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第一話 戦後のアンゲリカ1
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新帝国歴四十八年。後の世に、欧州大戦(グレイト・ウォー)として語り継がれる戦争が勃発した。
それ以前より全く二分されていた欧州。私達同盟側と敵国の協商側に別れ、互いに武器を取った。
第三共和国との西部戦線。セルビジャ王国とのセルビジャ戦線。帝政ルテニアとの東部戦線……。戦端の開かれていた場所は数知れず。
とは言え、『魔術』と呼ばれる技術を独占的に有していた二国。私の祖国である二重帝国と欧州最強の第二帝国を相手に、協商陣営は一切歯が立たなかった。
『魔術師』を用いた同盟側の軍隊は、多少の誤算はあれど、快勝を重ねた。そして明くる年、四十九年にはベーリン講和会議が開かれ、私達は勝者の権利を手に入れた。
平和が訪れる。そのときは誰もがそう思った。
──ルビク・レベカ著『少女アンゲリカ』より
◇◇◇
新帝国歴五十四年三月。二重帝国首都ヴィエナ、共同陸軍省証拠局(エビデンスビューロー)に於いて。
コンコン。と高級感漂う木扉を、極丁寧に叩く音が響く。
ノックを行った人物は、冷静沈着の意をその身に体現した女性。
雅致たる狐色の長い美髪は、まるでつづら折り。彼女の微細な動きに震え様相を常に変化し続ける。重そうに垂れた長睫毛の簾、その間隙を淡褐色の瞳が奥より突き刺す。
加えて、中華趣味(シノワズリ)における白磁が如き滑らかな白皙の肌。無理は承知の上、敢えて一言で表すとすれば──絶世の美人だ。
その身に纏う軍服と佩用した軍刀が違和感を湧出するが、彼女の美貌の前では多少の泥をも珠玉と化す。
そして、扉にぶつける声は低く、されど凛としていた。
「失礼します。アンゲリカ・ミッターマイヤー中尉であります」
「……ミッターマイヤー中尉か。入り給え」
「はっ」
許可を得たアンゲリカと名乗る女は、ドアノブに手を掛け開扉。軍属の義務たる敬礼を一度挟み、陽光射し込む執務室へと敷居を跨ぐ。
執務室の奥には書類一つ置かれていない執務机。政治家同様、本当に執務に励んでいるのか甚だ怪しいが、そこに座す男性は如何にもエリート然とした容貌だ。
年の頃は中年。茶の口髭は丁寧に切り揃えられており、短い白髪交じりの茶髪はオールバックに整えられている。不潔感は一切なく、その悠然とした佇まいが知性を窺わせる。
「まずはお疲れ様、と言っておこう」
「勿体無いお言葉です、ウンフェアツァークト中佐」
執務机を前にして、アンゲリカは恭しくお辞儀する。
「いやいや、ミッターマイヤー中尉はもっと誇っても良い。君の働きによって、民族主義者(テロリスト)の幾人かは捕らえられたし、被害なく鎮圧することが出来たのだ」
「弾圧ではなく、鎮圧ですか……」
上官を前にして、オブラートを破り捨てるかの如き正直な物言い。呟きに過ぎないとは言え、アンゲリカの発言は政治家も吃驚の失言問題に成り得る。
もしウンフェアツァークトと呼ばれた上官が、代の古今、洋の東西を問わず口うるさい野党同様に苛立ちを覚え、階級差を存分に活用とすれば、アンゲリカが職を失うことは必定。
故に発言には、細心の注意を払うべきなのだ。
しかし、アンゲリカはある時を境に本心を隠せなくなった。その事実も、原因も、ウンフェアツァークトは十全に知っており、別段気にした様子はない。
いつも通り、机に肘を置き、顎の下で指を組む。
「正直だね、ミッターマイヤー中尉。君のコードネームにコーデリア(実直な末娘)の名が選ばれたのも頷ける」
「実直かどうかは自分で判断できませんが、甘言を弄するのは得意ではありません」
「甘言ね……。ふむ、では先程の発言は上官への誠意ある諫言、ということに換言しておこう」
上手いことを言ったつもりなのか、ウンフェアツァークトは口の端を吊る。
何故か執務室に季節外れの寒波が訪れた気もするが、アンゲリカが寒暖の差を覚えることはなく、その代わりに生じた素朴な疑問を、無表情のまま問うた。
「……今のは俗に言うオヤジギャグの類でしょうか?」
「ぐはっ……!」
ウンフェアツァークトは片肘をずるっと滑らせる。
衝撃で彼の髪束が一筋、はらりと垂れ、表情はどこか苦しそう。
アンゲリカはすぐさま心配そうな眼差しを向けた。
「だ、大丈夫ですか? お身体の具合が悪くなったのでしょうか……?」
「ち、違うよ、安心してくれ。……にしても、ふっ。正直者は別に嫌いではないが、こうもはっきりと物を言うきらいがあるとは……まるで機雷だな、ぷっ」
「……すみません。面白くありません」
「ぬおっ……!」
片肘を机より落とし、がくっと体勢を崩すウンフェアツァークト。
ここまで、苛立ちの片鱗さえ見せないのは、彼の人の好さの表れか。
「君は本当に正直者だね……。私の娘も君くらい素直だと嬉しいのだけれどもね……」
彼は最愛の娘を思い浮かべ、「ただ」と前置きする。
「『正直は最良の策』とセルバンテスは記したが、東洋には『正直者は馬鹿を見る』という言葉もある。同じデウシュ人としては、君の態度は好ましい限りだが、相手によっては身の振り方を見極めたまえよ」
「……善処します」
嘗てこの言葉を発した者に、本当に善処したものがいるであろうか。いや、いない。
……とは言え、ウンフェアツァークトも諸般の事情は分かっている。彼女は、絶望的に嘘が付けないのだ。
そして、その要因が六年前に勃発した欧州大戦、ということも理解している。
故に、口を酸っぱくして注意することも、怒りに任せて声を荒げることも無い。
悩む少女を諭すかのように、ただ優しく言葉を掛けるのみ。
「……まぁ厳しいことを言ったが、君のペースでいいんだよ。心の傷は、身体の傷とは違って、そう簡単に癒えるものでは無いからね。……とだけ、言っておく。そして君の心も射っておく」
「……ふふっ、やっぱり面白くないです」
器用に眉を動かすウンフェアツァークトの冗談に、アンゲリカはしなやかな指で口元を隠し、目を細め、優美に微笑んだ。
丁寧ではありつつも、普段愛嬌の無い彼女の見せるふとした仕草だからこそ、深い情味を感じさせる。ウンフェアツァークトがもし未だ婚姻していない若い心身であれば、雅趣に富む彼女に笑みに、甘い言葉の一つでも掛けたかもしれない。
「ふっ……まぁいい。ところで、君を呼び出した本題なのだが」
「あっ、はい」
本題をきちんと伝達するためか、厳かな雰囲気を纏うウンフェアツァークト。彼の眼光炯炯とした瞳に中てられ、アンゲリカは襟を正す。
「実はね……君の中隊に、魔術師が配属されることとなったのだ」
「自分以外の魔術師、ですか」
本題の内容を新たな任務と勝手に予想していたアンゲリカは、驚きを受けた。それに、
──中隊に二人も配属されるなんて、珍しいな……。
貴重な戦力である魔術師が小規模めな集団に配属される、というのも驚きを生む。
加えて三度目の驚きを運ばれることに、
「あぁ、そうだよ。しかも魔術師とは言ったが、士官学校卒業生という名のエリートの卵だ」
未だ経験は浅く候補生であるが、魔術師兼士官であることに相違ない。
貴重な戦力だ。配属されるとは、思いもよらなかった。
「えっ。本当ですか?」
「勿論本当だとも。一度、軍を抜けていたとは言え、大戦からの叩き上げである君とは一線を画すかもしれないね」
皮肉らしくにやっ、と口角を上げるウンフェアツァークト。
アンゲリカはその意図を読み取れず、ただ実直に質問を返す。
「一線を画す、ですか……。その魔術師のかたは、自分とはそれほどに異なる魔術師なのでしょうか?」
「あぁ、大いに異なるとも。この書類によれば、彼女は士官学校で優秀な成績を修めた……魔元素を用いた魔術、魔術を用いた戦術のプロフェッショナルらしいね」
「力強い限りですね。興味もありますし、是非親交を深めたいです」
アンゲリカは嘘偽りない本心から、優しげな笑みを浮かべる。
ウンフェアツァークトはその様子に、組んだ自身の手の甲を指先で幾度か叩く。
「それが本心だとすれば……君はとんでもなく良い子だね。普通はノン・キャリア組とキャリア組なんて、陸軍と海軍くらい反目し合うものだと思うんだけど……」
「いえ、仲間なのに喧嘩するなんて……悲嘆を生むだけですよ」
「ふっ。私は君のそういうところ、大好きだよ」
ウンフェアツァークトは指を組んだまま、両人差し指を伸ばし、アンゲリカを指差す。
何かしらの反応を求めていたのか、嫌気に表情を歪ませることも、喜色を満面に浮かべることもないアンゲリカに対し、溜息を一つ。
「……では、来週また会おう。あと、魔石を使ったんだから、きちんと検査をしておくように」
「はっ、了解です。それでは失礼させていただきます、ウンフェアツァークト中佐」
敬礼し、アンゲリカは執務室より退出。
而して、本日の業務は全て終了。彼女が『検査』をしに足を運ぶ先は、二重帝国陸軍省魔石工廠──魔術の源となる魔石の研究・生産を一手に担う工廠だ。
それ以前より全く二分されていた欧州。私達同盟側と敵国の協商側に別れ、互いに武器を取った。
第三共和国との西部戦線。セルビジャ王国とのセルビジャ戦線。帝政ルテニアとの東部戦線……。戦端の開かれていた場所は数知れず。
とは言え、『魔術』と呼ばれる技術を独占的に有していた二国。私の祖国である二重帝国と欧州最強の第二帝国を相手に、協商陣営は一切歯が立たなかった。
『魔術師』を用いた同盟側の軍隊は、多少の誤算はあれど、快勝を重ねた。そして明くる年、四十九年にはベーリン講和会議が開かれ、私達は勝者の権利を手に入れた。
平和が訪れる。そのときは誰もがそう思った。
──ルビク・レベカ著『少女アンゲリカ』より
◇◇◇
新帝国歴五十四年三月。二重帝国首都ヴィエナ、共同陸軍省証拠局(エビデンスビューロー)に於いて。
コンコン。と高級感漂う木扉を、極丁寧に叩く音が響く。
ノックを行った人物は、冷静沈着の意をその身に体現した女性。
雅致たる狐色の長い美髪は、まるでつづら折り。彼女の微細な動きに震え様相を常に変化し続ける。重そうに垂れた長睫毛の簾、その間隙を淡褐色の瞳が奥より突き刺す。
加えて、中華趣味(シノワズリ)における白磁が如き滑らかな白皙の肌。無理は承知の上、敢えて一言で表すとすれば──絶世の美人だ。
その身に纏う軍服と佩用した軍刀が違和感を湧出するが、彼女の美貌の前では多少の泥をも珠玉と化す。
そして、扉にぶつける声は低く、されど凛としていた。
「失礼します。アンゲリカ・ミッターマイヤー中尉であります」
「……ミッターマイヤー中尉か。入り給え」
「はっ」
許可を得たアンゲリカと名乗る女は、ドアノブに手を掛け開扉。軍属の義務たる敬礼を一度挟み、陽光射し込む執務室へと敷居を跨ぐ。
執務室の奥には書類一つ置かれていない執務机。政治家同様、本当に執務に励んでいるのか甚だ怪しいが、そこに座す男性は如何にもエリート然とした容貌だ。
年の頃は中年。茶の口髭は丁寧に切り揃えられており、短い白髪交じりの茶髪はオールバックに整えられている。不潔感は一切なく、その悠然とした佇まいが知性を窺わせる。
「まずはお疲れ様、と言っておこう」
「勿体無いお言葉です、ウンフェアツァークト中佐」
執務机を前にして、アンゲリカは恭しくお辞儀する。
「いやいや、ミッターマイヤー中尉はもっと誇っても良い。君の働きによって、民族主義者(テロリスト)の幾人かは捕らえられたし、被害なく鎮圧することが出来たのだ」
「弾圧ではなく、鎮圧ですか……」
上官を前にして、オブラートを破り捨てるかの如き正直な物言い。呟きに過ぎないとは言え、アンゲリカの発言は政治家も吃驚の失言問題に成り得る。
もしウンフェアツァークトと呼ばれた上官が、代の古今、洋の東西を問わず口うるさい野党同様に苛立ちを覚え、階級差を存分に活用とすれば、アンゲリカが職を失うことは必定。
故に発言には、細心の注意を払うべきなのだ。
しかし、アンゲリカはある時を境に本心を隠せなくなった。その事実も、原因も、ウンフェアツァークトは十全に知っており、別段気にした様子はない。
いつも通り、机に肘を置き、顎の下で指を組む。
「正直だね、ミッターマイヤー中尉。君のコードネームにコーデリア(実直な末娘)の名が選ばれたのも頷ける」
「実直かどうかは自分で判断できませんが、甘言を弄するのは得意ではありません」
「甘言ね……。ふむ、では先程の発言は上官への誠意ある諫言、ということに換言しておこう」
上手いことを言ったつもりなのか、ウンフェアツァークトは口の端を吊る。
何故か執務室に季節外れの寒波が訪れた気もするが、アンゲリカが寒暖の差を覚えることはなく、その代わりに生じた素朴な疑問を、無表情のまま問うた。
「……今のは俗に言うオヤジギャグの類でしょうか?」
「ぐはっ……!」
ウンフェアツァークトは片肘をずるっと滑らせる。
衝撃で彼の髪束が一筋、はらりと垂れ、表情はどこか苦しそう。
アンゲリカはすぐさま心配そうな眼差しを向けた。
「だ、大丈夫ですか? お身体の具合が悪くなったのでしょうか……?」
「ち、違うよ、安心してくれ。……にしても、ふっ。正直者は別に嫌いではないが、こうもはっきりと物を言うきらいがあるとは……まるで機雷だな、ぷっ」
「……すみません。面白くありません」
「ぬおっ……!」
片肘を机より落とし、がくっと体勢を崩すウンフェアツァークト。
ここまで、苛立ちの片鱗さえ見せないのは、彼の人の好さの表れか。
「君は本当に正直者だね……。私の娘も君くらい素直だと嬉しいのだけれどもね……」
彼は最愛の娘を思い浮かべ、「ただ」と前置きする。
「『正直は最良の策』とセルバンテスは記したが、東洋には『正直者は馬鹿を見る』という言葉もある。同じデウシュ人としては、君の態度は好ましい限りだが、相手によっては身の振り方を見極めたまえよ」
「……善処します」
嘗てこの言葉を発した者に、本当に善処したものがいるであろうか。いや、いない。
……とは言え、ウンフェアツァークトも諸般の事情は分かっている。彼女は、絶望的に嘘が付けないのだ。
そして、その要因が六年前に勃発した欧州大戦、ということも理解している。
故に、口を酸っぱくして注意することも、怒りに任せて声を荒げることも無い。
悩む少女を諭すかのように、ただ優しく言葉を掛けるのみ。
「……まぁ厳しいことを言ったが、君のペースでいいんだよ。心の傷は、身体の傷とは違って、そう簡単に癒えるものでは無いからね。……とだけ、言っておく。そして君の心も射っておく」
「……ふふっ、やっぱり面白くないです」
器用に眉を動かすウンフェアツァークトの冗談に、アンゲリカはしなやかな指で口元を隠し、目を細め、優美に微笑んだ。
丁寧ではありつつも、普段愛嬌の無い彼女の見せるふとした仕草だからこそ、深い情味を感じさせる。ウンフェアツァークトがもし未だ婚姻していない若い心身であれば、雅趣に富む彼女に笑みに、甘い言葉の一つでも掛けたかもしれない。
「ふっ……まぁいい。ところで、君を呼び出した本題なのだが」
「あっ、はい」
本題をきちんと伝達するためか、厳かな雰囲気を纏うウンフェアツァークト。彼の眼光炯炯とした瞳に中てられ、アンゲリカは襟を正す。
「実はね……君の中隊に、魔術師が配属されることとなったのだ」
「自分以外の魔術師、ですか」
本題の内容を新たな任務と勝手に予想していたアンゲリカは、驚きを受けた。それに、
──中隊に二人も配属されるなんて、珍しいな……。
貴重な戦力である魔術師が小規模めな集団に配属される、というのも驚きを生む。
加えて三度目の驚きを運ばれることに、
「あぁ、そうだよ。しかも魔術師とは言ったが、士官学校卒業生という名のエリートの卵だ」
未だ経験は浅く候補生であるが、魔術師兼士官であることに相違ない。
貴重な戦力だ。配属されるとは、思いもよらなかった。
「えっ。本当ですか?」
「勿論本当だとも。一度、軍を抜けていたとは言え、大戦からの叩き上げである君とは一線を画すかもしれないね」
皮肉らしくにやっ、と口角を上げるウンフェアツァークト。
アンゲリカはその意図を読み取れず、ただ実直に質問を返す。
「一線を画す、ですか……。その魔術師のかたは、自分とはそれほどに異なる魔術師なのでしょうか?」
「あぁ、大いに異なるとも。この書類によれば、彼女は士官学校で優秀な成績を修めた……魔元素を用いた魔術、魔術を用いた戦術のプロフェッショナルらしいね」
「力強い限りですね。興味もありますし、是非親交を深めたいです」
アンゲリカは嘘偽りない本心から、優しげな笑みを浮かべる。
ウンフェアツァークトはその様子に、組んだ自身の手の甲を指先で幾度か叩く。
「それが本心だとすれば……君はとんでもなく良い子だね。普通はノン・キャリア組とキャリア組なんて、陸軍と海軍くらい反目し合うものだと思うんだけど……」
「いえ、仲間なのに喧嘩するなんて……悲嘆を生むだけですよ」
「ふっ。私は君のそういうところ、大好きだよ」
ウンフェアツァークトは指を組んだまま、両人差し指を伸ばし、アンゲリカを指差す。
何かしらの反応を求めていたのか、嫌気に表情を歪ませることも、喜色を満面に浮かべることもないアンゲリカに対し、溜息を一つ。
「……では、来週また会おう。あと、魔石を使ったんだから、きちんと検査をしておくように」
「はっ、了解です。それでは失礼させていただきます、ウンフェアツァークト中佐」
敬礼し、アンゲリカは執務室より退出。
而して、本日の業務は全て終了。彼女が『検査』をしに足を運ぶ先は、二重帝国陸軍省魔石工廠──魔術の源となる魔石の研究・生産を一手に担う工廠だ。
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