上 下
37 / 42
第1章

36.こうして彼らは飛び出す

しおりを挟む
 ようやく宿に戻ると、聖奈たちは当たり前のようにウェインとラピスにあてがわれた部屋へと向かった。
 真っ直ぐにソファの上に置いたバッグを開けば、隠れていたルキフェルが飛び出す。横目でそれを眺めて口元を緩ませたのも僅か。ソファに腰掛けた聖奈の腕は、目の前から伸びてきた細い手に取られた。

「……いっ!」
「これほど深く切られていれば、痛むのは当たり前です! ご自身でもご覧になってください。布もお洋服の袖も、真っ赤じゃないですか!」

 情けなく悲鳴を上げかけた聖奈をぴしゃりと咎めたのは、外套を脱いで眉をつりあげ怒りを示すアリシアだ。
 止血のために巻きつけられた布を丁寧に外して、彼女はそれを聖奈に見えるようにと突き出すように持ち上げた。
 聖奈はそれを眺め、

「うぇ、血濡ちまみれ……」
「ええっ、何ですかその反応?」

 思いっきり顰めた顔を背ける。
 途端にアリシアが驚いたような声を上げたが、聖奈にとっては当然の反応だった。
 覚えている限り、過去にも此処までの怪我を負ったことはない。さらに言えば、誰かが大怪我を負った姿を見たことも当然ない。あちらの世界であれば、大多数の人間がそうであろう。
 故にやっと落ち着ける場所に戻れた聖奈にとって真新しい血で染まった布と、それと傷口周辺から漂う鉄のような独特の臭いは、到底受け入れられるものではなかった。

「いやだって仕方ないんだよ、これまでに此処まで酷い怪我したことってないし、病気もしたことないし。遺跡での時も気分は、うぅ……やっぱり血の臭いって好きじゃない……」
「血の臭い好きなのってヴァンパイアくらいだろうから、それは正常だわ。不思議なのは、戦ってる時は平気そうってことだよなぁ?」

 ソファの後ろ側から背もたれに片肘をつき、不思議そうな視線を寄越すウェインに、聖奈は目をしばたかせる。
 言われてみれば確かにそうだ。何故あの時は臭いを気にしなかったのだろう? 流石に血飛沫を見たときには血の気は引いたし、負わせた怪我の具合に関しても気が気ではなかったのだけれど。
 どうしてだろう、と首を傾げると、ウェインは困り顔で苦笑した。

「やー、そんな顔されてもセナちゃん本人がわかんねーなら、ウェインさんもわかんねーわ」
「だよねぇ」
「でもそういうとこ好きー」
「私はウェインのそういうとこきらーい」
「フラれたー!」

 がっくりと背もたれに突っ伏したウェインは無視しておく。どうせすぐに復活するのだ。ほら、恨みがましい視線を寄越してきた。
 くすくすと微笑んでいると、患部に暖かな温もりを感じてそちらを見ると、両目を伏せてアリシアがかざす手のひらから、淡い光が溢れ出している。その光に包まれ、ふわふわと漂う光の粒子が触れる裂傷がみるみるうちに塞がれていた。
 光の正体は、アリシアが得意とする回復魔法だ。原理としては生物の持つ自然治癒力の促進とのことだが、ルキフェルやウェインによれば、対象の負った傷を跡も残さず癒すまでの回復魔法は、それを扱える者全てが使えるわけではない優れたものであるらしい。
 つまり、アリシアの回復魔法は熟練した治癒士に匹敵するものだという。
 手放しに誉められた彼女は、わたしなんてまだまだです、と真っ赤になりながら否定していたが、治療を受ける側になって改めて凄いものだなと感じた。

「……これでおしまいです」
「ありがとう、アリシアちゃん」

 小さく息を吐き、目を開けたアリシアに聖奈は微笑む。
 そっと患部を撫でるが、当然傷跡も残っておらず、違和感も無ければ痛みもない。回復魔法とは本当に凄いものである。
 とはいえ回復魔法が使える者は魔族や神族に多く、人間の使い手は一握り。その少ない中のほとんどは聖職者であり、国に仕えていることもあって平民が回復魔法の恩恵を受けることは少なく、一般的には医者か、はたまた薬師が頼られているそうなのだが。

「血が苦手なのでしたら、無茶をなさらないようにお願いしますね」
「肝に銘じておきます……。でも、なんで平気だったのかなぁ……」

 眉を顰め、心配そうに見詰めてくるアリシアに心底から言って、ぼそりと呟く。
 すると、ルキフェルが目の前のテーブルに悠々と降り立ち、聖奈を見上げた。

「それは貴様の気の高ぶりが原因であろう」

 腕組みをして仁王立ちした姿で言ったルキフェルに、まばたきを数回。

「…………興奮してた覚えはないけど」
「当たり前だ! あの状況で興奮する者が後継者であったなら、我は自害をしておるわ!」
「私だって自分の新たな性癖がそんなんだって判明したら生きていけないよ!」

 というか、血臭で興奮する性癖ってなんだ。変態じゃないか。
 仮定としてそんな人間を想像して、気持ち悪さに身震いする。真横からはそれはちょっと厳しいなー、という声が聞こえた。たぶん誰だってダメだと思う。
 ルキフェルは気を取り直すようにわざとらしい咳を挟むと、じっと聖奈を見据えて口を開いた。

「あの場での貴様は、無意識的に力を引き出していた。結果、力に僅かばかり酔っていたがために、正常時とはズレた感覚だったのだ」
「力への酔い……?」
「精神が未熟な小娘が不相応な力を得れば、その強大さに飲み込まれるのは道理。いつかに我は貴様に問われ、答えたな? 〈魔王〉の力は存在するが、今の状態では暴走し命を落としかねんと。つまりは先の出来事でも、我がいなければ貴様は今頃立派に殺人鬼の仲間入りしていたところだ」
「すっごく怖いことをさらりと言わないでいただけます!?」

 聞き捨てならない単語に、聖奈は思わず叫んだ。否、叫ばずにはいられなかったと言うべきか。
 ただ、さっきまでの〈紅牙の蛇〉に身を置く者達との戦いの中で、聖奈は無意識に〈魔王〉の力を引き出していたらしいことは分かった。なるほど、となると自分でもよくわからないような馬鹿力や身のこなしはそれによるものだったのか。納得だ。
 けれど、幾つか疑問もある。

「でも無意識とはいえ、なんでまた私は唐突に力を引き出せるようになったの? それに、ルキフェルが関係してくる理由もわからないし……」

 小さく首を傾げながら問い掛けると、ルキフェルはふむ、と頷く。

「力を引き出せるようになったのは、街道でのことが切っ掛けであろう。魔剣を顕現出来たのだ、その感覚が脳のどこかに記憶されてもそうおかしくはあるまい」
「じゃあ、そこにルキフェルが関係してくる理由は?」
「…………」

 そこで、ルキフェルは押し黙った。
 組んだ腕を解き、片手を口許にやって渋面を浮かべる。
 考え込む彼をじっと見詰めて答えを待っていると、やがてルキフェルは呟くように答えた。

「――我にもわからぬ」

 と、紡ぎ出された答えは敗北宣言にも等しい一言だった。
 これ以上の思考は無駄であるかのような切り捨てに、ポカンとする聖奈の隣で、ウェインはルキフェルを半目で見る。

「……使えねぇ」
「っ!」

 刹那、ルキフェルがテーブルを蹴って飛翔し、ウェインへと襲い掛かる。応戦するようにウェインが立ち上がり手を伸ばした。
 聖奈はまたかと溜め息を吐き、止めることはひとまず放棄して、くるりと部屋の中を一瞥する。

「……あれ、アリシアちゃんは?」
「風呂場。落ちるかわからないけど、あんたの腕に巻き付けてあった布をすすいでくるって」

 くるりと見渡してもアリシアの姿が見えないことにひとりごちると、それに答える声がひとつ。ラピスだ。
 彼は部屋の真ん中でぽつんと立ち尽くしていた。それでいて何かを警戒しているようでもある。

「どうかしたの、ラピス?」

 不思議に思いながら問いを投げ掛けると、彼はチラリと聖奈を見た。
 金の双眸はしばらく向けられていたが、ふと逸らされると、ラピスは眉をつり上げて口を開く。

「……そこの青髪。わりと遊んでる場合じゃないと思うんだけど」

 ラピスが呼び掛けた相手は、ウェインだった。
 呼ばれたウェインは、ルキフェルの顔面を片手で掴み上げたまま、面倒臭そうに振り返る。

「なんだその青髪って。名前で呼べ、名前で」
「危機感無さすぎてぬいぐるみと遊ぶような奴を、名前で呼びたいとは思わない」
「てめぇこのやろう……! 誰が遊んでるってんだよ、誰が」

 不満げに怒気を滲ませるウェインだが、端から見る感想としては、ラピスの言葉がそれほど間違っているとは思えなかった。
 ツン、と興味の無さそうに顔まで背け素知らぬ態度を貫くラピスに、ウェインは鷲掴みにしていたルキフェルをソファに投げ捨て前髪を掻き上げた。

「……お前に言われなくてもとっくに気付いてたっての。その上で言っておく、じたばたしても仕方ないってな」
「仕方ないって……仕掛けられるより、先に仕掛けた方がいいに決まってるだろ」
「果報は寝て待てってやつだ。急いては事を仕損じるとも言うか」
「呑気な考え方だな……」
「お前は焦りすぎだ。その結果が失敗だったってのを忘れんなよ? 見え見えの罠に引っ掛かりやがって」
「…………」

 再びウェインに襲い掛かろうとするルキフェルを両手で捕まえて、聖奈はウェインとラピスの会話に耳を傾ける。
 会話の内容はよく分からない。だが何かが迫っているということ、それに対して二人の意見が相違しているということは伝わってくる。
 割って入ることの出来ない聖奈は、膝の上に乗せたルキフェルをなんとか宥めることを優先し、小難しい判断は彼らに委ねた。

「適材適所ってやつだよねぇ」
「であれば、貴様に適した事柄とは何なのであろうな」
「貴方がそれを言いますか、貴方が」

 足を引っ張ることの方が圧倒的に多いことに自覚はあるからこそ、さらりとそれを良い放った猫のぬいぐるみの頬を、聖奈はぐいぐいと引っ張る。途端に暴れ始めたが、気にせずぐにぐにと引っ張り続けてしばらく。

「ラピス、タオルを濡らしてきたので頬にあてておいて下さい。腫れのひきが早くなると思います」

 柔らかな声音を響かせながら、アリシアが脱衣所と繋がる扉を開き戻ってくる。
 彼女は鮮血を限界まで吸って真っ赤に染め上げられた布とは別に、タオルも持ち込んでいたらしい。水にさらして丁寧に濡らされたそのタオルをラピスに押し付けるように手渡した。
 頬に強烈な拳を受けることになったというラピスだが、本人の申し出で回復魔法による治療は受けていなかったのである。

「アリシアちゃん、血汚れ落ちた?」
「完全には無理ですね……セナ様。セナ様のお召し物も後で綺麗に洗濯しましょう。さすがに血染みは目立ちますから」

 微笑を浮かべながら告げるアリシアに、聖奈はしっかりと頷き立ち上がった。同時にさんざん頬をぐにぐにと引っ張りまわしたルキフェルが、好機と言わんばかりに膝の上から飛び出し、中空に浮かぶ。

「それじゃ、私たちは部屋に戻るね」
「あ、ちょい待ち」

 バッグを手に取り部屋を出ようとした聖奈とアリシアは、ウェインによって引き留められる。
 振り返ると、呆れたように肩を竦めるラピスの傍で彼はアクアマリンの双眸を細め、にんまりと笑った。

「ちょっと試しに仕掛けたいことがあるんだ。悪いけど、付き合ってもらえるか?」

 聖奈はアリシアと顔を見合わせ、向き直るとじとりと彼を睨み付ける。

「また寂しいー、とか言って同じ部屋で寝ようとしてるとかじゃないよね?」
「あったり前だろー。さすがに私情に満ちた提案はしないって。今回はセナちゃんを抱き枕にしたいって提あ、ごふっ!?」

 にまにまとしながら語り出したウェインの言葉を阻んだのは、彼の頬に豪速球で襲い掛かったアリシアがラピスにと手渡した水濡れのタオルだった。
 見事に命中したことに、アリシアがナイスです、と嬉しそうにガッツポーズを取ったのは言うまでもない。


 * * *


 ――時は過ぎる。
 時刻は深夜。月がもっとも強く輝く頃。静まり返った街を音もなく駆け抜ける人影が複数。
 彼らが向かった先は一軒の建物。
 施錠された扉を慣れた手付きで開け放ち、音もなく人影は侵入する。
 屋内に入ってもその行動は迅速だ。目的の場所に辿り着くと、彼らは周囲を警戒しながら扉を死角より包囲し、ドアノブに手を掛けた。
 その者らの前で鍵は意味をなさない。入り口の扉と同様に嘘のようにあっさりと、それでいて極力音を立てないように開かれたドア。
 滑り込んだ彼らがまず視界に捉えたのは並んで置かれたベッド。事前に見張らせていた報告の通り、四つのベッドは全てに膨らみがある。
 人影はほくそ笑みながら更に歩を進め、最後の一人が開けた場所に踏み入った直後。

「なるほど――まだまだ小手調べって感じか」

 何処からともなく聞こえてきた声。
 弾かれたように声の主の居場所を探す彼らだが、次の瞬間には最後尾にいた人影が床に叩き付けられた。
 振り向いた彼らは、それをしたのが対象ターゲットの一人である青年だと気付く。
 だが困惑による僅かなタイムラグは致命的だった。

「バカにされてるってだけだろ? これが小手調べの駒だとは思いたくない」

 目の前に落ちてきたのは、やはり同じく対象ターゲットの一人である少年。月明かりに煌めくプラチナがふわりと揺れたかと思えば、後頭部に素早く強く打撃を加えられ、次々と倒れていく。

「そらそーだ。ついでに言えば、第六感的なところでこいつらはお前より劣ってるんじゃねえ?」
「……どうだか。そこまでは思わないけどな」

 青年が床に押さえつけるそいつの頭を抜き出した銃の底で殴りつけ意識を奪う頃、部屋には冷たい夜風が吹き抜けた。
 開け放たれた室内唯一の窓の前には、対象ターゲットの少女達。身支度を済ませ、青年と少年の荷物も手にする彼女達のその傍らには、使い魔らしき猫のぬいぐるみが浮かんでいる。

「準備できたけど、どうするの?」
「どうもこうも、選べる選択肢はひとつしかないだろっ!」
「へ……? じょっ、冗談でしょっ!? ちょっ、まっ!」
「しっかり掴まってろよ!」
「えぇええええっ!?」

 駆け寄った青年が、流れるように荷物を身に付け黒髪の少女を抱え上げる。暴れる間もなく勢いよく窓から飛び出した青年に、少女はしがみつくしかない。

「っと!」

 青年が軽やかに着地したのは、真向かいにある建物の屋根。
 空を切る感覚から解放された少女は、彼の腕の中でキッと眉をつり上げる。

「こ、こんなに危ないことをするなんて聞いてないっ!」
「だって言ったら筒抜けかもじゃんかー? そしたらずっとつけられる可能性もあるしな。てかしゃべってると舌噛むぞー?」
「そんなこと言われてって怒らずにはいられにゃ……っ、いったー!」
「ほれみろかわいく噛んだ」

 抱えあげるがっつりと噛んでしまった舌の痛みに震える少女を見て、軽快に笑いながらも屋根を跳んで渡りながら突き進む青年の傍らには、使い魔が背の翼を羽ばたかせて並走する。後方から追走には、フードを被った淡い緑色の髪をツインテールに結わえた少女を抱えたプラチナの髪の少年。
 住民達のほとんどが眠りにつき、静寂に包まれた街の建物の上を駆け抜ける彼らを見詰める二つの眼があった。
 それは、いましがた彼らが飛び出した建物――宿の屋上から向けられている。

「いやはや思いきったことを……まったく、あれほどまでにを突き動かすのは一体何なのでしょうねぇ。けどまあ、私にとってもにとっても、これは――面白くなりそうです」

 と、星月に照らされひとりごちるスーツ姿の優男の顔は、酷く愉しげに歪んでいた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

Shine Apple

あるちゃいる
ファンタジー
山の上にあるポツンと建つ古民家を買った。 管理人の上村さんから鍵を貰い山までの道を愛車のジムニーで走る。 途中まではガードレールがあるが、山の中間まで来るとガードレールもアスファルトも無くなり轍の真ん中に草が生える農道みたいな畦道になる。 畦道になった辺りから山頂までが俺の買った土地になるらしい。 これで10万は安いと思って理由を聞いてみると、歳を取って管理が辛いから手放す事にしたらしく、道の管理も託された。 まぁ、街に出るのに管理しないと草が生えて通れなくなり困るのは自分なので草刈りはするが……ちょっと大変そうだった 「苦労込みで10万なのかな……」 ボソリと俺は呟いた。毎年2、3回刈らないと駄目らしい……そのうちヤギでも飼おう……。 そんな事を考えながら畦道を登っていくと拓けた場所に辿り着く。 ここは地面が固くて草も余り生えないようだ。そこに車を止めて更に上を見上げると蔓や草木が生い茂った家の屋根が見えて来る。 其処がこれから住む古民家だった。 薄っすらと雑草の隙間から石畳が見えて階段もある様だが一度草刈りしないと歩けない。 取り敢えず日も暮れて来たので今夜は此処に野宿する事にした。 次の日には何とか草を掻き分けて階段を見付けて上っていくと石畳の庭らしき場所に着いた。 周りを見渡しても雑草が生い茂りどのくらい広いのかさえ分からなかった。壁中に蔦が絡まり窓から中は見えなかったので、仕方なく玄関らしき場所を見付けて鍵を開ける。 家屋の中はかび臭く壁や床は腐っているようだった。 流石にこのままでは住めないので夏になったら有給と夏休みと使って直す計画を立てよう。 柱などは意外としっかりしていたので全部解体する事は無い様だ。 もう一泊野宿する予定だったのだが、俺は山を後にした。 上村さんにまた夏に来るから今日は帰ると告げた。 帰り際に大根などの野菜をくれた。「豊作だったんだ」と言って嬉しそうに沢山くれた。 今度来る時はお土産を持ってきますと言っといた。 酒が好きだというので俺の好きな日本酒でも持っていこうと思う。 上村さんご夫妻に手を振って別れると車を走らせた。

御機嫌ようそしてさようなら  ~王太子妃の選んだ最悪の結末

Hinaki
恋愛
令嬢の名はエリザベス。 生まれた瞬間より両親達が創る公爵邸と言う名の箱庭の中で生きていた。 全てがその箱庭の中でなされ、そして彼女は箱庭より外へは出される事はなかった。 ただ一つ月に一度彼女を訪ねる5歳年上の少年を除いては……。 時は流れエリザベスが15歳の乙女へと成長し未来の王太子妃として半年後の結婚を控えたある日に彼女を包み込んでいた世界は崩壊していく。 ゆるふわ設定の短編です。 完結済みなので予約投稿しています。

追憶の刃ーーかつて時空を飛ばされた殺人鬼は、記憶を失くし、200年後の世界で学生として生きるーー

ノリオ
ファンタジー
今から約200年前。 ある一人の男が、この世界に存在する数多の人間を片っ端から大虐殺するという大事件が起こった。 犠牲となった人数は千にも万にも及び、その規模たるや史上最大・空前絶後であることは、誰の目にも明らかだった。 世界中の強者が権力者が、彼を殺そうと一心奮起し、それは壮絶な戦いを生んだ。 彼自身だけでなく国同士の戦争にまで発展したそれは、世界中を死体で埋め尽くすほどの大惨事を引き起こし、血と恐怖に塗れたその惨状は、正に地獄と呼ぶにふさわしい有様だった。 世界は瀕死だったーー。 世界は終わりかけていたーー。 世界は彼を憎んだーー。 まるで『鬼』のように残虐で、 まるで『神』のように強くて、 まるで『鬼神』のような彼に、 人々は恐れることしか出来なかった。 抗わず、悲しんで、諦めて、絶望していた。 世界はもう終わりだと、誰もが思った。 ーー英雄は、そんな時に現れた。 勇気ある5人の戦士は彼と戦い、致命傷を負いながらも、時空間魔法で彼をこの時代から追放することに成功した。 彼は強い憎しみと未練を残したまま、英雄たちの手によって別の次元へと強制送還され、新たな1日を送り始める。 しかしーー送られた先で、彼には記憶がなかった。 彼は一人の女の子に拾われ、自らの復讐心を忘れたまま、政府の管理する学校へと通うことになる。

とある元令嬢の選択

こうじ
ファンタジー
アメリアは1年前まで公爵令嬢であり王太子の婚約者だった。しかし、ある日を境に一変した。今の彼女は小さな村で暮らすただの平民だ。そして、それは彼女が自ら下した選択であり結果だった。彼女は言う『今が1番幸せ』だ、と。何故貴族としての幸せよりも平民としての暮らしを決断したのか。そこには彼女しかわからない悩みがあった……。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

処理中です...