異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭

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第一章 幼少期

23 パパへ作る初めての料理

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 さて、次は何を調べよう?
 ああ、文字、そうだよ。この世界の文字を教えてくれ。
【この世界では基本共通の文字が使用されている。かつては何種類も文字があったらしいが、遥か昔にこの世界は一度統一されており、その時に文字は統一した国の言語が選ばれた。統一は数百年続き、その間に古い文字や言葉は廃され、言葉と文字は統一された。しかし、その統一国家も千年と続かず崩壊、今は多数の国へと散らばっている】
 ん? あれ? で肝心の文字は?
【文字とは、人間が作り出した物であるが、一説では神が作ったとも言われている】
 あっれぇ? そうじゃなくて、この世界の文字――もしかして俺が日本語と思って見てるこれがこの世界の文字だったりするのか?

 これはスマフォさんでは解決できないな。
 パパに俺の名前の文字を教えてもらおう。
 俺は早速消音とロック魔法を消して部屋を出てキッチンへ向かった。
 チラリと時計を見るともう夜の六時を回ろうかというところだった。
 それを見て俺は自室へ戻ってすでに三時間近くが経っていることと、誰も部屋に来なかったことに驚いた。
 なぜなら、普段は夕方の五時には晩御飯を食べている時間なので、マリーかウードが必ず呼びに来るのだ。

 呼びに来なかったので、何かあったのだろうか、と少し不安になってキッチンへ急ぐ。
 キッチンに入ると、そこにはウードが机につっぷして眠っていた。
 キッチンの流しには鍋やら皿などの汚れた物があるのと、あちこちに何かが飛び散った跡があるので、これはどうもウードがマリーのために料理を悪戦苦闘した挙句、それを食べさせて後は疲れ果てて寝たようだ。
 これは仕方ないし、俺も迂闊だった。
 そうだよな、マリーは料理できる体じゃないんだし、俺もスマフォ開発してる場合じゃなかった。

 俺は反省しつつ、ウードを起こさないようキッチンに消音魔法をかけて、キッチン全体に浄化魔法をかけて綺麗にする。
 そして、飛行魔法を使い、皿や鍋などを片付ける。
 とはいえ、俺も腹減ったし、なんか食べたい。
 とりあえず簡単なスープや野菜炒めでも作ることにしよう。
 前世の俺は、料理自体は嫌いではなく、どちらかというと楽しかったので、部活が休みの試験期間などは一人暮らしの友達の家に入り浸ってはお礼に簡単な安飯を作ったものである。

 なんとも懐かしい思い出に浸りつつ、俺はせっせと料理を仕上げていく。
 とはいえ、コンソメもなければソースもないので、あるのは塩と醤油に似た何かだ。
 醤油と似たような色なのだが、なんというか香りがちょっと魚の生臭さがある、そして塩辛いのだ。
 とはいえ、味自体は非常に深い味わいで、火を通すとその生臭さは薄れるので気にならなくなる。
 そんな醤油モドキと塩でスープと野菜炒めを味付けしていく。
 スープは塩少々と醤油モドキちょっぴり、そしてトマトを潰して入れて、味を調え、具材はキャベツと椎茸っぽいキノコを入れる。
 スープが完成したので次に野菜炒めを作る。
 これも簡単に、キャベツとしめじっぽいキノコとベーコン、そして裏庭で飼ってる鶏の卵を入れる。
 味付けは塩と醤油モドキとスープの煮汁をほんの少し。
 せめてトマトケチャップでもあればなぁ、と思いつつ簡単な夕ご飯を作り終えた。

 よそって机の上に置きたいが、ウードが大部分を占めているのでそれは諦める。
 俺は消音魔法を消して、ウードを起こした。
 ウードの体をゆすりながら声をかける。

「パパー起きてー」

 何度目かの呼びかけでやっとウードは起きた。
 目を覚ましたウードは、俺を見て、外の暗さを見て慌てて声を上げた。

「すっすまん! ルカ! うっかり寝ててお前の飯を忘れてしまった! 急いで作るからな!」

 慌てて立ち上がろうとするウードに俺は声をかける。

「パパ! ご飯もう作ったから、一緒に食べよう」

 ウードは俺の言葉に疑問符いっぱいといった顔をした。
 だから俺は今度は丁寧に説明した。

「僕がご飯作った。まだよそってないけど、そこにあるから一緒に食べよう?」

 ウードはたっぷり五分もの間、俺の言葉の意味を頭の中で咀嚼していたらしい。

「ルカが、ご飯を作ったのか?」
「そうだよ」
「どうやって?」
「秘密!」

 なんとなくそれで察したのか、ウードは苦笑を浮かべ頷いた。

「そうか。分かった。ありがとうな、ルカ。パパがよそってくるから座って待ってなさい」
「うん」

 ウードは料理をよそいに行って驚くことになった。
 そこにある料理はマリーが作る料理と変わりなく素晴らしい出来だったからだ。
 まだ六歳だというのに、あの子は天才なのだろうか。
 魔法の才能だけでなく、料理にまで才能があるとは。
 そんな感動を覚えつつ、ウードは料理をよそって配膳をし、ルカと共に食事を始めた。

「うまい! ルカ、お前は料理の才能もあるんだな! パパは本当にお前が自慢だよ」

 ウードのそんな誉め言葉に、俺は照れまくる。
 こんな風に何かを作って父親に褒められたのは初めてなのだ。
 ウードやマリーは何をしなくても俺をいい子だ、えらいなとほめてくれる。
 それだけでも俺は嬉しくて幸せではあるのだが、こうして親のために何かをして褒められるというのは初めてなのだ。

 前世では俺が何をしても、親父は俺を殴った。
 どんなに努力しても、親父が喜んでくれるようにテストで百点とっても、親父は褒めてくれなかった。
 だけど、俺が百点以外をとると激しく殴られた。
 何をお前は勉強してきたのか、お前は本当に何をしてもダメなやつだ、そんな言葉と共に、拳が俺に降ってきた。
 親父の気に障らないように静かにしたり、音を立てないように過ごしたりもした。
 それでも親父は何か理由をつけては殴ってきた。

 今はもう大丈夫だが、ルカとして生き始めてからも、ウードが俺の頭を撫でようと手をあげたりすると俺はあの親父の拳を思い出して恐怖で泣いてしまったりすることもあった。
 ウードは自分の顔がまた怖かったのかと勘違いしてへこんでいたようではあるが。
 今はかなりあの時のフラッシュバックは薄れ、ウードが手をあげても恐怖は覚えなくなった。

 ニコニコと笑いながら俺の作った飯を食うウードを見て、俺は満面の笑みで答えた。

「パパのために作ったんだ、喜んでくれてすごく嬉しい!」
「そうかそうか! マリーが作ったご飯よりすごく美味しいぞ! あ、でもマリーには内緒だからな?」
「うん!」

 俺はウードと楽しい一時を過ごした。
 食後に、俺の名前を文字で書いてほしいとお願いすると、板に俺の名前を書いてくれたが、それはどう見ても日本語だった。
 いくらなんでも偶然で同じ日本語になるのだろうか?
 俺は後で詳しく調べることを決意しつつも、その後も寝るまでウードに遊んでもらったのだった。
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