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第二章 少年期 前編
31 ミハエルの決意
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両親に決意表明をしてから数日が経った。
あの後両親に防護の魔法についてを説明したところ、かなり驚いていたが、俺の気持ちを汲んでくれて魔法をかけることを了承してくれた。
これで家族皆が突然の攻撃を受けても死ぬことは決してない。
ただ、カールのこと含め両親からの要望で俺も納得したので、後々新しい魔法を開発してかけ直す予定だ。
朝食後、カールと少し遊んでから俺は教会学校に向けて移動を始めた。
今日も今日とてカールとの一時の別れは辛い。
しかしお兄ちゃんは行かねばならないのだ……!
弟との暫しの辛い別れに涙していると、教会学校についた。
いつものごとく先に来ているマルセルの隣に座り、時間ギリギリにミハエルもやってきた。
ミハエルは今日も青痣を顔に作っている。
最近は青痣の頻度がかなり上がっているので、本当にあの時防護魔法をかけて良かったと思っている。
「おはよう、ミハエル。また殴られたのか?」
「おはよう、ルカ、マルセル。ああ、本当に嫌になる」
「おはよう、大丈夫……?」
「ああ、ルカのおかげでな」
青痣の部分をさすりながらミハエルはそういった。
実際は痣などはなく、魔法がそう見せているだけなのだ。
それでも痛々しくは見えるので、マルセルなどは少し涙目になっている。
分かっていても、心優しいマルセルには辛いのだろう。
学校が終わった後、マルセルは家の用事で先に帰ったが、俺はミハエルと少し遊んで帰ることにした。
――遊ぶというよりは買い食いしてだべってるだけだが。
ミハエルは普段は学校終わりにバイトに行くのだが、今日は休みだ。
大体こうして学校終わりに遊ぶ時はミハエルのバイトが休みの日だけである。
まぁ、バイトと言っても本来は成人前の子供なんぞ雇ってくれる者はいないのだが、幸いなことに、マルセルの父親がミハエルの状況を知って雇ってくれているのだ。
マルセルの父親はこの町ではそれなりに稼いでいるのと、人柄がよく皆から慕われていて人望もある。
ミハエルの父親がどう思ってるかは知らないが、マルセルの父親には何も言ってはいないようで、ミハエルの稼いだお金についても手は出していないし、バイトについても何も言ってはいないらしい。
とりあえず二人で屋台広場へと行き、適当に何か買って広場の一角に座り食べながら会話をする。
「そういやルカはもう親に言ったんだっけ?」
「ん?ああ、冒険者になることか?」
「そう」
「ああ、言ったぞ」
「そっか、どんな感じだったんだ?」
「心配はしてたけど、ちゃんと理解してくれたよ」
「そうか……いい親だな」
「そうだな」
そこで少し会話が途切れ、俺達は黙って食べる。
食べ終わったところでミハエルが言った。
「俺さ、成人したら家出ることにした」
「そうか」
「おう、でよ、まぁなんだ……」
「なんだよ?」
「……俺も一緒に行っていいか?足手まといかもしんねーけどさ」
そう言って少し不安気に俺を見てきた。
だから俺はニッと笑ってミハエルに言う。
「何言ってんだ。お前なら大歓迎だよ」
俺の言葉にミハエルは少し照れたようにニカッと笑った。
「そっか、ありがとな、ルカ」
「ただ一つ言っとくことがある」
「なんだ?」
「まだ俺は隠してることがある。でも、それは学校を卒業してなおミハエルが冒険者になる気があったら、その時に少し話す。それでも、いいか?」
「ああ、全然かまわねぇよ」
「そうか。なら、よろしくな!」
「おう、よろしくな、ルカ」
俺達は成人したらパーティを組んで冒険者になる約束をした。
と言ってもミハエルが人型を殺せるかどうかによるが。
その踏み絵は卒業した時にやることになるだろう。
ただそうとなれば、俺は新しい魔法を開発しておかねばならない。
元々は一人で冒険者をやっていくつもりで開発した魔法ばかりなので、ミハエルと共に冒険者をやるなら仲間にかけれる魔法を開発しておくのは必要だろう。
「じゃあな、ルカ。マルセルには明日俺が話すよ」
「ああ、分かった。また明日な、ミハエル」
ミハエルと夕方近くまで話し込んだ後、俺たちは別れそれぞれ家へと戻ることになった。
あの後両親に防護の魔法についてを説明したところ、かなり驚いていたが、俺の気持ちを汲んでくれて魔法をかけることを了承してくれた。
これで家族皆が突然の攻撃を受けても死ぬことは決してない。
ただ、カールのこと含め両親からの要望で俺も納得したので、後々新しい魔法を開発してかけ直す予定だ。
朝食後、カールと少し遊んでから俺は教会学校に向けて移動を始めた。
今日も今日とてカールとの一時の別れは辛い。
しかしお兄ちゃんは行かねばならないのだ……!
弟との暫しの辛い別れに涙していると、教会学校についた。
いつものごとく先に来ているマルセルの隣に座り、時間ギリギリにミハエルもやってきた。
ミハエルは今日も青痣を顔に作っている。
最近は青痣の頻度がかなり上がっているので、本当にあの時防護魔法をかけて良かったと思っている。
「おはよう、ミハエル。また殴られたのか?」
「おはよう、ルカ、マルセル。ああ、本当に嫌になる」
「おはよう、大丈夫……?」
「ああ、ルカのおかげでな」
青痣の部分をさすりながらミハエルはそういった。
実際は痣などはなく、魔法がそう見せているだけなのだ。
それでも痛々しくは見えるので、マルセルなどは少し涙目になっている。
分かっていても、心優しいマルセルには辛いのだろう。
学校が終わった後、マルセルは家の用事で先に帰ったが、俺はミハエルと少し遊んで帰ることにした。
――遊ぶというよりは買い食いしてだべってるだけだが。
ミハエルは普段は学校終わりにバイトに行くのだが、今日は休みだ。
大体こうして学校終わりに遊ぶ時はミハエルのバイトが休みの日だけである。
まぁ、バイトと言っても本来は成人前の子供なんぞ雇ってくれる者はいないのだが、幸いなことに、マルセルの父親がミハエルの状況を知って雇ってくれているのだ。
マルセルの父親はこの町ではそれなりに稼いでいるのと、人柄がよく皆から慕われていて人望もある。
ミハエルの父親がどう思ってるかは知らないが、マルセルの父親には何も言ってはいないようで、ミハエルの稼いだお金についても手は出していないし、バイトについても何も言ってはいないらしい。
とりあえず二人で屋台広場へと行き、適当に何か買って広場の一角に座り食べながら会話をする。
「そういやルカはもう親に言ったんだっけ?」
「ん?ああ、冒険者になることか?」
「そう」
「ああ、言ったぞ」
「そっか、どんな感じだったんだ?」
「心配はしてたけど、ちゃんと理解してくれたよ」
「そうか……いい親だな」
「そうだな」
そこで少し会話が途切れ、俺達は黙って食べる。
食べ終わったところでミハエルが言った。
「俺さ、成人したら家出ることにした」
「そうか」
「おう、でよ、まぁなんだ……」
「なんだよ?」
「……俺も一緒に行っていいか?足手まといかもしんねーけどさ」
そう言って少し不安気に俺を見てきた。
だから俺はニッと笑ってミハエルに言う。
「何言ってんだ。お前なら大歓迎だよ」
俺の言葉にミハエルは少し照れたようにニカッと笑った。
「そっか、ありがとな、ルカ」
「ただ一つ言っとくことがある」
「なんだ?」
「まだ俺は隠してることがある。でも、それは学校を卒業してなおミハエルが冒険者になる気があったら、その時に少し話す。それでも、いいか?」
「ああ、全然かまわねぇよ」
「そうか。なら、よろしくな!」
「おう、よろしくな、ルカ」
俺達は成人したらパーティを組んで冒険者になる約束をした。
と言ってもミハエルが人型を殺せるかどうかによるが。
その踏み絵は卒業した時にやることになるだろう。
ただそうとなれば、俺は新しい魔法を開発しておかねばならない。
元々は一人で冒険者をやっていくつもりで開発した魔法ばかりなので、ミハエルと共に冒険者をやるなら仲間にかけれる魔法を開発しておくのは必要だろう。
「じゃあな、ルカ。マルセルには明日俺が話すよ」
「ああ、分かった。また明日な、ミハエル」
ミハエルと夕方近くまで話し込んだ後、俺たちは別れそれぞれ家へと戻ることになった。
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