異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭

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第三章 新米冒険者

47 ダンジョン探索開始だ

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「おはよう、ミハエル」

 ギルドに入った俺は、酒場に座るミハエルに声をかけた。
 今は朝の七時三十分だ。

「よう。おはよう、ルカ」
「昨日はよく眠れたか?」
「ああ、助かったぜ。おかげでぐっすり眠れた」

 昨日はコボルト狩りをミハエルに任せ、俺は自分の分とミハエルの分の布団を具現化魔法で作ったのだ。
 さすがにあの煎餅布団ではろくに眠れないからだ。
 出来上がった布団をミハエルに渡すと大層喜んでアイテムボックスにしまい込んでいた。

 ちなみに、ミハエルのアイテムボックスは指輪型で、容量は家一つまるごと入るくらいの大きさと、時間停止機能つきで、指輪を出入口として設定してある。
 容量が無制限ではない事と、アイテム一覧が見れないだけで、俺のアイテムボックスと違いはそうない。

 俺達は酒場で朝食をとったあと、受付へと向かった。

「すいません、ダンジョン入場許可書が欲しいんですが」

 俺はそう言って昨日貰ったばかりの青銅色のタグを置いた。

 ダンジョンは冒険者ギルドが出入りの管理もしており、入場許可書がないと入ることができないようになっている。
 おかげで、というのはおかしいが、ダンジョンに入って出てこなかった冒険者の管理もできるということだ。

「はい、確認しました。暫くお待ち下さい」

 俺のタグを確認した受付嬢さんはタグを俺に返すと、ギルドの奥へと向かった。
 しばらくして戻ってきた受付嬢さんが二枚の鈍色のタグを渡してきた。
 タグにはナンバーと俺たちの名前が刻まれている。

「そちらが鉱山ダンジョンの入場許可書となりますので、無くさないようにお願い致します。無くされた場合は再発行に大銅貨五枚が必要となりますのでご注意下さい」

 俺はタグを受け取るとミハエルにも渡し、受付嬢さんに返事をする。

「はい、分かりました」
「そちらのタグをダンジョン入り口におります係の者に見せますと入場する事が可能です――」

 俺達は受付嬢さんにダンンジョンについて軽く説明されたあと、ギルドを出てダンジョンへと向かった。
 ギルドを出て少し歩くと、石で作られた建物が見えた。
 周りの建物が木なのに、そこだけ石の建物なのでなんだか少し物々しく見える。

 石造りの建物のしっかりとした扉を開けて中に入ると、数名の冒険者が受付で何かをしていた。
 どうやら彼らはこれからダンジョンにもぐるらしい。

 彼らは受付をすませると、奥にある一層立派な扉をくぐり中へと入っていった。
 どうやらあそこがダンジョンの入り口らしい。

 受付があいたので俺とミハエルは前に進んだ。
 鈍色のタグを取り出し、受付に座る男性――筋肉質の四十代くらいのいかついおじさん――に見せた。

「ダンジョンに入りたいです」

 男性は俺とミハエルの出した鈍色のタグを確認するとそれを自身の机の上にある箱に入れた。

「確かに預かった。ダンジョンから戻った際にここの受付に声をかけて入場タグを受け取ってくれ。気をつけろよ」
「はい」

 こうして俺達は無事にダンジョンへの入場が許可された。
 奥にある立派な扉を開けて中へ入ると、少しヒンヤリとした空気を感じる。
 扉の奥はすでにゴツゴツとした岩肌の洞窟になっている。

 松明などの明かりが必要なのかと思っていたが、それは必要ないようだった。
 洞窟の壁にそれなりに光る石が生えていて、多少薄暗いくらいで問題ない程度に明るい。
 完全にダンジョンの洞窟内に入ると、俺達の背後で扉が閉まる音がした。
 扉の前には警備兵のような人が立っていたので彼が閉めたのだろう。

 俺達はそのまま洞窟を進んでいく。
 しばらく進むと、少し広い広場のようなところについた。
 その広場の中央には不思議な色合いの石の柱のような物がたっている。
 これが玉虫色ってやつだろうか。

「これが転移柱てんいばしらか」

 俺の呟いた言葉にミハエルが疑問を投げかけてきた。

「転移柱?」

 転移柱とは、大体のダンジョンに存在している柱で、基本的にダンジョンの出入り口の近くにあって、その後は五階単位で転移柱が存在する。
 どういう仕組みかは不明だが、ダンジョンに入った本人が実際に五階まで行ってその階にある転移柱に触れると、次回からは一階にある転移柱からその五階の転移柱に、文字通り転移できるようになるのだ。
 ――その逆もしかり。
 ただし、本人が触っていないと転移できないので、五階に行ったことのある人に抱き着いていたとしてもその人しか五階に転移は出来ず、行ったことのない人は取り残されることになる。

「てなわけで、とりあえずこれに触っておこうか」
「はー、なるほどなぁ。んじゃ触っておくか」

 俺とミハエルは一階の転移柱に触れ、そこから奥へと進んでいった。
 俺は探索魔法を発動して、左下に見えるミニマップを確認した。

「一階は人はいないみたいだ。モンスターも点々といるが数が多くないせいかもな。さっさと地下へ進もうか」
「そうだな。どうせ一階じゃ強いモンスターもいねぇだろ」

 そう言うと俺たちはミニマップの地図を確認しながらさっさと地下への階段を下りて行った。
 ミニマップを確認しながらどんどん地下にくだっていく。
 もうすでに地下五階へと辿り着いて転移柱には触ってある。

 道中にいたモンスターはコボルトと慣れた敵でミハエルがサクサクと倒していた。
 一階は狭かったが、地下一階からは段々と洞窟内は広がってきている。

 ――ちなみにダンジョンに入る前に二十階までの地図は買っている。
 必要はないが買わないというのも宜しくないのだ。

 それにしても、話しに聞いてはいたが、倒したモンスターがポンと音をたてて煙のように消えるのは本当にゲームのようだ。
 そのせいか、殺したという感覚が薄い感じはする。
 それがいい事なのか悪い事なのかは置いといて、俺達はどんどん進む。

 さくさく進んではいるが、ダンジョンに入ってもうすでに三時間は経過している。
 それでも最短距離で来ているのですでに地下七階だ。



 地下四階まではコボルトしか出なかったが、五階からはホブゴブリンやアースワームが出ている。
 どちらも初見の敵だが、ホブゴブリンはゴブリンとは少し違い、体色は緑ではなく茶色で、身長もゴブリンより大きく百五十センチくらいだろうか。
 武器はただの木の枝ではなく、加工された棍棒を持っている。

 アースワームはそのままサイズが大きいミミズだ。
 大きさは五十センチほどで、なんとも気持ち悪い口を持っている。
 俺は激しく苦手なモンスターだ。

 今のところ、四階までで出たドロップは磁石鉱石と光る石で、五階からはそれにクズ鉄が混じりはじめる。
 倒せば必ず出るのではあるが、正直金額的には数をたくさん狩らないとたいした稼ぎにはならない。
 磁石鉱石は十個で銅貨一枚、光る石は五個で銅貨一枚、クズ鉄は五個で銅貨二枚だ。
 そして、ポイントに関しても磁石と光る石はまとめて百個、クズ鉄は五十個で一ポイントとシビアである。
 一応拾ってはいるのだが、さてはてどのくらい集まるのやら。


 そんな事を考えながら黙々と地下を進み、更に二階ほど下りたところで、ホブゴブリンに突き刺した剣を引き抜きながらミハエルが俺に問いかけた。

「ルカ、今何階だっけ?」
「今は地下九階だな、もう少し先に階段があるからそれを下りたらやっと十階だ」
「おお、いつのまにか随分下りてきてたな」
「そうだな。多分十階に下りたら転移柱あるだろうからそれを触ってそこで昼飯にしよう」
「分かった。十階からは何出るんだろーな。アースワームでないといいんだがな。あれは気持ち悪いだけだ」

 ミハエルの言葉に俺はアースワームを思い出して少し眉を顰める。
 俺はうにょうにょ系が元々苦手なのだが、特にアースワームは口がきもすぎた。
 一度テレビで見たことのある、なんといったか、ヤツメウナギだったか? あれによく似た口をしていた。
 円形の丸い口の中にびっしりと細かい牙が生えていてなんとも言えない気持ち悪さがあった。

 そんなアースワームを思い出してしまい眉を顰めていると、やっと十階に辿り着いた。
 階段を下りたところでミニマップに沢山の緑色の光点がうつり俺はびっくりする。

「うわ、なんだろ。すごい人数いるな。何パーティいるか分からんぞ」
「ほお?なんかおいしい敵でもいんのかね?」
「かもしれないな」

 十階に下りてから少し進むと、円形の広場に出た。
 そこには中央に五階でも見た転移柱と同じ物があった。
 五階はほとんど通りすがりに触れてきただけなので印象は薄い。

「じゃ、転移柱に触ってから昼飯にしよう。転移柱のある部屋は基本セーフゾーンだからな」
「ふぅん?敵こねぇの?」
「そう、なぜか敵が入ってこないし、近寄ってこないらしいぞ」

 俺たちは転移柱に触れると壁の近くに座り、昼食をとる事にした。
 幸いなことにここには人はいないので、アイテムボックスから普通に取り出せる。
 一応、前日に二日分の食べ物を購入してアイテムボックスに入れてあるのだが、今回は二十階についたら一旦地上に戻る予定だ。

「ちなみに、ここ以外にもセーフゾーンってあるのか?」

 ミハエルの質問に俺はスマフォを発動して調べる。

「えーと、ああ、あるみたいだな。セーフゾーンの部屋には必ず水が湧いてるらしくて、水が湧いてる部屋は基本セーフゾーンでここと同じく敵が近寄ってこないらしい。だからダンジョンに潜った冒険者はセーフゾーンで寝泊まりするらしいな」
「そりゃいいな。水持ってこなくていいってのは普通ならかなりありがてぇよな」
「だな。俺たちはアイテムボックスがあるから余裕だけど、ないよりはある方がありがたい。というかマップに設定しとけば良かったな」
「まぁいいんじゃね?今日帰ったあとにでもすればさ」
「そうだな、セーフゾーンに寄ることも今のとこなさそうだしな」

 俺の言葉にミハエルは頷く。
 そして、昼食をとりおえた俺たちはさらに地下へ向かって移動を開始した。
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