来一度も流したことのなかった涙が溢れる。
この涙を止める術を私は知らない。
「あらぁ~?お姉さま泣いちゃったわぁ??かわいそうにぃ~。」
「はっ!気持ち悪いな。ニーナ、ほらそんなの見てないで行こうぜ?」
「あらそうね。行きましょう!!あっでもこれからのことちゃんと教えてあげないとぉ。」
「ああ、そうか。ニーナは優しいなぁ。」
「なに‥‥これからって‥‥。」
涙声で問いかける。
「お父様がね。言っていたの。今年であなた18歳でしょう?あの契約書の効果が切れてしまうのよねぇ。だからあなたには侯爵家を継げない体になってもらう必要があるの。」
「侯爵家を継げない体‥‥?」
「優しいでしょ?私がお願いしたのよ。お父様ったらあなたを殺すって言うんだもの。それじゃつまらな‥‥かわいそうでしょう?だから別の方法を頼んだのよぉ。」
「別の方法‥‥。」
「そう、お姉さまは病弱なのに外を見たくて屋敷を抜け出してその先で悪い男に捕まってしまうの。そして不貞の子を孕むのよ。」
「何‥‥何を言って‥‥?」
ニーナの言葉を理解することを頭が拒む。
なんで言った‥‥?
いや、いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや
「ふんっ!ほらニーナ。もうそれ以上はいいだろ?いくぞ!!」
「ええ、そうね。さあやりなさい!!」
ニーナの言葉にどこから出てきたのか柄の悪い男たちが私を取り囲む。
ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべる。
人を嬲り遊ぶことが快感だと言う狂った男たち。
私はこの男たちに犯されるの‥‥?
望まない子を産まされるの‥‥??
複数の手に無理やり押さえつけられ、何かを強制的に飲まされる。
「ングッいや!!ーーゴボッ‥‥。」
いやよ。絶対にいや!!
この時、私の中で何かが切れた音がした。
どこにそんな力があったのかは私でもわからなかった。
それでも無我夢中で暴れて自分よりも屈強な男たちの手から逃れた。
服は破け、顔は涙でぐちゃぐちゃで酷い顔をしていたと思う。
それでも私はその足で侯爵家を飛び出した。
もう何もかもどうでもよかった。
殺されるならせめて痛くないように‥‥とか思ってたけど。
こんなのは嫌!!
人としての尊厳すら奪われるなんて。息が切れる。
それでも止まらない。
あの男たちが追いかけてくる足音が聞こえるようで‥‥。
実際にはもう追ってきてはいなかったけれど。そのことも認識できないくらい必死だった。
唯一の楽しみは婚約者との一ヶ月に一度の逢瀬だけ。
だったのに‥‥。
信じられない。
目の前で私を嘲笑うのがあのセルジオだなんて。ニーナと一緒になって楽しそうに笑うのは私の婚約者のはずのセルジオ。
彼の口からは私に対する暴言が溢れる。
わかってた。心のどこかでは‥‥。
でも信じられなかった、信じたくなかった!!
私と会うのは一ヶ月に一度だけだったのに彼は週に何度も侯爵家を訪れていた。何度も見たことがある。
セルジオとニーナが2人で侯爵家の庭園に入っていく様を。
楽しそうに手を繋いでいるのを‥‥。
私と2人で会う時の彼はいつも私に味方してくれた。
だから‥‥こんな。
裏切るくらいなら‥‥なんで私に優しくしたのよ!!
あの日、両親を失って叔父に騙され全てを失った日以来一度も流したことのなかった涙が溢れる。
この涙を止める術を私は知らない。
「あらぁ~?お姉さま泣いちゃったわぁ??かわいそうにぃ~。」
「はっ!気持ち悪いな。ニーナ、ほらそんなの見てないで行こうぜ?」
「あらそうね。行きましょう!!あっでもこれからのことちゃんと教えてあげないとぉ。」
「ああ、そうか。ニーナは優しいなぁ。」
「なに‥‥これからって‥‥。」
涙声で問いかける。
「お父様がね。言っていたの。今年であなた18歳でしょう?あの契約書の効果が切れてしまうのよねぇ。だからあなたには侯爵家を継げない体になってもらう必要があるの。」
「侯爵家を継げない体‥‥?」
「優しいでしょ?私がお願いしたのよ。お父様ったらあなたを殺すって言うんだもの。それじゃつまらな‥‥かわいそうでしょう?だから別の方法を頼んだのよぉ。」
「別の方法‥‥。」
「そう、お姉さまは病弱なのに外を見たくて屋敷を抜け出してその先で悪い男に捕まってしまうの。そして不貞の子を孕むのよ。」
「何‥‥何を言って‥‥?」
ニーナの言葉を理解することを頭が拒む。
なんで言った‥‥?
いや、いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや
「ふんっ!ほらニーナ。もうそれ以上はいいだろ?いくぞ!!」
「ええ、そうね。さあやりなさい!!」
ニーナの言葉にどこから出てきたのか柄の悪い男たちが私を取り囲む。
ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべる。
人を嬲り遊ぶことが快感だと言う狂った男たち。
私はこの男たちに犯されるの‥‥?
望まない子を産まされるの‥‥??
複数の手に無理やり押さえつけられ、何かを強制的に飲まされる。
「ングッいや!!ーーゴボッ‥‥。」
いやよ。絶対にいや!!
この時、私の中で何かが切れた音がした。
どこにそんな力があったのかは私でもわからなかった。
それでも無我夢中で暴れて自分よりも屈強な男たちの手から逃れた。
服は破け、顔は涙でぐちゃぐちゃで酷い顔をしていたと思う。
それでも私はその足で侯爵家を飛び出した。
もう何もかもどうでもよかった。
殺されるならせめて痛くないように‥‥とか思ってたけど。
こんなのは嫌!!
人としての尊厳すら奪われるなんて。息が切れる。
それでも止まらない。
あの男たちが追いかけてくる足音が聞こえるようで‥‥。
実際にはもう追ってきてはいなかったけれど。そのことも認識できないくらい必死だった。
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