14 / 28
大きな熊のぬいぐるみ
しおりを挟む
初めてエルネストを見たあの日から、私はずっと彼を見つめてきた。だから彼のことなら何だって知っていると、これだけは王女様にだって負けはしないと、勝てるかもしれない唯一だと、恐れながらそう思っているの。
もちろん王女様の前で、その自室で、プライベートな空間で、そこでの王女様の前での彼のことはわからないけれど、それ以外ならきっと誰よりも、私は彼のことを知っている。
彼が正式な騎士になったその瞬間も、その喜びも、王女様であるマリーアンジュ様を初めて見た瞬間の彼の喜びと決意も、私は一番近くでずっと見てきた。
その瞬間、彼の一番がはっきりと定まったことも。
マリーアンジュ様の護衛騎士になれた報告だって誰よりも真っ先にしてもらった。
理想が現実になってからの彼はそれまでよりももっとずっと輝いて見えて、私はそんな彼が好きだった。
結局のところ、王女様を見つめるエルネストを、言うなれば王女様ごと、私は彼を愛してしまっている。だからきっとこうなることは仕方がなかったのよね。エルネストと一緒にいる王女様のことだって気付くと私は見つめてしまっていたから、あの方が素晴らしい方なのはエルネストから聞かなくてもちゃんとわかっているんだもの。
気づけば彼が今いるであろう屋敷のエントランスを思い浮かべながら、視線を向けていた。
いつまでそうして虚空を見つめていたのか、静かな空間に気づいてハッとする。
「あ、ごめんなさい先生……。来ていただいたのにぼーっとしてしまって」
「いえ、構いませんよ。気を抜いていただけるのが一番です。それにしても随分と賑やかなお部屋になりましたね」
今日も診察に来てくれていたヘイリーウッド先生が穏やかに笑って室内を見渡した。
私もその視線を追うように、つられてぐるりと部屋の中に視線を巡らせた。
最低限の装飾しかなかった、落ち着いた印象のあったこの部屋は、今では雑多としている。
統一感のない宝石や置物が飾られていて、それはどれもこれもエルネストがハンナに預けた私へのプレゼント。捨てられるはずもないそれを部屋に全て並べているから、まとまりはない。
「ええ、この一月ほどの間に随分と増えてしまいましたから」
この街に来てからのいつもと変わらない日常に、エルネストの訪問が加わって、それすらも当たり前になり始めてしまっている。彼が通い始めて、もうそろそろ一月が経ってしまう。彼は毎日何かしらのプレゼントを持ってこの屋敷を訪れる。
「会わないのですか?」
先生の声は相変わらず穏やかで優しい。私を責める様子も、否定する様子も感じられない。
「会えない、です。私はもう、一度逃げ出してしまった人間だから、どんな顔をして彼に会えばいいのか、もうわからないんです」
傷跡はもう消えてしまった。
よく見るとまだうっすらと見えるけれど、私自身でももう簡単には見つけられなくなってしまった。
それなのに、私はまだ彼に会えないでいる。
「でもお嬢様は、会いたいのですよね」
会いたい。
でも、会えない。
「会ってしまったら、どうして王女様なのって、私を一番にしてくれないのって、叫んでしまいそうだから。私はもうきっと、完璧な妻を演じることはできない。それに、お腹の子も守れなかった、母親としても失格だから」
彼の前に立つ自信なんて、資格なんて、ない。
これは独り言。
先生の質問に答えたわけではない、吐き出してしまっただけの、ただの独り言なの。
それでも先生は穏やかに笑ったまま続けてくれた。
「いいんですよ、それでも。完璧じゃなくてもいいんです。アリシアお嬢様は頑張りましたから。今までが頑張りすぎていただけなんですよ」
先生の静かに紡がれる言葉に、思わず下がってしまっていた視線をあげる。
「体の傷と同じように、心だって傷がついてしまうんですよ。許容できるものには限界があります。だから、我慢をしすぎると中から溢れてしまうんです。心を突き破って、大きな傷になってしまうんです」
「心の傷……」
「お嬢様は、旦那様に怒っても貶しても、張り手くらいしたって、構わないんですよ。たまには全て吐き出すことも大切です。だから、大丈夫ですよ」
先生の声は優しく穏やかなまま。静かに静かに紡がれる言葉は自然と耳に入ってくる。
「わかってるの。エルネストはもう、一月近くここにいる。仕事とか家のこととか、大丈夫なのか確認しないと、話をしないと……そう、思っているの」
そんなのはただの言い訳。
建前だけのそんな理由でもつけないと、私は彼に会おうとも思えない。
「そうですね。お嬢様の気がむいた時にはそうしましょう。もちろん無理に会う必要もないんですよ」
先生の肯定の声に、次こそは声をかけられるかしらと、そう思った。
________________
エルネストの対応をしてくれていたハンナが戻ってきたときには、その両手に随分と大きな何かを必死に抱えていた。きっとエルネストから受け取ったであろうそれを顰めっ面で、心底嫌そうに、それでも落とさないように部屋の中に入ってきた。
まるでハンナを隠してしまいそうなほど、その背丈ほどありそうな大きな包みを見て、先生が慌てて手伝いに駆け寄ってくれる。
「ありがとうございます、先生」
「いえ、これくらいは。ですが、これは一体……?」
ハンナから受け取った大きな包みを私の近くにおろしてくれた先生は、不思議そうにそれを見つめていた。けれど私もその中身は流石に想像することもできなくて。
「また旦那様からアリシア様への贈り物、なんですが……」
本当に、人でも入っていそうな大きさの包みはいつもと同じように上部に可愛らしいリボンが付いているから、やっぱりエルネストからのプレゼントで間違いはないのでしょう、とハンナの言葉もあって私はそっと手を伸ばした。
「今日の旦那様も全くもって意味不明です。中身は今度こそ絶対喜ばれるとなぜか自信を持っているようでしたが、私は信じられません」
今日も辛辣なハンナに私は苦笑を隠せない。
可愛らしいけれどとても大きな包みを必死に睨みつけているハンナ、何だか不思議な光景で、私は包みを開けるためにハンナに手招きをした。
二人で一緒に開いた包みの口からまず見えたのは二つの丸い物体だった。ちょこんと左右に見えるそれはイエローブロンドで、もこもことしていそうなそんな感じ。随分と触り心地が良さそうな丸だわ、とそれが何なのかは分からず呆然と見つめてしまう。
そのあとは大きな顔が見えてきた。
クリクリとした瞳の……、これは熊、かしら?
それは座っている体制なのに私よりも大きい、きっと抱きついても腕が回りきらないような、大きは大きなイエローブロンドの熊がそこには鎮座していた。
「……こんなに大きなぬいぐるみ初めて見たわ」
「首のところ、大きな宝石も付いていますね。やっぱり旦那様、趣味悪いです……」
じーっと、大きな熊の首元を見つめて言うその声に、私も先生も返す言葉は見つからなかった。
ハンナの言うとおり、その首元には宝石が飾られていて、それも熊に負けないくらい大きなブローチで、ダイヤモンドを中心に色とりどりの宝石がその周りに飾られている。美しい金細工がちらりと見えるけれど、せっかくの綺麗な装飾も埋もれてしまっている。
流石にこれをつけられるドレスは王都中を探しても見つけられないでしょうね。
まるで部屋の主かのように全力で主張している大きな宝石をつけたぬいぐるみを見つめながら、私も首を傾げるほかなかった。
どこに売っていたのかしらね、このぬいぐるみ。
大きすぎて少し威圧的にも感じるけれど、顔の作りは愛嬌があってなかなか可愛らしい。
置き場所に悩むけれど他に飾っておくところも思い浮かばないし……、とりあえずこの部屋の住人となってもらうしかなさそうね。
「ぬいぐるみを抱いて寝るのも精神の安定になる、こともあるはずなんですが、流石にこれはそんなサイズではありませんね」
先生が熊のぬいぐるみをじっと見つめながら苦笑した。
そうね、この子が隣にいたら何だか落ち着かなそう。慣れたら手放せなくなるのかしら。すごく可愛い熊ではあるのだけれど。
相変わらずこの部屋は不思議なものが増えていって賑やかになる一方。
「さあ、お茶会の続きをしましょう」
ハンナを手招きして、3人でお茶の続きをする。エルネストがプレゼントと一緒に王都の使用人からだと言うお菓子を一緒に渡してくれるから最近ではそれをテーブルに並べている。
使用人たちからだというお菓子は私の好きだったものばかりで、王都にしかないお店のものだからすごく嬉しいの。みんなにも心配をかけてしまっているし、早く安心させて上げないといけないわよね。
お菓子を食べて機嫌を直すハンナを見つめながらやっぱり思うのはそんなこと。
もちろん王女様の前で、その自室で、プライベートな空間で、そこでの王女様の前での彼のことはわからないけれど、それ以外ならきっと誰よりも、私は彼のことを知っている。
彼が正式な騎士になったその瞬間も、その喜びも、王女様であるマリーアンジュ様を初めて見た瞬間の彼の喜びと決意も、私は一番近くでずっと見てきた。
その瞬間、彼の一番がはっきりと定まったことも。
マリーアンジュ様の護衛騎士になれた報告だって誰よりも真っ先にしてもらった。
理想が現実になってからの彼はそれまでよりももっとずっと輝いて見えて、私はそんな彼が好きだった。
結局のところ、王女様を見つめるエルネストを、言うなれば王女様ごと、私は彼を愛してしまっている。だからきっとこうなることは仕方がなかったのよね。エルネストと一緒にいる王女様のことだって気付くと私は見つめてしまっていたから、あの方が素晴らしい方なのはエルネストから聞かなくてもちゃんとわかっているんだもの。
気づけば彼が今いるであろう屋敷のエントランスを思い浮かべながら、視線を向けていた。
いつまでそうして虚空を見つめていたのか、静かな空間に気づいてハッとする。
「あ、ごめんなさい先生……。来ていただいたのにぼーっとしてしまって」
「いえ、構いませんよ。気を抜いていただけるのが一番です。それにしても随分と賑やかなお部屋になりましたね」
今日も診察に来てくれていたヘイリーウッド先生が穏やかに笑って室内を見渡した。
私もその視線を追うように、つられてぐるりと部屋の中に視線を巡らせた。
最低限の装飾しかなかった、落ち着いた印象のあったこの部屋は、今では雑多としている。
統一感のない宝石や置物が飾られていて、それはどれもこれもエルネストがハンナに預けた私へのプレゼント。捨てられるはずもないそれを部屋に全て並べているから、まとまりはない。
「ええ、この一月ほどの間に随分と増えてしまいましたから」
この街に来てからのいつもと変わらない日常に、エルネストの訪問が加わって、それすらも当たり前になり始めてしまっている。彼が通い始めて、もうそろそろ一月が経ってしまう。彼は毎日何かしらのプレゼントを持ってこの屋敷を訪れる。
「会わないのですか?」
先生の声は相変わらず穏やかで優しい。私を責める様子も、否定する様子も感じられない。
「会えない、です。私はもう、一度逃げ出してしまった人間だから、どんな顔をして彼に会えばいいのか、もうわからないんです」
傷跡はもう消えてしまった。
よく見るとまだうっすらと見えるけれど、私自身でももう簡単には見つけられなくなってしまった。
それなのに、私はまだ彼に会えないでいる。
「でもお嬢様は、会いたいのですよね」
会いたい。
でも、会えない。
「会ってしまったら、どうして王女様なのって、私を一番にしてくれないのって、叫んでしまいそうだから。私はもうきっと、完璧な妻を演じることはできない。それに、お腹の子も守れなかった、母親としても失格だから」
彼の前に立つ自信なんて、資格なんて、ない。
これは独り言。
先生の質問に答えたわけではない、吐き出してしまっただけの、ただの独り言なの。
それでも先生は穏やかに笑ったまま続けてくれた。
「いいんですよ、それでも。完璧じゃなくてもいいんです。アリシアお嬢様は頑張りましたから。今までが頑張りすぎていただけなんですよ」
先生の静かに紡がれる言葉に、思わず下がってしまっていた視線をあげる。
「体の傷と同じように、心だって傷がついてしまうんですよ。許容できるものには限界があります。だから、我慢をしすぎると中から溢れてしまうんです。心を突き破って、大きな傷になってしまうんです」
「心の傷……」
「お嬢様は、旦那様に怒っても貶しても、張り手くらいしたって、構わないんですよ。たまには全て吐き出すことも大切です。だから、大丈夫ですよ」
先生の声は優しく穏やかなまま。静かに静かに紡がれる言葉は自然と耳に入ってくる。
「わかってるの。エルネストはもう、一月近くここにいる。仕事とか家のこととか、大丈夫なのか確認しないと、話をしないと……そう、思っているの」
そんなのはただの言い訳。
建前だけのそんな理由でもつけないと、私は彼に会おうとも思えない。
「そうですね。お嬢様の気がむいた時にはそうしましょう。もちろん無理に会う必要もないんですよ」
先生の肯定の声に、次こそは声をかけられるかしらと、そう思った。
________________
エルネストの対応をしてくれていたハンナが戻ってきたときには、その両手に随分と大きな何かを必死に抱えていた。きっとエルネストから受け取ったであろうそれを顰めっ面で、心底嫌そうに、それでも落とさないように部屋の中に入ってきた。
まるでハンナを隠してしまいそうなほど、その背丈ほどありそうな大きな包みを見て、先生が慌てて手伝いに駆け寄ってくれる。
「ありがとうございます、先生」
「いえ、これくらいは。ですが、これは一体……?」
ハンナから受け取った大きな包みを私の近くにおろしてくれた先生は、不思議そうにそれを見つめていた。けれど私もその中身は流石に想像することもできなくて。
「また旦那様からアリシア様への贈り物、なんですが……」
本当に、人でも入っていそうな大きさの包みはいつもと同じように上部に可愛らしいリボンが付いているから、やっぱりエルネストからのプレゼントで間違いはないのでしょう、とハンナの言葉もあって私はそっと手を伸ばした。
「今日の旦那様も全くもって意味不明です。中身は今度こそ絶対喜ばれるとなぜか自信を持っているようでしたが、私は信じられません」
今日も辛辣なハンナに私は苦笑を隠せない。
可愛らしいけれどとても大きな包みを必死に睨みつけているハンナ、何だか不思議な光景で、私は包みを開けるためにハンナに手招きをした。
二人で一緒に開いた包みの口からまず見えたのは二つの丸い物体だった。ちょこんと左右に見えるそれはイエローブロンドで、もこもことしていそうなそんな感じ。随分と触り心地が良さそうな丸だわ、とそれが何なのかは分からず呆然と見つめてしまう。
そのあとは大きな顔が見えてきた。
クリクリとした瞳の……、これは熊、かしら?
それは座っている体制なのに私よりも大きい、きっと抱きついても腕が回りきらないような、大きは大きなイエローブロンドの熊がそこには鎮座していた。
「……こんなに大きなぬいぐるみ初めて見たわ」
「首のところ、大きな宝石も付いていますね。やっぱり旦那様、趣味悪いです……」
じーっと、大きな熊の首元を見つめて言うその声に、私も先生も返す言葉は見つからなかった。
ハンナの言うとおり、その首元には宝石が飾られていて、それも熊に負けないくらい大きなブローチで、ダイヤモンドを中心に色とりどりの宝石がその周りに飾られている。美しい金細工がちらりと見えるけれど、せっかくの綺麗な装飾も埋もれてしまっている。
流石にこれをつけられるドレスは王都中を探しても見つけられないでしょうね。
まるで部屋の主かのように全力で主張している大きな宝石をつけたぬいぐるみを見つめながら、私も首を傾げるほかなかった。
どこに売っていたのかしらね、このぬいぐるみ。
大きすぎて少し威圧的にも感じるけれど、顔の作りは愛嬌があってなかなか可愛らしい。
置き場所に悩むけれど他に飾っておくところも思い浮かばないし……、とりあえずこの部屋の住人となってもらうしかなさそうね。
「ぬいぐるみを抱いて寝るのも精神の安定になる、こともあるはずなんですが、流石にこれはそんなサイズではありませんね」
先生が熊のぬいぐるみをじっと見つめながら苦笑した。
そうね、この子が隣にいたら何だか落ち着かなそう。慣れたら手放せなくなるのかしら。すごく可愛い熊ではあるのだけれど。
相変わらずこの部屋は不思議なものが増えていって賑やかになる一方。
「さあ、お茶会の続きをしましょう」
ハンナを手招きして、3人でお茶の続きをする。エルネストがプレゼントと一緒に王都の使用人からだと言うお菓子を一緒に渡してくれるから最近ではそれをテーブルに並べている。
使用人たちからだというお菓子は私の好きだったものばかりで、王都にしかないお店のものだからすごく嬉しいの。みんなにも心配をかけてしまっているし、早く安心させて上げないといけないわよね。
お菓子を食べて機嫌を直すハンナを見つめながらやっぱり思うのはそんなこと。
530
お気に入りに追加
8,047
あなたにおすすめの小説

そういうとこだぞ
あとさん♪
恋愛
「そういえば、なぜオフィーリアが出迎えない? オフィーリアはどうした?」
ウィリアムが宮廷で宰相たちと激論を交わし、心身ともに疲れ果ててシャーウッド公爵家に帰ったとき。
いつもなら出迎えるはずの妻がいない。
「公爵閣下。奥さまはご不在です。ここ一週間ほど」
「――は?」
ウィリアムは元老院議員だ。彼が王宮で忙しく働いている間、公爵家を守るのは公爵夫人たるオフィーリアの役目である。主人のウィリアムに断りもなく出かけるとはいかがなものか。それも、息子を連れてなど……。
これは、どこにでもいる普通の貴族夫婦のお話。
彼らの選んだ未来。
※設定はゆるんゆるん。
※作者独自のなんちゃってご都合主義異世界だとご了承ください。
※この話は小説家になろうにも掲載しています。

この恋に終止符(ピリオド)を
キムラましゅろう
恋愛
好きだから終わりにする。
好きだからサヨナラだ。
彼の心に彼女がいるのを知っていても、どうしても側にいたくて見て見ぬふりをしてきた。
だけど……そろそろ潮時かな。
彼の大切なあの人がフリーになったのを知り、
わたしはこの恋に終止符(ピリオド)をうつ事を決めた。
重度の誤字脱字病患者の書くお話です。
誤字脱字にぶつかる度にご自身で「こうかな?」と脳内変換して頂く恐れがあります。予めご了承くださいませ。
完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。
菩薩の如く広いお心でお読みくださいませ。
そして作者はモトサヤハピエン主義です。
そこのところもご理解頂き、合わないなと思われましたら回れ右をお勧めいたします。
小説家になろうさんでも投稿します。


私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。

愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。

【完結】愛しい人、妹が好きなら私は身を引きます。
王冠
恋愛
幼馴染のリュダールと八年前に婚約したティアラ。
友達の延長線だと思っていたけど、それは恋に変化した。
仲睦まじく過ごし、未来を描いて日々幸せに暮らしていた矢先、リュダールと妹のアリーシャの密会現場を発見してしまい…。
書きながらなので、亀更新です。
どうにか完結に持って行きたい。
ゆるふわ設定につき、我慢がならない場合はそっとページをお閉じ下さい。

【完結】貴方の傍に幸せがないのなら
なか
恋愛
「みすぼらしいな……」
戦地に向かった騎士でもある夫––ルーベル。
彼の帰りを待ち続けた私––ナディアだが、帰還した彼が発した言葉はその一言だった。
彼を支えるために、寝る間も惜しんで働き続けた三年。
望むままに支援金を送って、自らの生活さえ切り崩してでも支えてきたのは……また彼に会うためだったのに。
なのに、なのに貴方は……私を遠ざけるだけではなく。
妻帯者でありながら、この王国の姫と逢瀬を交わし、彼女を愛していた。
そこにはもう、私の居場所はない。
なら、それならば。
貴方の傍に幸せがないのなら、私の選択はただ一つだ。
◇◇◇◇◇◇
設定ゆるめです。
よろしければ、読んでくださると嬉しいです。

【完結済】政略結婚予定の婚約者同士である私たちの間に、愛なんてあるはずがありません!……よね?
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
「どうせ互いに望まぬ政略結婚だ。結婚までは好きな男のことを自由に想い続けていればいい」「……あらそう。分かったわ」婚約が決まって以来初めて会った王立学園の入学式の日、私グレース・エイヴリー侯爵令嬢の婚約者となったレイモンド・ベイツ公爵令息は軽く笑ってあっさりとそう言った。仲良くやっていきたい気持ちはあったけど、なぜだか私は昔からレイモンドには嫌われていた。
そっちがそのつもりならまぁ仕方ない、と割り切る私。だけど学園生活を過ごすうちに少しずつ二人の関係が変わりはじめ……
※※ファンタジーなご都合主義の世界観でお送りする学園もののお話です。史実に照らし合わせたりすると「??」となりますので、どうぞ広い心でお読みくださいませ。
※※大したざまぁはない予定です。気持ちがすれ違ってしまっている二人のラブストーリーです。
※この作品は小説家になろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる