異世界で皇太子妃になりましたが、何か?

黒豆ぷりん

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第三章 私のできること

2.妄想?

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「シャノン、それにしても、アルベルト皇太子殿下ってちょっと、過保護すぎないかなぁ」
暇を持て余す私としては、ちょっぴり文句も言いたい。
「何でそう思うの?」
シャノンは冷静に言った。
私は愚痴のように続けた。
「だって、今回の事故だって、偶然が重なって起こったかもしれないじゃない?特に私に危険があったようにも思えないのになあ。なのに、部屋を出るの禁止なんだよ。ひどくない?」

しばらく考えるように黙っていたシャノンだが、言葉を選ぶようにしながら応えた。
「まあ、リサは呑気すぎるってのもあるけど、でも、アルは・・いえ、アルベルト皇太子殿下がちょっと、神経質になってしまうのは無理ないかもね」

「それって、やっぱり結界をくぐり抜けた侵入者のこと?」

「そうだね。それも神経質にならざるを得ない原因の一つといえるかな。侵入者がサルーン王国の魔力を使ったという形跡があることがね・・」

「サルーン王国っていうのは、この国とは敵対している国ということなの?」

ここでも、シャノンは直接的な言い方を避けるようにして言った。
「2年前まではとても友好的な関係だったのだけれど、いろいろあったようだね」

「何があったの?」

「さあね。アルベルトに聞いてみたらどう?」

「ええぇぇ~!!そんなの聞いていいの?」

「う~ん、分からない。けれど、あなたは今、アルベルトの婚約者なんだよね。結婚して皇太子妃になるとするなら、避けては通れないところじゃないかな・・」

雲を掴むような話だ。私はまたまた妄想に妄想を重ねないといけないのか?
「えぇぇ~!!?ワケが分からないよ~」
思わず、手に力が入り、モフモフのシャノンの毛をクシャクシャにしてしまったようで、
「痛たた・・・ちょっと気を付けてよ!」
シャノンからクレームが入る。

「ご、ごめん。ついつい・・」

「まぁ、リサにすれば分からなくて当然なんだけどね。でも、アルベルトのこと助けたいんでしょ?好きなんだよね?」

「もちろんだよ。私に何ができるか分かんないけど、アルベルト皇太子殿下はイケメンだし、優しいし、何より私を婚約者に選んでここに連れてきてくれたんだと思うし・・・うふふ・・」

そう言いながら、殿下を抱きしめるようにシャノンをギュッと抱きしめる。
シャノンは少し迷惑そうな顔をしていたようだが・・そこは気にしない。
「ゴホッ・・。今更なんだけど、リサは、どこから来たの?」

「シャノンが私の妄想とすれば、それはもう分かってるのかとは思うのだけれど・・。一応、ちゃんと応えておくね。日本っていう国。ここへは、アルベルト皇太子殿下がテレウィンドウというのを使って連れてきたんじゃないかと思う」

「ふ~ん。そうだったの。ドッペルゲンガーっていう現象があるらしいけど。うふふ・・」

「ド、ド、ドッペルゲンガー?いきなりですか?で、誰が誰に似てるわけ?私?」
余計にわけが分からなくなってくる・・
妄想にしてはシャノンとのやりとりはリアル感に満ちているが、私の頭はさっぱり、整理ができていないのでやはり妄想なのかな・・とも思う。

トントントン
ドアをノックする音が聞こえ、レイラの声がした。
「コーヒーとお菓子を運んでまいりました」
「どうぞ」
私が応えるのと同時にシャノンは、私の方に片目をつぶって見せて姿を消した。
ドアが開くと同時にコーヒーの芳ばしい香りが漂ってきた。
「う~ん、いい香り」
テーブルの上にはコーヒーカップとケーキが手際よくセッティングされていく。私は急いで席に着いた。今日はチョコレートケーキだ!!ケーキの表面はツヤツヤのチョコレートで滑らかにコーティングされている。ケーキの断面は3層のチョコレートが層をなし、しっとりと滑らかな様相をしている。流石フランク。最高の組み合わせだ!思わず手を出しそうになったところで、我に返り、レイラに尋ねた。
「アルベルト皇太子殿下はおいでにならないのでしょうか」
「はい、今日はご都合がお悪いようです。が、明日は必ずいらっしゃるそうです」
「分かりました」
そう言うと、私はフォークを手に取り、一口分を口に入れた。カカオと洋酒の香りが口いっぱい広がり、食感の違うチョコレートがそれぞれ口の中で溶け合って幸せな気持ちでいっぱいになった。殿下もお菓子を食べて、幸せな気持ちになってほしいな・・
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