異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭

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第五章 出会い

82 思い出したくないダンジョン

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 あれから数日が経った。

 ダンジョンの五十五階まで辿り着いたが、正直に言うと精神をいたぶられた。
 五十階から五十二階までにでたのが、カーカーラックという名の、全長五十センチほどの黒く光ってカサカサ動くあれだ。
 どうしてあいつらは読めない動きをするのか。
 あの無軌道に走り回る姿、俺の精神が崩壊するかと思った。

 そのうえあいつらは羽が刃になっていて無軌道に走り回りながらも刃羽で切りつけてくるのだ。
 あんなでっかいくせいに動きがありえないくらい速い。
 限界が近かった俺はとにかく氷結槍で片っ端から固めていった。
 ミハエルたちには悪いが、まともに戦う気は俺にはない!

 それでもモンスターの数が多く、広いうえに、階段までの道がかなり遠回りしないといけなくて、結局五十階から五十二階までは二日かかり、五十三階から五十五階までも二日かかったらしい。
 らしい、というのは正直記憶が曖昧でほとんど俺は覚えてないからだ。

 五十三階からはあまり記憶にないんだが、最初に見たモンスターだけは覚えてる。
 カーカーラック五匹と、フースラングインゼクトが三匹。
 どちらも四、五十センチくらいの大きさだが、数が多く、何より動きがキモイ!
 カーカーラックは、黒光りするアイツで、フースラングインゼクト、こいつの意味は足の長い昆虫だ。
 ――そう、足の長い、便所虫と言われている、カマドウマだった。

 でっかいカマドウマだ。
 俺はそれを見たあとからあまり記憶が定かではない。
 ミハエルが言うにはとにかく無言で見つけ次第、氷結槍を撒き散らしながらドロップ品も拾わず、ガンガン進んでいったそうだ。

 ドロップはミハエルたちが拾ってくれたらしいが、俺はまったく記憶にない。
 ちなみに、ドロップ品はアダマンタイト鉱石と風と土鉱石らしい。

 そうして俺はひたすら無言無表情でひたすら進んでは夜の六時になるとセーフゾーンに行き、食事をとりベッドをとりだして眠り、朝起きて、全員が揃ったらまた無言で移動をはじめて氷結槍を撒き散らして、五十五階に下りたところで俺の意識がプッツリ切れたらしく、その場で俺は意識を失ったそうだ。

 うん、二度と行かない、あの階層!
 ――ちなみに、ミハエルたちはまったく攻撃する暇もなかったそうで、ただ俺のあとをついてきていただけだそうだ。
 そこに関しては正直申し訳ないと思い、謝罪したが、みんなあれは仕方ないと慰めてくれた。

 ドロップ品は、アダマンタイト鉱石が大銀貨一枚の価格だったために稼ぎとしてはかなりあったようだけど。
 あれから出たドロップなんて俺は絶対触りたくない。
 そんなわけで今日は俺の心の休養のためにお休みとなった。
 というわけでもなく、元々今日この日は休みだ。

 朝食の前にミハエルを誘っておかないといけない。
 今日はアクセサリーを見に行くのだから。

 ミハエルの泊っている部屋の前までいって俺は軽くノックする。
 一度目は返事なし、きっとまだ寝てるんだろう。
 そして二度目のノックでようやく中からだるそうな返事がきた。

「ミハエル、おはよう、俺だけど、ちょっと話があるんだ」
「あー……今あける……」

 少ししてカチャリと鍵の開く音がした。

「お邪魔します」

 そう声をかけて俺は扉を開けて中へ入る。
 ミハエルは大きく欠伸をしながら洗面台に向かっている。

「ルカ、今何時だー?」

 眠そうなミハエルの声に俺は答える。

「今は朝の六時だな」
「あー……まだ六時かよー」
「悪いな、ちょっと今日の休みはミハエルにも付き合ってほしくてな」

 そう言って俺は部屋にある椅子に腰かけた。
 ミハエルはまだ覚醒しきってないようで、洗面台で顔を洗い始めた。

 顔を洗い終えたミハエルがタオルで顔をふきながらこちらを見る。

「ふぅ。んで?」
「ほら、以前買い取ったミスリルあるだろ。父さんに加工してもらって今はマルセルの紹介で銀細工師さんに預けてあるんだ。で、今日が受け取り、というか確認に行く日なんだよ。ミスリルはミハエルの分もあるからさ、一緒に行こうぜ」
「あー……うん。そうだな。任せっぱで悪いな、ありがとう」
「おう、いいさ。そもそもイヤリングにしようって言ったの俺だしな」

 よし、いい感じにミハエルを丸めこめたな! ふははは!
 俺だけが恥ずかしい思いをするものか!
 ニヤケそうになるのをぐっと我慢する。

「じゃあ朝食後に行くってことでいいか?」
「おう、わかった」

 ミハエルは鎧なんかは装備せずにズボンとシャツだけで、剣だけを帯剣した。

「そういえば、ルカ、ちょっと気になったことがあるんだけどよ」
「ん?」
「よく街中にいる魔法使いって大体ローブに杖もってんじゃん?」
「ああ、そうだな」
「ルカとかエルナはああいう恰好しなくていいのか?」
「多分だけど、あれはイメージからくる魔法使いとしての強化方法なんだと思う」
「んあ?」

 要するに、彼ら魔法使いがローブを着て杖を持つのは、己が魔法使いである、というイメージ力を強化して魔法の威力をあげているのだと思う。
 俺やエルナはそのイメージを持たずに、魔法に対して強いイメージを作り上げているので、恰好を魔法使いにする必要性がないのだ。

 とはいえ、ミスリルなんかは魔法の伝導性がいいので、別に杖でなくてもいいけど魔法の発射口として作れば強化はできるかもしれない。
 ただ、作ってみなければわからないが、発射するまでにタイムラグが生まれる可能性もある。
 というのも、一度その発射口へ魔法を通すわけだから、今のように瞬間で撃ちだすことができないかもしれない。

「――そんなわけで、俺とエルナは魔法自体にイメージを作ってるから形を作らなくてもいいんだよ」
「ああ、なるほどなぁ。まぁエルナは合うけど、ルカがあの恰好してると思うと、似合わねぇよな」

 そう言ってミハエルは笑った。
 俺も苦笑しながら返事をする。

「だろうな、俺は絶対着たくないよ」

 こうして会話しつつ、俺とミハエルは食堂に下りていった。
 食堂に下りてすぐにフィーネたちも下りてきた。

「おはよう」
「ああ、おはよう」

 そうして朝食をとったあと、フィーネとエルナはお買い物にいくらしく俺たちは彼女たちを見送り、俺とミハエルは銀細工師さんのもとへ向かうことにした。
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