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二章
犠牲者ビデオ その一
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一枚目は、ロシアンルーレットをさせられているこげ茶色の髪の女性だった。
「い、いやだよぉ……選べないよぉ……」
彼女は泣きながら、二丁の拳銃を持っている。
『どちらかを選んでください』
しかしそんな彼女にも容赦なく、ただ冷たく放送が流れる。それでも震えている彼女に痺れを切らしたのか、
「く、苦しい……!え、えらぶ、からぁ……!」
首を絞められているのか、苦しそうにしながら女性は片方の引き金に力を入れる。
――そのまま、彼女の頭に銃弾が撃ち抜かれた。
「…………」
スズエさんは複雑そうな表情を浮かべながら、次のDVDを見る。
今度は、フードを被ったオレンジ髪の少女が足に重りをつけられていた。
「な、何!?なんなの!?」
その子は涙を浮かべながらパニックになっていた。どう解くのか、こちらからも分からない。でもスズエさんはジッと見て、
「……多分、目の前にボタンがあるんだと思います」
そう呟いた。なんでそんなことが分かるんだろう?なんて思いながら続きを見る。
『……時間切れです。処刑を開始します』
そんな無情な機械の声が聞こえ、少女の腹が貫かれる。
「あ、しにたく……ない……おかあ、さ……」
少女は涙を流しながら、事切れた。
ボクとスズエさんの目が合う。これ以上見るか、と言いたげだ。ボクが小さく頷くと、また違うDVDを読み込む。
今度は青髪の筋肉質の男性が壁に挟まれていた。
「クソッ!ふざけんなよ!」
目の前にボタンがあるのに、遠くにあるのか届いていない。
「もうすぐで届きそうなんだ……!止めてくれよ……!」
そう頼むけど……聞き入れてくれるわけもなくそのまま潰された。
チラッとスズエさんの方を見ると、顔色が悪かった。女子高校生がこれを見るなんてかなりの負担だっただろう。
「少し休む?」
ボクが尋ねると、「……すみません、そうします」とスズエさんは椅子に座った。その隣にボクも座る。
沈黙が続く。それを破ったのはスズエさんの方だった。
「……ユウヤさんはなんで、私の味方をしてくれるんですか?」
突然の質問にボクが目を丸くしていると、
「……なんて言うんだろう……ユウヤさんは、無条件に私を信頼している気がして……」
どうやら気付いていたらしい。ボクは小さく笑って、
「……そう、だね。理由があるけど……詳しいことはあとで話すね」
それだけ言った。彼女は「そう、ですか……」と無理やり聞こうとはしてこなかった。
きっと、彼女は気付いてる。ボクの正体を。
「……そろそろ、あとのDVDを見ましょうか」
「そうだね」
ある程度落ち着いたらしく、スズエさんは立ち上がってDVDを読み込んだ。
「い、いやだよぉ……選べないよぉ……」
彼女は泣きながら、二丁の拳銃を持っている。
『どちらかを選んでください』
しかしそんな彼女にも容赦なく、ただ冷たく放送が流れる。それでも震えている彼女に痺れを切らしたのか、
「く、苦しい……!え、えらぶ、からぁ……!」
首を絞められているのか、苦しそうにしながら女性は片方の引き金に力を入れる。
――そのまま、彼女の頭に銃弾が撃ち抜かれた。
「…………」
スズエさんは複雑そうな表情を浮かべながら、次のDVDを見る。
今度は、フードを被ったオレンジ髪の少女が足に重りをつけられていた。
「な、何!?なんなの!?」
その子は涙を浮かべながらパニックになっていた。どう解くのか、こちらからも分からない。でもスズエさんはジッと見て、
「……多分、目の前にボタンがあるんだと思います」
そう呟いた。なんでそんなことが分かるんだろう?なんて思いながら続きを見る。
『……時間切れです。処刑を開始します』
そんな無情な機械の声が聞こえ、少女の腹が貫かれる。
「あ、しにたく……ない……おかあ、さ……」
少女は涙を流しながら、事切れた。
ボクとスズエさんの目が合う。これ以上見るか、と言いたげだ。ボクが小さく頷くと、また違うDVDを読み込む。
今度は青髪の筋肉質の男性が壁に挟まれていた。
「クソッ!ふざけんなよ!」
目の前にボタンがあるのに、遠くにあるのか届いていない。
「もうすぐで届きそうなんだ……!止めてくれよ……!」
そう頼むけど……聞き入れてくれるわけもなくそのまま潰された。
チラッとスズエさんの方を見ると、顔色が悪かった。女子高校生がこれを見るなんてかなりの負担だっただろう。
「少し休む?」
ボクが尋ねると、「……すみません、そうします」とスズエさんは椅子に座った。その隣にボクも座る。
沈黙が続く。それを破ったのはスズエさんの方だった。
「……ユウヤさんはなんで、私の味方をしてくれるんですか?」
突然の質問にボクが目を丸くしていると、
「……なんて言うんだろう……ユウヤさんは、無条件に私を信頼している気がして……」
どうやら気付いていたらしい。ボクは小さく笑って、
「……そう、だね。理由があるけど……詳しいことはあとで話すね」
それだけ言った。彼女は「そう、ですか……」と無理やり聞こうとはしてこなかった。
きっと、彼女は気付いてる。ボクの正体を。
「……そろそろ、あとのDVDを見ましょうか」
「そうだね」
ある程度落ち着いたらしく、スズエさんは立ち上がってDVDを読み込んだ。
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