転がるおじさん

あゆちゃ

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仕事と友達

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最低な朝を迎えた
携帯は電源オフのまま
寝たような寝てないようで
とにかく頭が冴えない。

誕生日は金曜日で今日は休みだ
思う存分寝ることができるが
眠気はない
ただボーっと意識だけある状態。
眠くないの目が冴えない
とにかく今は1人で横になっていたい
硬い布団に自分の体が少しずつ埋まって
体が固まっていくのを感じていた。

冷蔵庫と空調の乾いた音だけが薄ら聞こえる部屋にインターホンの音が鳴り響いた。
重い腰を持ち上げてドアを開けると
そこには学生時代からの友人がいた

高瀬「電話でないから直接きたわ!
happy birthday!!!」

部屋にあげてくだらない話をして
昼から慣れない酒を飲み
男2人のむさ苦しい誕生日会をした

高瀬「だいぶ酔ったな、外でも歩くか」

外はもう暗くなっていた
2人でおぼつかない足を引きずり
外へでて缶チューハイ片手に
近くの土手沿いを歩いた
ふと心地の良い沈黙が訪れる。
季節の変わり目、春を告げるような
風と共に高瀬は大きく息を吸い込んで
河原に腰を落とし口を開いた。

高瀬「なぁ俺たちが出会ってもう15年だ、人生の半分以上を一緒に過ごしてる事になるんだよ。俺に隠し事できると思ってるのか?」

さすが親友。
なにかある。と察してくれたようだ
言われた通りだ
隠し事はできそうにもない。

僕「隠すつもりはなかったけど
昨日なフラれたんだよ
つまんねぇから。ってさ
そんなの自分が一番わかってるっての
いつかこうなるとは思ってたから
そこまでショックでもないんよ」

高瀬「確かにつまらん」

15年にもなると遠慮がない。
しかしフラれたての親友相手に言う言葉なのか?と思い少しむくれていた。

高瀬「お前の面白さに気づけないなんて、つまんねぇ女だったな」

さて!と持ってた缶チューハイを全て飲み干して立ち上がる

高瀬「お前は人の為に行動できる奴だ。人にできない事をする。見てて飽きない、お前は面白いよ。俺が保証する」

僕「お前に保証されてもな…」

うるせぇと笑いながら僕の手を引く
僕は立ち上がり帰るべ!
と優しく声をかけてくれた
家に帰るとまた朝まで飲み明かし
フラれたて事なんて忘れてしまうくらい
思い切り楽しませてもらった
次の日は泥のように眠り
せっかくの日曜日を睡眠と頭痛で潰した
最悪の誕生日から一転
親友と過ごす最低の誕生日になった

月曜日の朝、高瀬のおかげで
引きずる事なく仕事に迎えそうだ
これからは仕事に集中しよう。
もうつまらない自分には
仕事しかない。
今までも人並みに頑張ってきた
これからは人並み以上に頑張ってみよう
フラれた相手を見返すではないが
今よりマシな男になって
なにもない。なんて言わせない
仕事のできる恰好いい男になる。

28歳。
何かを始めるのに遅いなんてない
人生はこれから。
葵との別れも僕の成長の糧だ
高瀬もいる。

春。
通勤路にある桜の蕾は
開き始めた。
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