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第一章 異世界へ
2.ここはどこ?
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「ここは…どこ?」
口に出して言った自分の声が、どこか遠くで聞こえるような変な感じがする。
手足を動かしてみるが、どんな痛みもなく、通常通り動くようだ。どうやら怪我はなし....。
仰向けの私の目の前には低めの天井?
と思ったら見たこともない豪華な彫刻が施された天蓋!ベッドの周りには薄いカーテン。天蓋付きのベッドだ!気がつけば超ふかふかの布団の中にいる。
やっぱり夢だ。あの時、ママに起こされたのも夢で、今は二度寝の真っ最中なんだ。
きっと。
多分…。
落ち着こう!もうすぐ目が覚めるはず。
でも、これが夢というなら...覚める前にさっきの金髪イケメン男子にもう一度会いたいなぁ。
「お目覚めのようだね。私の愛するハニー」
で、で、でたぁ!
「ハ…ハニー??」
いくら夢とはいえ、なんだこのリアル感。ハンパない。しかも、こんなイケメンが私のことを、ハニーって言ってる。確かハニーって恋人を呼ぶ呼び方だよね。
気がつけば、なんの躊躇いもなく、イケメンの顔が近づいてくる。
「ま、ま、待って…!」
「チュッ」
いかにも自然に、ごく日常の事のように、当たり前に唇が触れた!!
「触れたぁぁぁーー!!!」
これって、ほんとに夢、なの?
イケメンの唇の柔らかな、温かい感触が、生々しすぎる。そして、夢のような(って、これはもともと夢だっけ)色とりどりのお花が咲き乱れ、脳みそ一面に広がった。そしてとてつもない幸福感に包まれる。
ん?待てよ。
これまで、私には二次元にしか彼氏が存在しなかった。リアルに超イケメンなのはサイコーだけど、さっきのはキスだよね。
ってことは...
私のファーストキス!
ドキドキしたけど、愛とかときめきとか・・その・・なんといううかムードというか・・
なんかそういうの・・想像してたのと違う~
いきなり追突事故されたみたいなファーストキス....になっちゃったな....
とか思いながら・・そっと指で自分の唇をなぞった。
というか、ほんとにこれは夢?
イケメン彼氏(?)は外国人みたいだけど、私には彼が喋っていることはみんな理解できる。
って、そんな都合のいい話ある?
頭は真っ白になるばかりだ。
「ハニー。愛しているよ」
イケメンの超イケメンボイスが、甘く優しく、そして、有無を言わさない迫力で、囁く。
「あわわわわわ...あのあの...」
私は一言も意味のある事を発声できず、混乱するばかりだ。
「今日のリサはとても疲れているようだ。レイラ、様子を見てやってくれ」
「かしこまりました。アルベルト皇太子殿下」
レイラと呼ばれた婦人はそう言って丁寧に頭を下げた。
アルベルト皇太子殿下と呼ばれたイケメンは慈しむような表情で私の方を見た。
「リサ、ゆっくり、静養するといい。困った事があれば、何でもレイラが解決してくれるはずだ」
「レイラ、頼んだぞ」
そう言い残し、金髪のイケメンは颯爽と部屋を出て行った。
レイラと呼ばれた婦人は、赤毛のふわふわした巻き毛を後ろでふわりと一つにまとめている上品な婦人だった。真っ白なフリフリのエプロンがとてもよく似合っている。静かに私に近づき、エメラルドグリーンの大きな瞳を細め、優しい微笑みを浮かべながら言った。
「リサ様、初めまして。レイラと申します。何なりと御用を申しつけて下さいませ」
「は、はい。よろしくお願い致します。」
「リサ様は、初めてのテレポーテーションウィンドウで、さぞお疲れになったことでしょう」
「テ、テレポーテーションウィンドウ?」
意味として変換されない....何だそれは?
「はい」
「空間を自由に行き来できるもの...とでも言いましょうか」
「はぁ?」
私は、レイラに思い切って尋ねた。
「あ…あの、あの…これって、夢ですよね」
「夢ではありません。そのように思われるのも無理はありませんが・・・」
キッパリとレイラは言い切った。
「まさか、ここは、異世界?とでも…」
「そうでございますね。リサ様の住んでおられた世界と対比するなら、ここは異世界ということになるかもしれません。ここへあなたは、自ら志願されて、来られたのです」
「私が、自ら願った?」
「はい」
「そ、そ、即答なんだ~」
あくまで、人ごとにしか思えないけど。
「で、何を願ったんだっけ?」
口に出して言った自分の声が、どこか遠くで聞こえるような変な感じがする。
手足を動かしてみるが、どんな痛みもなく、通常通り動くようだ。どうやら怪我はなし....。
仰向けの私の目の前には低めの天井?
と思ったら見たこともない豪華な彫刻が施された天蓋!ベッドの周りには薄いカーテン。天蓋付きのベッドだ!気がつけば超ふかふかの布団の中にいる。
やっぱり夢だ。あの時、ママに起こされたのも夢で、今は二度寝の真っ最中なんだ。
きっと。
多分…。
落ち着こう!もうすぐ目が覚めるはず。
でも、これが夢というなら...覚める前にさっきの金髪イケメン男子にもう一度会いたいなぁ。
「お目覚めのようだね。私の愛するハニー」
で、で、でたぁ!
「ハ…ハニー??」
いくら夢とはいえ、なんだこのリアル感。ハンパない。しかも、こんなイケメンが私のことを、ハニーって言ってる。確かハニーって恋人を呼ぶ呼び方だよね。
気がつけば、なんの躊躇いもなく、イケメンの顔が近づいてくる。
「ま、ま、待って…!」
「チュッ」
いかにも自然に、ごく日常の事のように、当たり前に唇が触れた!!
「触れたぁぁぁーー!!!」
これって、ほんとに夢、なの?
イケメンの唇の柔らかな、温かい感触が、生々しすぎる。そして、夢のような(って、これはもともと夢だっけ)色とりどりのお花が咲き乱れ、脳みそ一面に広がった。そしてとてつもない幸福感に包まれる。
ん?待てよ。
これまで、私には二次元にしか彼氏が存在しなかった。リアルに超イケメンなのはサイコーだけど、さっきのはキスだよね。
ってことは...
私のファーストキス!
ドキドキしたけど、愛とかときめきとか・・その・・なんといううかムードというか・・
なんかそういうの・・想像してたのと違う~
いきなり追突事故されたみたいなファーストキス....になっちゃったな....
とか思いながら・・そっと指で自分の唇をなぞった。
というか、ほんとにこれは夢?
イケメン彼氏(?)は外国人みたいだけど、私には彼が喋っていることはみんな理解できる。
って、そんな都合のいい話ある?
頭は真っ白になるばかりだ。
「ハニー。愛しているよ」
イケメンの超イケメンボイスが、甘く優しく、そして、有無を言わさない迫力で、囁く。
「あわわわわわ...あのあの...」
私は一言も意味のある事を発声できず、混乱するばかりだ。
「今日のリサはとても疲れているようだ。レイラ、様子を見てやってくれ」
「かしこまりました。アルベルト皇太子殿下」
レイラと呼ばれた婦人はそう言って丁寧に頭を下げた。
アルベルト皇太子殿下と呼ばれたイケメンは慈しむような表情で私の方を見た。
「リサ、ゆっくり、静養するといい。困った事があれば、何でもレイラが解決してくれるはずだ」
「レイラ、頼んだぞ」
そう言い残し、金髪のイケメンは颯爽と部屋を出て行った。
レイラと呼ばれた婦人は、赤毛のふわふわした巻き毛を後ろでふわりと一つにまとめている上品な婦人だった。真っ白なフリフリのエプロンがとてもよく似合っている。静かに私に近づき、エメラルドグリーンの大きな瞳を細め、優しい微笑みを浮かべながら言った。
「リサ様、初めまして。レイラと申します。何なりと御用を申しつけて下さいませ」
「は、はい。よろしくお願い致します。」
「リサ様は、初めてのテレポーテーションウィンドウで、さぞお疲れになったことでしょう」
「テ、テレポーテーションウィンドウ?」
意味として変換されない....何だそれは?
「はい」
「空間を自由に行き来できるもの...とでも言いましょうか」
「はぁ?」
私は、レイラに思い切って尋ねた。
「あ…あの、あの…これって、夢ですよね」
「夢ではありません。そのように思われるのも無理はありませんが・・・」
キッパリとレイラは言い切った。
「まさか、ここは、異世界?とでも…」
「そうでございますね。リサ様の住んでおられた世界と対比するなら、ここは異世界ということになるかもしれません。ここへあなたは、自ら志願されて、来られたのです」
「私が、自ら願った?」
「はい」
「そ、そ、即答なんだ~」
あくまで、人ごとにしか思えないけど。
「で、何を願ったんだっけ?」
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