侵略帝国

砂糖鉢

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2.読み飛ばして何の問題もないこれまでのあらすじ

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俺は神聖国の情報部室長だった

神聖国が滅ぶ2年前までは

神聖国の建国から999年、千年の節目を迎える祭典のため俺は周辺の小国の外交官を集めた会議の場にいた

表向きは神聖国の外交官たちが対応し、裏で俺たちが情報を集め、それを駆使して他国のパワーバランスなどを調整する

今回集められたのは親神聖国派の国々の者達だ

会議自体は5日間で終わるはずだった

だが3日目の夜、執務中の俺の元に知らせが届く

「それは本当なのか?」

「はい、ほぼ確実にといっていいと思います
もうじきいくつかのルートに別れてここへ向かっている者達も集まってきます」

「わかった…」

そして夜が明ける前に全ての情報部の、俺の配下の精鋭達が集まり、情報を整理する

「神聖国は帝国に包囲、攻め込まれ…王族は全滅…」

俺が国を離れた時にかぎって…
いや、俺がいなくなるタイミングを知っていたから?

だがそうなると、つまり内通者がいる…?

「よし、わかった
ここで慌てて行動を起こすのは馬鹿のやることだ
追って連絡を出す、しばらくは散れ

幸い、潜伏先には困らんだろう」

会議でこの場に集まっている小国の外交官の面々を思い出す

『了解』

俺の配下達はそこから迅速に行動し、夜が明けて日が落ちる頃にはそれぞれの国へ散っていった

「さて…」

神聖国が帝国に敗れ、占拠されたのは事実だろう
俺の配下全員が偽の情報をつかまされるとは思えない

ではこれからどうするか

まずは俺も身を隠さないとな
最悪の状況を想定して、潜伏先は用意してある
まさか最初から最悪を引く羽目になるとは思わなかったが…

潜伏先で面倒なのは豚の世話くらいか

俺はそのことに憂鬱になりつつ腰を上げた


ーーー


帝国は神聖国の文明について、大きな勘違いをしている

帝国は最近、馬力が小さいながらも自動車を形にし、ブラウン管を用いた白黒テレビの開発に成功・普及して盛り上がっている

そして我ら神聖国を魔法ばかりに頭をつぎ込んでいると思い、下に見ている

たしかに、神聖国の庶民の生活レベルだとそうだ

確実性は高いが替えがききにくいクリスタル通信はまだまだ現役だし、長距離移動は未だに馬車だ

だが上層部、特に俺のいる情報部は違う
薄型・大型の液晶パネルを使った映像機器、車両に関しては大気中のマナと太陽光を融合したものを動力の燃料に使い、静音性の優れたものが開発されている

それもひとえに俺が豚と呼んでいる『転移者』のおかげだ

俺たちとは異なる世界からこの世界へと来たというあの女は、俺たちの知らない技術とそれを実現・複製する『スキル』を持っていた

本人によると、さらにそれをこの世界に溢れる魔力…マナと融合させることによってさらに優秀なものを作ることもできるとかなんとか

そしてそのスキルを使った道具の作成は一般の生活に関わるものだけではなかった

「ぐへへ、実はですねぇ

…こーんなものを作ったのよぉ!」

「うるせぇ」

パァン!

「んんんっっ!!!!」

「これは?」

女が持っていた、なにか金属の糸がたくさん付いた小さな板を見る

「こ、これはっ…んっ、『淫語プログラム』ですぅ…ぁん」

女は俺に叩かれた尻をさすりながら答える

「何だそれは」

「これは自分が言おうとした言葉をいやらしい言葉に変換して発音するんですよ!
いやぁマナっていうものが人体にこんない相性のいい、ここまで影響を及ぼしやすいものだとは…嬉しい誤算ですね!」

「つまりどういうことだ?」

「えー、つまりですね

男性器と言おうとすると、『おちんちん』このように変換して勝手に喋っちゃうのですよ!」

パァン!!!

「んひぃぃいいっ!!」

女は腰をガクガクさせながらよだれを垂らす

「豚が…いや、待てよ?」

確か魔法が発達しすぎたせいでお蔵入りとなった自白首輪が100本くらいあったはずだが、あれとうまい具合に組み合わせることはできないか?

「おい豚、ちょっと耳貸せ」

「は…はぁい」

「これらを組み合わせて…さらに大気中のマナを使って半永久的に稼働させるなんてことはできるか?」

「すごい!さすが室長!鬼畜!!!」

スバァァン!!!!!

プシュッ!!!



こんな感じで様々なものを開発していた

半ばジョークグッズのような感覚で作っていたものが本当に役立つ日が来るとは思わなかったが…

他にも、もっと面白いものをいくつも用意してある

(これからが楽しみだ)

俺はこれからの展開を想像し、笑みを浮かべた
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