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一章
自己紹介
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しばらく彼を見ていたスズエさんはため息をつき、
「……仕方ない。ここでいがみ合っていても話は進みませんもんね」
そう呟いた。
「私は森岡 涼恵と言います。見て分かる通り、木野山高校に通っている二年生です」
「スズちゃん、ね。俺は野白 啓。さっきも言った通り、元おまわりさんだよー。今は塾講師をしてるけどねー」
警戒していることを隠さない少女と思いっきり軽い言動をしている男。まるで正反対の二人だ。
それを皮切りに、それぞれが自己紹介を始めていった。
「私は七守 恵漣と言います。都内でシェフをしています」
「私は神邦 真次です。こう見えて、高校教師です」
「ワシは梶谷 ゴウ。野球選手じゃ」
「俺は松浦 実弘だ」
「あたしは松浦 麻実。歌手をしているんだ」
「わ、私は歌川 羽菜です。美術大学に通っています」
「ぼくは珠理 風ニャ!小学六年生ニャ」
シルヤ君と膝を抱えている紫色の髪の少女以外が名乗ると、スズエさんがシルヤ君の方を見た。
「……お前は名乗らないのか?」
「…………」
彼女に言われても、シルヤ君は口を開こうとはしなかった。意外と警戒心が強いらしい。
それを見ていたスズエさんは困ったように笑うが、彼の意思に任せることにしたようだ。
スズエさんが紫色の髪の少女に声をかけた。
「大丈夫?」
彼女が触ろうとすると、ビクッと少女の肩が跳ねる。
「あ、ごめんね。怖がらせてしまったね」
「い、いえ……」
少女は震えていた。それを見たスズエさんが優しく手を重ねた。
「大丈夫、ここには君に危害を加える人はいないから」
そんな、優しい言葉に少女はようやく顔をあげる。
少女の顔は青く、恐怖に包まれていた。想像以上のことがあったのだろうとそれを見ただけで分かる。これ以上は聞かない方がいいと判断したらしいスズエさんはボクに声をかけてきた。
「あの、あなたは……?」
「ボク?」
「はい、その……失礼ですが名前は……」
それを聞いて、そう言えば名乗っていなかったことを思い出す。
「あぁ、ボクは祈花 佑夜。その……こう見えて、自営業を営んでいるんだ」
ボクの言葉に彼女は「自営業?」と目を丸くした。
「うん。パソコン関係の仕事をね」
「そうなんですね……ここに連れてこられた心当たりはありますか?」
彼女の質問にボクは首を横に振る。
「申し訳ないけど、さすがに分からないかな……」
「そうですよね……」
なんでだろ……なんて考えながらスズエさんは髪の毛をいじり始める。
「……どちらにしろ、探索が先ですかね。情報があまりにも少なすぎますし」
そして、そう呟いた。
「そうだな、その方がいいと思う」
ミヒロさんもそれに同意した。
「……仕方ない。ここでいがみ合っていても話は進みませんもんね」
そう呟いた。
「私は森岡 涼恵と言います。見て分かる通り、木野山高校に通っている二年生です」
「スズちゃん、ね。俺は野白 啓。さっきも言った通り、元おまわりさんだよー。今は塾講師をしてるけどねー」
警戒していることを隠さない少女と思いっきり軽い言動をしている男。まるで正反対の二人だ。
それを皮切りに、それぞれが自己紹介を始めていった。
「私は七守 恵漣と言います。都内でシェフをしています」
「私は神邦 真次です。こう見えて、高校教師です」
「ワシは梶谷 ゴウ。野球選手じゃ」
「俺は松浦 実弘だ」
「あたしは松浦 麻実。歌手をしているんだ」
「わ、私は歌川 羽菜です。美術大学に通っています」
「ぼくは珠理 風ニャ!小学六年生ニャ」
シルヤ君と膝を抱えている紫色の髪の少女以外が名乗ると、スズエさんがシルヤ君の方を見た。
「……お前は名乗らないのか?」
「…………」
彼女に言われても、シルヤ君は口を開こうとはしなかった。意外と警戒心が強いらしい。
それを見ていたスズエさんは困ったように笑うが、彼の意思に任せることにしたようだ。
スズエさんが紫色の髪の少女に声をかけた。
「大丈夫?」
彼女が触ろうとすると、ビクッと少女の肩が跳ねる。
「あ、ごめんね。怖がらせてしまったね」
「い、いえ……」
少女は震えていた。それを見たスズエさんが優しく手を重ねた。
「大丈夫、ここには君に危害を加える人はいないから」
そんな、優しい言葉に少女はようやく顔をあげる。
少女の顔は青く、恐怖に包まれていた。想像以上のことがあったのだろうとそれを見ただけで分かる。これ以上は聞かない方がいいと判断したらしいスズエさんはボクに声をかけてきた。
「あの、あなたは……?」
「ボク?」
「はい、その……失礼ですが名前は……」
それを聞いて、そう言えば名乗っていなかったことを思い出す。
「あぁ、ボクは祈花 佑夜。その……こう見えて、自営業を営んでいるんだ」
ボクの言葉に彼女は「自営業?」と目を丸くした。
「うん。パソコン関係の仕事をね」
「そうなんですね……ここに連れてこられた心当たりはありますか?」
彼女の質問にボクは首を横に振る。
「申し訳ないけど、さすがに分からないかな……」
「そうですよね……」
なんでだろ……なんて考えながらスズエさんは髪の毛をいじり始める。
「……どちらにしろ、探索が先ですかね。情報があまりにも少なすぎますし」
そして、そう呟いた。
「そうだな、その方がいいと思う」
ミヒロさんもそれに同意した。
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