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三章

かくれんぼ

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 次の日、また集められたボク達は既に疲れていた。
「じゃあ、今日はかくれんぼをしてもらうぞー」
 ナシカミは相変わらず楽しそうにしている。……本当にイライラするが、それはともかく。
「今回は、そうだなぁ……多いし、四人でどうだ?」
 彼の言葉に、ボク達は話し合う。
「かくれんぼって……普通に隠れたらいいんでしょうか……?」
 ハナさんが不安げに聞いてくる。昨日のあの怪物のことを考えたら、そんな簡単なものではない気がする。
「……フウとキナは、参加した方がいいと思う」
 皆で考え込んでいる中、スズエさんがそう言ってきた。
「で、でも死ぬかもしれないんだぞ?」
「だからこそです」
 マミさんが反対しようとすると、それを遮るようにスズエさんは答えた。
「……多分、最終的に全員が参加しないといけないと思います。明日以降、かくれんぼ以上に簡単なゲームが出てくるとも限りません。それならここで参加させた方がいいと思います」
「それは、そうかもしれないが……」
「それに、参加人数も多い。二人がここで参加しても、あと二人参加できるんです。つまり、守る人を一人ずつつけることが出来ると言うことでもあります。何かおかしなことを言っているのなら、そう言ってほしいですが」
 スズエさんの話を、誰も否定出来なかった。
 全員で生き残ることが目的であれば、確かにここで二人を参加させるべきだ。彼女の言う通り、かくれんぼ以上に簡単なミニゲームが出るとも思えない。
「……そうだな。でも、あと二人は誰が参加するんだ?」
 一応は納得したらしいミヒロさんに聞かれ、スズエさんは「ハナさんとカナクニ先生がいいんじゃないですか?」と即答した。
「ちなみに、なんでハナさんとカナクニ先生なんですか?」
 エレンさんに質問され、彼女は答える。
「ケイさんとゴウさんは昨日参加したというのもありますが、そもそも身体が大きいです。それはミヒロさんも同じことが言えます。マミさんは、もしダンス関係が出てきた時に備えておきたいです。エレンさんも、今後のミニゲームがどうなるか分からないので体力がありそうですし、ユウヤさんも同じ理由で残しておきたいですね」
「それなら、スズエさんとシルヤ君が参加すればいいのでは?」
「私は体力に自信がありますし、シルヤは……私のサポート役として残っていてほしいです。ハナさんとカナクニ先生ならお互い知り合いのようですし、二人を守ってくれると信じています。異論があるなら言ってほしいです」
 彼女なりに考えている、ということか……。
 ボクは異論ないけど、ほかの人達はどうだろう?
「私は大丈夫ですよ」
「私もです。私、体力は自信なくて……」
 名前を出された二人は反論しなかった。……ほかの人達も異論はないらしい。
「それなら、お願いします。……フウ、おいで」
 それを見たスズエさんがフウ君を呼ぶ。
「どうしたニャ?姉ちゃん」
 フウ君が近付くと、彼女はかがみこんでお守りを渡した。
「これ、渡しておくね」
 その時は、なんでそれを渡したのか分からなかった。
「決まったか?それじゃあ始めるぞ!制限時間は十五分だ」
 ナシカミの言葉を合図に、かくれんぼが始まった。どうやら暗闇の中するようで、ボク達はカメラ越しに様子を見ていた。
 ハナさんがキナちゃんを、カナクニ先生がフウ君を守るように隠れる。鬼役はやはり怪物だった。
 四人が少しずつ動きながら隠れて、あと一分を切った時。フウ君が何かを踏んでしまったのか、大きな音が響いた。それに気付いた怪物がフウ君とカナクニ先生のもとまで走ってきてしまう。
 誰もがヤバイーーと思っていたのに。
 なぜか、怪物は二人を見つけることが出来なかった。
「おー、今回も生き残ったなー」
 タイマーが鳴り、ナシカミが笑う。そして急に真顔になったかと思ったら、
「スズエ、お前何をした?」
 スズエさんを睨んでそう聞いた。
「別に、何か出来るわけないだろ。ただの高校生だぞ?」
 しかし彼女はそれに臆することなく淡々と答える。ナシカミは納得していないようだが、
「ナシカミ、ルールは守らないといけないでしょう?彼らは成功したんです」
 シナムキに言われ、渋々「じゃあ、戻れ」と吐き捨てた。

 少し歩いていると、目の前から黒い髪の男が歩いてきた。
「……おや。忌々しい狐じゃないですか」
 出会い頭、そう忌々しく言う男に「うるさいですね」と言い返す。
「フン、せいぜい足掻けばいい」
 あちらも関わりたくないのだろう、そのまま去っていく。ボクもそのまま、部屋に戻った。
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