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高坂昌信
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結局、利根川を挟んで睨み合ったまま数ヶ月が過ぎ、川が増水し何も出来ぬまま謙信は越後に帰った。
らしくない戦さだが、仕方がない。
城に戻ると直ぐに、山吉豊守が報告にやって来た。
「まことか・・・・?」
「はい」
謙信は眉を寄せる。
「分かった、会おう」
そう答えると、広間に向かう。
男が一人、頭を下げていた。
「面を上げい」
謙信が上座に座りそう告げると、男は顔を上げる。
「久しいなぁ、高坂弾正」
「その節は・・・・・」
薄く笑って、高坂弾正昌信は応じる。
年はおそらく四十半ばのはずだが、その端正な顔は十は若く見えた。
しかし髪は半分ほど白い。
「それで・・・・・何用だ?」
謙信は警戒しながら、ただし表面上では横柄に尋ねる。
高坂昌信は武田の重臣、それも北信濃の海津城の主人だ。
つまり対越後の最前線を任されている将なのである。
「わしの首でも取りに来たのか?」
謙信は自分の首に、手刀を下ろす。
「それとも己の首を差し出し来たのか?」
ハハッ、と謙信は嘲笑するが、昌信はニコニコと笑みを絶やさない。
「ああ、そうか分かった」
ニヤリと微笑み謙信が言う。
「あれだろう、信玄入道が死んで後を追いたいのに、度胸がなくて腹が切れぬのだろう」
謙信の言葉に、昌信は苦笑する。
「よしよしわしが首を刎ねてやる」
礼は要らぬぞ、と謙信は告げた。
「それには及びませぬ」
姿勢を正し昌信が告げる。
「今日は我が主人、武田大膳さまの使いで参りました」
「ほぉ、諏訪四郎がわしになんの用だ?」
武田信玄の息子、諏訪家に養子に入った四郎勝頼は武田の家督を継いで、信玄の官位であった大膳大夫を名乗っている様だ。
「大膳さまが仰るには父信玄公は臨終の際、大膳さまを呼び、越後の弾正少弼さまと頼れと仰られたそうです」
「・・・・・・・・はぁ?」
謙信は少し間の抜けた声を上げる。
「ですから亡き信玄公が今際に、越後の長尾弾正少弼どのこそ、公明正大で信義に厚きまことの大将、だから頼れと、息子である自分に言い残したと、我が主人大膳さまが仰っておるのです」
昌信の言葉には、なんの感情も含まれていない。
書かれている文字を、ただ読んでいるという感じだ。
「なんじゃ?わしをからかっておるのか?」
思わず謙信は呟く。
武田信玄は謀(はかりごと)の名手だ。
そしてその信玄の謀に、一番引っ掛かり、一番振り回されてのは、他ならぬ謙信である。
謙信がよく思う事がある。後の世の者は、長尾平三、上杉謙信という男を。武田信玄という策士に、ただただ翻弄された間抜けな人物と見るだろう。
その信玄が息子に、謙信という男が信義に厚いので頼れと言い残した。
そんな話ありえない。
「何を企んでおる?」
謙信が問うと、端正な顔に不適な笑みを浮かべる昌信は、少しだけ顔を傾けた。
「別に何も・・・・・・」
ただ・・・・・とゆっくり昌信は繰り返す。
「四郎さまがそう仰っておるという事です」
その口調、その表情、そして勝頼の事を四郎と呼ぶのを見て、謙信は察する。
おそらく勝頼がそう言っているだけで、重臣らは反対なのだ。
信玄の死後、勝頼と重臣らの対立は激しいらしい。
別に珍しい事ではない。当主と先代の側近の対立など、今川でも北条でも、そして長尾でもどこでも起こっている。
謙信が奇妙に思うのは、勝頼が自分と組もうしている事だ。
勝頼の妻は織田信長の養女。つまり勝頼は信長の娘婿である。
信玄は決して信長と事を構えなかった。
信長を恐れていたからだ。
正しく言えば、信長の勢いをだ。
それは謙信も同感である。
今の信長は平家の相国入道、平清盛である。
そんな相手とわざわざ戦う必要はない。
平家が没落した様に、信長がそして織田が勢いを失ってから叩けば良い。
謙信ですらそう思っている。知恵の回る信玄が思わないわけがない。
だから勝頼の息子であり、信長の姪の息子でもある孫を、跡継ぎにするなどと言い出したのだ。
それなのに肝心の勝頼が、織田と事を構えようとしている。
加藤段蔵の話では、勝頼は勇猛果敢との事だ。
だがこれでは勇ましいというより、ただの馬鹿だ。
信玄の側近たちは、織田と結ぶことが信玄の命だと言っているのだろう。
だがそれが逆に、勝頼を意固地にさせているのかもしれない。
昌信の口調と表情から、そんな事を謙信は読みとる。
「そうか」
謙信は不適な笑みを浮かべた。
「わしは無欲で、信義に熱い男だ」
強い口調で言うが、心の中では苦笑している。
「どこぞの誰ぞと違い、長年手を組んでいた、倅の嫁の家をいきなり攻めるような事はせぬ」
勿論、信玄の事だ。信玄は義元亡き後、息子義信の妻の実家である今川家を、いきなり攻めた。
「頼ってくる者を、無下にはせぬ」
ただなぁ・・・・と声を小さくして、謙信は続ける。
「村上左衛門佐(義清)と長野信濃守(業正)の方が、先にわしを頼って来たからなぁ」
弱った、弱った、と謙信は首を振る。
そしてその戯けた仕草から一転、鋭い顔と声で昌信に告げた。
「信濃の砥石と上野の箕輪を引き渡す、これが手を結ぶ条件じゃ」
「・・・・・・」
無表情で昌信は、謙信の言葉を黙って聞いている。
「帰って諏訪四郎に、そう伝えろ」
しばし黙って謙信を見つめていた昌信は、
「承知いたしました」
と頭を下げた。
此奴・・・・・その表情、声の調子を見て、謙信はある事を察する。
武田を裏切る気だ。
まぁ、当然か、と謙信は思う。
高坂昌信に武田家への忠節など、かけらもあるわけが無い。
信玄の側近の中で、特に重きをなした四功臣と呼ばれる者たちがいる。
彼らは勝頼と対立しているわけだが、他の三人と昌信は少し毛色が違う。
他の三人、馬場信春、内藤昌豊、山県昌景はそれぞれ甲斐の地侍衆で、分家の生まれだったが、信玄の側近になることで、本家を継いだ面々だ。
対して高坂昌信は違う。
元々が農民で武士ではない。
信玄にその才覚と美貌を気に入られ、武士になり高坂家を継いだのだ。
根が武士でないので、お家に対する忠節というものが無いのである。
信玄には恩もあるだろうし情もあるだろう。しかし武田という家には何も無いのだ。
少なくとも馬場信春や内藤昌豊の様に、武田の行く末を案ずると言うことは無いのであろう。
昌信は居城の海津城に詰めて、甲斐で行われている勝頼と馬場信春らの対立を冷めた目で眺めている。
そんなところだろう。
そう考えてみれば昌信自身が使者として、こんな訳のわからない事を言いにくるのも筋が通る。
もし勝頼との間に何かあれば、昌信は上杉に奔るつもりなのかもしれない。
更に言えば寝返る気が無くても、それを匂わせる事で勝頼が武田に留まるように言って来て、その時に自身の待遇を良くさせるつもりかもしれない。
策士め、と昌信の端正な顔を眺めながら、謙信は思った。
だが昌信の立場を考えれば、当然と言えば当然だある。
ふと謙信は、自分においての高坂昌信の立場である河田長親の事を考えた。
謙信が死ねば、長親を嫌っている甘粕景持らが、排斥に動くだろう。
そうなれば長親は、越中で上杉家を裏切る動きをするのではないだろうか。
なら今のうちに、長親を排除するべきか?
いや、謙信は首を振る。
長親がそうするのは当然だし、それを非難しても仕方ない。
人にはそれぞれ立場があるし、なすべき事がある。
それが重なれば共に歩むし、違えれば戦うだけだ。
それを一々責めてもキリがない。
「それでは失礼いたします」
昌信は頭を下げて、立ち去る。
再び会うこともあるだろう。
敵としてか、味方としてか。
らしくない戦さだが、仕方がない。
城に戻ると直ぐに、山吉豊守が報告にやって来た。
「まことか・・・・?」
「はい」
謙信は眉を寄せる。
「分かった、会おう」
そう答えると、広間に向かう。
男が一人、頭を下げていた。
「面を上げい」
謙信が上座に座りそう告げると、男は顔を上げる。
「久しいなぁ、高坂弾正」
「その節は・・・・・」
薄く笑って、高坂弾正昌信は応じる。
年はおそらく四十半ばのはずだが、その端正な顔は十は若く見えた。
しかし髪は半分ほど白い。
「それで・・・・・何用だ?」
謙信は警戒しながら、ただし表面上では横柄に尋ねる。
高坂昌信は武田の重臣、それも北信濃の海津城の主人だ。
つまり対越後の最前線を任されている将なのである。
「わしの首でも取りに来たのか?」
謙信は自分の首に、手刀を下ろす。
「それとも己の首を差し出し来たのか?」
ハハッ、と謙信は嘲笑するが、昌信はニコニコと笑みを絶やさない。
「ああ、そうか分かった」
ニヤリと微笑み謙信が言う。
「あれだろう、信玄入道が死んで後を追いたいのに、度胸がなくて腹が切れぬのだろう」
謙信の言葉に、昌信は苦笑する。
「よしよしわしが首を刎ねてやる」
礼は要らぬぞ、と謙信は告げた。
「それには及びませぬ」
姿勢を正し昌信が告げる。
「今日は我が主人、武田大膳さまの使いで参りました」
「ほぉ、諏訪四郎がわしになんの用だ?」
武田信玄の息子、諏訪家に養子に入った四郎勝頼は武田の家督を継いで、信玄の官位であった大膳大夫を名乗っている様だ。
「大膳さまが仰るには父信玄公は臨終の際、大膳さまを呼び、越後の弾正少弼さまと頼れと仰られたそうです」
「・・・・・・・・はぁ?」
謙信は少し間の抜けた声を上げる。
「ですから亡き信玄公が今際に、越後の長尾弾正少弼どのこそ、公明正大で信義に厚きまことの大将、だから頼れと、息子である自分に言い残したと、我が主人大膳さまが仰っておるのです」
昌信の言葉には、なんの感情も含まれていない。
書かれている文字を、ただ読んでいるという感じだ。
「なんじゃ?わしをからかっておるのか?」
思わず謙信は呟く。
武田信玄は謀(はかりごと)の名手だ。
そしてその信玄の謀に、一番引っ掛かり、一番振り回されてのは、他ならぬ謙信である。
謙信がよく思う事がある。後の世の者は、長尾平三、上杉謙信という男を。武田信玄という策士に、ただただ翻弄された間抜けな人物と見るだろう。
その信玄が息子に、謙信という男が信義に厚いので頼れと言い残した。
そんな話ありえない。
「何を企んでおる?」
謙信が問うと、端正な顔に不適な笑みを浮かべる昌信は、少しだけ顔を傾けた。
「別に何も・・・・・・」
ただ・・・・・とゆっくり昌信は繰り返す。
「四郎さまがそう仰っておるという事です」
その口調、その表情、そして勝頼の事を四郎と呼ぶのを見て、謙信は察する。
おそらく勝頼がそう言っているだけで、重臣らは反対なのだ。
信玄の死後、勝頼と重臣らの対立は激しいらしい。
別に珍しい事ではない。当主と先代の側近の対立など、今川でも北条でも、そして長尾でもどこでも起こっている。
謙信が奇妙に思うのは、勝頼が自分と組もうしている事だ。
勝頼の妻は織田信長の養女。つまり勝頼は信長の娘婿である。
信玄は決して信長と事を構えなかった。
信長を恐れていたからだ。
正しく言えば、信長の勢いをだ。
それは謙信も同感である。
今の信長は平家の相国入道、平清盛である。
そんな相手とわざわざ戦う必要はない。
平家が没落した様に、信長がそして織田が勢いを失ってから叩けば良い。
謙信ですらそう思っている。知恵の回る信玄が思わないわけがない。
だから勝頼の息子であり、信長の姪の息子でもある孫を、跡継ぎにするなどと言い出したのだ。
それなのに肝心の勝頼が、織田と事を構えようとしている。
加藤段蔵の話では、勝頼は勇猛果敢との事だ。
だがこれでは勇ましいというより、ただの馬鹿だ。
信玄の側近たちは、織田と結ぶことが信玄の命だと言っているのだろう。
だがそれが逆に、勝頼を意固地にさせているのかもしれない。
昌信の口調と表情から、そんな事を謙信は読みとる。
「そうか」
謙信は不適な笑みを浮かべた。
「わしは無欲で、信義に熱い男だ」
強い口調で言うが、心の中では苦笑している。
「どこぞの誰ぞと違い、長年手を組んでいた、倅の嫁の家をいきなり攻めるような事はせぬ」
勿論、信玄の事だ。信玄は義元亡き後、息子義信の妻の実家である今川家を、いきなり攻めた。
「頼ってくる者を、無下にはせぬ」
ただなぁ・・・・と声を小さくして、謙信は続ける。
「村上左衛門佐(義清)と長野信濃守(業正)の方が、先にわしを頼って来たからなぁ」
弱った、弱った、と謙信は首を振る。
そしてその戯けた仕草から一転、鋭い顔と声で昌信に告げた。
「信濃の砥石と上野の箕輪を引き渡す、これが手を結ぶ条件じゃ」
「・・・・・・」
無表情で昌信は、謙信の言葉を黙って聞いている。
「帰って諏訪四郎に、そう伝えろ」
しばし黙って謙信を見つめていた昌信は、
「承知いたしました」
と頭を下げた。
此奴・・・・・その表情、声の調子を見て、謙信はある事を察する。
武田を裏切る気だ。
まぁ、当然か、と謙信は思う。
高坂昌信に武田家への忠節など、かけらもあるわけが無い。
信玄の側近の中で、特に重きをなした四功臣と呼ばれる者たちがいる。
彼らは勝頼と対立しているわけだが、他の三人と昌信は少し毛色が違う。
他の三人、馬場信春、内藤昌豊、山県昌景はそれぞれ甲斐の地侍衆で、分家の生まれだったが、信玄の側近になることで、本家を継いだ面々だ。
対して高坂昌信は違う。
元々が農民で武士ではない。
信玄にその才覚と美貌を気に入られ、武士になり高坂家を継いだのだ。
根が武士でないので、お家に対する忠節というものが無いのである。
信玄には恩もあるだろうし情もあるだろう。しかし武田という家には何も無いのだ。
少なくとも馬場信春や内藤昌豊の様に、武田の行く末を案ずると言うことは無いのであろう。
昌信は居城の海津城に詰めて、甲斐で行われている勝頼と馬場信春らの対立を冷めた目で眺めている。
そんなところだろう。
そう考えてみれば昌信自身が使者として、こんな訳のわからない事を言いにくるのも筋が通る。
もし勝頼との間に何かあれば、昌信は上杉に奔るつもりなのかもしれない。
更に言えば寝返る気が無くても、それを匂わせる事で勝頼が武田に留まるように言って来て、その時に自身の待遇を良くさせるつもりかもしれない。
策士め、と昌信の端正な顔を眺めながら、謙信は思った。
だが昌信の立場を考えれば、当然と言えば当然だある。
ふと謙信は、自分においての高坂昌信の立場である河田長親の事を考えた。
謙信が死ねば、長親を嫌っている甘粕景持らが、排斥に動くだろう。
そうなれば長親は、越中で上杉家を裏切る動きをするのではないだろうか。
なら今のうちに、長親を排除するべきか?
いや、謙信は首を振る。
長親がそうするのは当然だし、それを非難しても仕方ない。
人にはそれぞれ立場があるし、なすべき事がある。
それが重なれば共に歩むし、違えれば戦うだけだ。
それを一々責めてもキリがない。
「それでは失礼いたします」
昌信は頭を下げて、立ち去る。
再び会うこともあるだろう。
敵としてか、味方としてか。
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