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第二章 少年期 後編
44 ウードとマリーの馴れ初め
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「最初は怖い人だなって思ったのよ?でもね――」
♦♦♦♦♦
「あの、すいません……。依頼してたナイフを受け取りに来たんですが……」
私の名はマリー・エストマン、今年十五歳になったばかりだ。
今いる場所は鍛冶場で、私は仕事場の料理長が注文したナイフを受け取りに来ている。
両親は私がちょうど十三歳になった年に不慮の事故で亡くなり、そこから私は一人で生きている。
今働いている店はそれなりにしっかりとした店で、父の友人だった店長さんが一人になった私に声をかけてくれ、それから働かせてもらっているのだ。
さすがに家族で暮らしていた家では家賃を払うのが難しく、家を出るしかなかったのでそこは少し辛かった。
「……名前は?」
鍛冶場から出て来た男性が私にそう尋ねた。
顔が物凄く怖くて、私は慌てて答えた。
「あ、えっとマリー・エストマンです!」
私を一度チラリと見た男性はすぐに手元にある板書を見始めた。
しかし暫くすると眉を顰め私をじろりと見て来た。
何か気に障る事でもあったのかと私が顔を青くしていると、男性がそんな私を見てハッとした顔になった。
「すまん、怖がらせるつもりはなかったんだ。俺は昔からこういう顔だから、別に怒ってるわけではない」
そんな彼の言葉を聞いて私は、ほっと胸を撫でおろした。
改めて彼を見て、そうよね、きっとこうして知らず怯えられてきたのねと、同情を感じていた。
ただ、そのすぐ後の彼の言葉に私は自分のうっかりミスにとても恥ずかしい思いをする事になる。
「それで、すまんが、依頼主の名前を教えて欲しい……あんたの名前では依頼がないんだ」
彼のその言葉で私は顔が真っ赤になってしまった。
そうなのだ、私は料理長にちゃんと料理長の名前を告げるように言われていたのだから。
私はあまりの恥ずかしさに涙が出てしまい、うまく言葉を言えなくなってしまった。
「ご、ごめ、ごめ、な、さ……」
急に泣き出した私に彼は眉を物凄く下げてオロオロしていた。
彼を気になり出したのはこの時からかもしれない。
それからも私は自分でも驚く事に、積極的に彼に会いに行った。
もちろん最初は色々と理由をつけては彼に相談などと称して会いに行っていた。
途中からはもうただただ彼と会話したくて、会いたくて会いに行っていた。
彼の名前はウード、ウード・ローレンツ。
顔はとっても怖いし、ぶっきらぼうだけど、すごく優しい人。
最近はぶっきらぼうだと思っていたそれも単純に人との交流が苦手なだけだった事が分かった。
「こんにちは」
彼と出会って半年が経った。
今日は、彼の仕事が終わる時間に私は彼の仕事場に来た。
彼の師匠でもあり、お父さんでもある親方さんが私を見てニッと笑った。
「おい!ウード!マリーちゃんが来てるぞ!さっさとその汚ねぇ手と顔洗って来い!」
「あ、私は待ってるので急がなくても……」
「いーんだよ!こんなべっぴんさんがあんな面した息子に会いに来てくれてんだからな!マリーちゃん、あいつの事頼むわ、顔はあんなだがな、本当にいいやつなんだよ」
親方さんはそう言って豪快に、だけど息子を愛する優しい父親の顔で笑う。
――本当に素敵で優しくて、豪快な人だった。
だけど残念な事に、親方さんはこの後一年もしないうちに心臓の病で命を落としてしまう。
もっと会話をしていれば良かったと今でもそう思う――
私は親方さんの言葉に、少しだけ頬を染めてしまう。
だって、私はまだ彼に気持ちを伝えてなんていないのだから。
やっぱり私の気持ちはばれているのかしら。
「親父、余計な事言うなよ。マリーが困るだろ」
顔を洗って来たのだろう、少しサッパリしたウードがやってきた。
思わず私は笑顔になってしまう。
「へぇへぇ。いつのまに呼び捨てするようになったんだ?お前は」
親方さんがそう言ってニヤニヤ笑った。
ウードは眉間に皺を寄せて、親方さんにうるせーと言って奥においやった。
少しウードの頬が赤くなってるけど、彼は私を意識してくれてるのだろうか。
――それなら嬉しいんだけどなぁ。
「ウード、少し外を歩かない?」
「ああ」
彼と並んで私はオレンジ色に染まる街の中を歩いた。
言葉は少ないけど、こうして彼と並んで歩いているだけでも心があったかくなる。
チラリと彼を見上げるとムッスリとした横顔が見える。
最初はこの顔が機嫌が悪いのかなと不安になったけど、今はそうじゃないって分かる。
彼をじっと見ながら歩いているとふとウードがこちらを見た。
目がバッチリと合ってしまい、私は見つめていた事がばれてしまい慌ててしまう。
そのせいで私は足をもつれさせてしまった。
倒れそうになった私にウードはすぐに反応して私の背に手を回して支えてくれた。
彼の逞しい腕で抱きすくめられる形になり、私は顔が真っ赤になってしまった。
「大丈夫か?」
「あ、あ、あり、ありがとぅ……」
支えてくれただけだけど、私は恥ずかしくて、でもすごく嬉しくて幸せで。
彼の手が私から離れる瞬間、思わず私は彼にくっついてしまう。
だって、離れたくなかったの。
だからかしら?気づけば私の口からは彼への愛の告白の言葉が漏れていた。
「ウード、私あなたの事が好き。好きなの」
自分で言った言葉の内容に気づいた瞬間私は、今彼に身を寄せているという事実も相まって、頭が真っ白になってしまい、私は自身の胸の前で彼に添えていた手で、彼の服を思わずぎゅっと握り、おでこを彼の胸板に預ける形で何も出来なくなってしまった。
人気が少ないとはいえ、道の真ん中で私は何てことをしているのか。
あまりの恥ずかしさに体が震え、どうする事も出来ない。
そうして私が震えるだけで何も出来ないでいると、急にふわりと体が浮き上がった。
驚いて見上げると、真っ赤な顔をしたウードがみえた。
彼は私を抱き上げてくれたのだ。
「恥ずかしければ、俺に顔を押し付けていればいい。場所を変えるぞ」
彼もきっとすごく恥ずかしいだろうに、私を気づかい、そう言ってくれる。
私は嬉しくて、だけど、彼に悪いと分かってるのに、嬉しくて幸せで、ウードの胸元に顔をうずめてしまった。
チラリと見た彼は物凄く真っ赤な顔で眉間にぐっと皺を寄せていた。
これは恥ずかしいのを我慢している時の表情だ。
そんな彼が愛しくてたまらない。
こんなに人を好きになったのは初めてだ。
これまで私に好きだと告白してくれた人はたくさんいる。
だけど、どの人もピンとこなかった。
とてもカッコよくて素敵な人もいたけど、何かが違うと思った。
でも、ウードは違ったの。
彼はいつでも真っ直ぐで、言葉に裏がなくて、本当の言葉だけを私に告げてくれる。
そして、いつでも彼は私の心を抱きしめるような言葉を言ってくれるのだ。
言葉全てから、私を守ろうと、大切にしようとしているのが伝わる。
そんな彼の不器用だけど一生懸命な気遣いがとても嬉しくてくすぐったい。
暫くしてちょっとした木の生えた広場についた。
周りに人はいないようで、ウードが近場の腰をかけられる切り株の所で私を下した。
少しだけ寂しく思いながらも私は下りると立っていられなくて切り株に腰を落とした。
「ありがとう、ウード」
「気にするな」
赤い顔をしつつもウードは切り株の側にある岩に腰かける。
私はそんなウードを眺めながら、恥ずかしいけどもう一度彼に告白をした。
「ウード、私あなたが好き。あなたは?」
「……俺は二十四だぞ。マリーはまだ十五だろ」
彼とは九歳の年の差がある。
だけどそれは私にとって何の問題にもならない。
それに、そのくらいの年の差のカップルなど沢山いるのだから。
私は真っ赤な顔のまま恥ずかしさで浮かぶ涙を湛えて真っ直ぐに彼を見つめた。
「年齢なんて関係ないの。私はあなたが大好き」
ウードは暫く何かと葛藤するかのような表情をした後、私を見た。
「まだ若いマリーにはもっと相応しい相手がいるのかもしれん。だが、俺はマリーを手放したくない。俺の側にいて欲しい。マリー、俺と結婚してくれ。君が、好きだ」
ウードの告白は、恋人を飛ばしてプロポーズだった。
だけど、私は嬉しくて幸せで泣きそうだった。
「嬉しい、お願いします、私をあなたのお嫁さんにして下さい」
私はそう言ってウードに抱き着いた。
ウードはぎこちなくだけど、私を抱きしめてくれた。
本当に心の底から幸せで嬉しくて、暖かい時間だった。
♦♦♦♦♦
「――そんな訳でその後すぐにウードと結婚して、私が十七の時にルカが生まれたのよ」
俺はウードとマリーの馴れ初めを聞いて自身の頬が熱くなっているのを感じていた。
カールも頬を赤くさせて――
「わぁ、ステキな話だね!」
そう興奮して言った。
「うふふ。今でも自分からあんなに積極的になったのは驚くのよ? でも、大正解だったわ」
そう言ってマリーはウードに笑いかけた。
ウードは顔を赤くさせたままではあるがマリーに声を返した。
「俺もマリーに出会えた事に感謝してるぞ。君ほど素敵な女性は見たことがないからな」
俺は二人の惚気になんとも言えないむずがゆさを覚えてしまった。
だけど、俺はそんな二人の子供である事が幸せだと、そう思うのだった。
♦♦♦♦♦
「あの、すいません……。依頼してたナイフを受け取りに来たんですが……」
私の名はマリー・エストマン、今年十五歳になったばかりだ。
今いる場所は鍛冶場で、私は仕事場の料理長が注文したナイフを受け取りに来ている。
両親は私がちょうど十三歳になった年に不慮の事故で亡くなり、そこから私は一人で生きている。
今働いている店はそれなりにしっかりとした店で、父の友人だった店長さんが一人になった私に声をかけてくれ、それから働かせてもらっているのだ。
さすがに家族で暮らしていた家では家賃を払うのが難しく、家を出るしかなかったのでそこは少し辛かった。
「……名前は?」
鍛冶場から出て来た男性が私にそう尋ねた。
顔が物凄く怖くて、私は慌てて答えた。
「あ、えっとマリー・エストマンです!」
私を一度チラリと見た男性はすぐに手元にある板書を見始めた。
しかし暫くすると眉を顰め私をじろりと見て来た。
何か気に障る事でもあったのかと私が顔を青くしていると、男性がそんな私を見てハッとした顔になった。
「すまん、怖がらせるつもりはなかったんだ。俺は昔からこういう顔だから、別に怒ってるわけではない」
そんな彼の言葉を聞いて私は、ほっと胸を撫でおろした。
改めて彼を見て、そうよね、きっとこうして知らず怯えられてきたのねと、同情を感じていた。
ただ、そのすぐ後の彼の言葉に私は自分のうっかりミスにとても恥ずかしい思いをする事になる。
「それで、すまんが、依頼主の名前を教えて欲しい……あんたの名前では依頼がないんだ」
彼のその言葉で私は顔が真っ赤になってしまった。
そうなのだ、私は料理長にちゃんと料理長の名前を告げるように言われていたのだから。
私はあまりの恥ずかしさに涙が出てしまい、うまく言葉を言えなくなってしまった。
「ご、ごめ、ごめ、な、さ……」
急に泣き出した私に彼は眉を物凄く下げてオロオロしていた。
彼を気になり出したのはこの時からかもしれない。
それからも私は自分でも驚く事に、積極的に彼に会いに行った。
もちろん最初は色々と理由をつけては彼に相談などと称して会いに行っていた。
途中からはもうただただ彼と会話したくて、会いたくて会いに行っていた。
彼の名前はウード、ウード・ローレンツ。
顔はとっても怖いし、ぶっきらぼうだけど、すごく優しい人。
最近はぶっきらぼうだと思っていたそれも単純に人との交流が苦手なだけだった事が分かった。
「こんにちは」
彼と出会って半年が経った。
今日は、彼の仕事が終わる時間に私は彼の仕事場に来た。
彼の師匠でもあり、お父さんでもある親方さんが私を見てニッと笑った。
「おい!ウード!マリーちゃんが来てるぞ!さっさとその汚ねぇ手と顔洗って来い!」
「あ、私は待ってるので急がなくても……」
「いーんだよ!こんなべっぴんさんがあんな面した息子に会いに来てくれてんだからな!マリーちゃん、あいつの事頼むわ、顔はあんなだがな、本当にいいやつなんだよ」
親方さんはそう言って豪快に、だけど息子を愛する優しい父親の顔で笑う。
――本当に素敵で優しくて、豪快な人だった。
だけど残念な事に、親方さんはこの後一年もしないうちに心臓の病で命を落としてしまう。
もっと会話をしていれば良かったと今でもそう思う――
私は親方さんの言葉に、少しだけ頬を染めてしまう。
だって、私はまだ彼に気持ちを伝えてなんていないのだから。
やっぱり私の気持ちはばれているのかしら。
「親父、余計な事言うなよ。マリーが困るだろ」
顔を洗って来たのだろう、少しサッパリしたウードがやってきた。
思わず私は笑顔になってしまう。
「へぇへぇ。いつのまに呼び捨てするようになったんだ?お前は」
親方さんがそう言ってニヤニヤ笑った。
ウードは眉間に皺を寄せて、親方さんにうるせーと言って奥においやった。
少しウードの頬が赤くなってるけど、彼は私を意識してくれてるのだろうか。
――それなら嬉しいんだけどなぁ。
「ウード、少し外を歩かない?」
「ああ」
彼と並んで私はオレンジ色に染まる街の中を歩いた。
言葉は少ないけど、こうして彼と並んで歩いているだけでも心があったかくなる。
チラリと彼を見上げるとムッスリとした横顔が見える。
最初はこの顔が機嫌が悪いのかなと不安になったけど、今はそうじゃないって分かる。
彼をじっと見ながら歩いているとふとウードがこちらを見た。
目がバッチリと合ってしまい、私は見つめていた事がばれてしまい慌ててしまう。
そのせいで私は足をもつれさせてしまった。
倒れそうになった私にウードはすぐに反応して私の背に手を回して支えてくれた。
彼の逞しい腕で抱きすくめられる形になり、私は顔が真っ赤になってしまった。
「大丈夫か?」
「あ、あ、あり、ありがとぅ……」
支えてくれただけだけど、私は恥ずかしくて、でもすごく嬉しくて幸せで。
彼の手が私から離れる瞬間、思わず私は彼にくっついてしまう。
だって、離れたくなかったの。
だからかしら?気づけば私の口からは彼への愛の告白の言葉が漏れていた。
「ウード、私あなたの事が好き。好きなの」
自分で言った言葉の内容に気づいた瞬間私は、今彼に身を寄せているという事実も相まって、頭が真っ白になってしまい、私は自身の胸の前で彼に添えていた手で、彼の服を思わずぎゅっと握り、おでこを彼の胸板に預ける形で何も出来なくなってしまった。
人気が少ないとはいえ、道の真ん中で私は何てことをしているのか。
あまりの恥ずかしさに体が震え、どうする事も出来ない。
そうして私が震えるだけで何も出来ないでいると、急にふわりと体が浮き上がった。
驚いて見上げると、真っ赤な顔をしたウードがみえた。
彼は私を抱き上げてくれたのだ。
「恥ずかしければ、俺に顔を押し付けていればいい。場所を変えるぞ」
彼もきっとすごく恥ずかしいだろうに、私を気づかい、そう言ってくれる。
私は嬉しくて、だけど、彼に悪いと分かってるのに、嬉しくて幸せで、ウードの胸元に顔をうずめてしまった。
チラリと見た彼は物凄く真っ赤な顔で眉間にぐっと皺を寄せていた。
これは恥ずかしいのを我慢している時の表情だ。
そんな彼が愛しくてたまらない。
こんなに人を好きになったのは初めてだ。
これまで私に好きだと告白してくれた人はたくさんいる。
だけど、どの人もピンとこなかった。
とてもカッコよくて素敵な人もいたけど、何かが違うと思った。
でも、ウードは違ったの。
彼はいつでも真っ直ぐで、言葉に裏がなくて、本当の言葉だけを私に告げてくれる。
そして、いつでも彼は私の心を抱きしめるような言葉を言ってくれるのだ。
言葉全てから、私を守ろうと、大切にしようとしているのが伝わる。
そんな彼の不器用だけど一生懸命な気遣いがとても嬉しくてくすぐったい。
暫くしてちょっとした木の生えた広場についた。
周りに人はいないようで、ウードが近場の腰をかけられる切り株の所で私を下した。
少しだけ寂しく思いながらも私は下りると立っていられなくて切り株に腰を落とした。
「ありがとう、ウード」
「気にするな」
赤い顔をしつつもウードは切り株の側にある岩に腰かける。
私はそんなウードを眺めながら、恥ずかしいけどもう一度彼に告白をした。
「ウード、私あなたが好き。あなたは?」
「……俺は二十四だぞ。マリーはまだ十五だろ」
彼とは九歳の年の差がある。
だけどそれは私にとって何の問題にもならない。
それに、そのくらいの年の差のカップルなど沢山いるのだから。
私は真っ赤な顔のまま恥ずかしさで浮かぶ涙を湛えて真っ直ぐに彼を見つめた。
「年齢なんて関係ないの。私はあなたが大好き」
ウードは暫く何かと葛藤するかのような表情をした後、私を見た。
「まだ若いマリーにはもっと相応しい相手がいるのかもしれん。だが、俺はマリーを手放したくない。俺の側にいて欲しい。マリー、俺と結婚してくれ。君が、好きだ」
ウードの告白は、恋人を飛ばしてプロポーズだった。
だけど、私は嬉しくて幸せで泣きそうだった。
「嬉しい、お願いします、私をあなたのお嫁さんにして下さい」
私はそう言ってウードに抱き着いた。
ウードはぎこちなくだけど、私を抱きしめてくれた。
本当に心の底から幸せで嬉しくて、暖かい時間だった。
♦♦♦♦♦
「――そんな訳でその後すぐにウードと結婚して、私が十七の時にルカが生まれたのよ」
俺はウードとマリーの馴れ初めを聞いて自身の頬が熱くなっているのを感じていた。
カールも頬を赤くさせて――
「わぁ、ステキな話だね!」
そう興奮して言った。
「うふふ。今でも自分からあんなに積極的になったのは驚くのよ? でも、大正解だったわ」
そう言ってマリーはウードに笑いかけた。
ウードは顔を赤くさせたままではあるがマリーに声を返した。
「俺もマリーに出会えた事に感謝してるぞ。君ほど素敵な女性は見たことがないからな」
俺は二人の惚気になんとも言えないむずがゆさを覚えてしまった。
だけど、俺はそんな二人の子供である事が幸せだと、そう思うのだった。
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