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第六話
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ああ……あのお姉さん……美人だったのになぁ。残念だぜまったく……。
美人は怖いっていうけど、まったくもってその通りだった。
良い顔して近づいてきて、親切にしてくれたと思ってたのに……。
これで俺ももうお終いかぁ………………………………って、あれ?
俺はそこでいつまでも終わらない思考に疑問を持つ。
というより首を斬られたっていうのに、何故まだ意識を保っていられるのか?
痛みだってすでに無いから、てっきり死んだと思っていた。てか即死のはずだった。
しかしいまだに俺は瞼を開ければ視界は良好だし、その気になったら喋ることもできそうだ。
…………あ。
そこでようやく思い出す。俺の〝能力〟を。
見れば、いつの間にか俺の身体が復活していた。溝にすっぽりハマって動きにくいが、確かに身体が存在している感覚がある。
手も、足も、目も、何もかもが正常に動く。
ていうか俺素っ裸じゃん!? けど死んで……ない? いや……これは……!?
そこで俺は視界にあった文字に変化が生じていることに気づく。
【残機:9億9999万9999 レコードポイント:0】
一機……減っていた。
つまり俺は一機失ったということ。これは死んでしまったことを意味する。
そして……復活したのだ。
うわぁ、マジで死んで復活できる能力だったし。
実は半ば疑っていたのである。だってあまりにも現実感のない状況だったし、ユニークスキルだなんて言われてもピンとこなかった。
だからできる限り死なないようにしようと思ったのである。
しかしこうして実際に経験してみて、脳内に流れ込んできた情報が嘘ではないことが証明された。
…………だったらマジで〝アレ〟もできるのか?
俺は息を殺しながら、溝から顔をひょっこりと出す。
どうやら俺に気づかずに、キルマンティスたちは餌を食べて満足したのか、思い思いに動き回っている。
正直……〝アレ〟を使うのも怖いけど、使わねえとどうにもなんねえしな。
俺は意を決して、溝から這い出た。
すると当然俺の存在に気づいたキルマンティスたちが目を光らせて駆け寄ってくる。
「……落ち着け。証明はされたんだ。できる……できる。信じろ……俺!」
俺は胸の前に両手を近づけ、互いの掌を少し距離を開けて向かい合わせる。
その間にも、大量のキルマンティスが、物凄い勢いで突っ込んでくる。
足が竦む。今すぐ逃げ出したい。蹲りたい。
だがここで試さずにいつ試すというのか。
「……来い……来い……来い来い来い来い来いっ! ――俺の命よ来やがれっ!」
すると向かい合わせた掌の中で、マッチに火を点けたように〝ナニカ〟が灯り、それが一気に膨らんで大きくなる。
桜色に輝く霊魂のような形をしたソレを、俺は両手でそっと包み込んだまま、向かってくる昆虫どもに向けた。
「いっけぇぇぇぇぇぇっ!」
魂の底から叫びながら、両手を一気に開いた直後、両手から凄まじい勢いで桜色の閃光がレーザーのように放たれる。
後ろに壁があって良かった。レーザーの衝撃で吹き飛ばされそうだったが壁が俺を支えてくれている。
そして桜色の閃光は、その先にいたキルマンティスを飲み込む。
僅か数秒ほどの出来事だったが、手の中から桜色の霊魂が消失したあと、俺は目の前を見てギョッとした。
そこにいたはずの大量のキルマンティスが、跡形もなく消え去り、またその先にある壁には、先が見えないほどの穴が開いていたのである。
「す、すっげぇ……!?」
それを俺がやったなんて誰が信じてくれるだろうか。
すると大量の仲間たちが一瞬にして殺された事実を見て恐怖を感じたのか、残った数体のキルマンティスは、慌ててその場から逃げ去って行った。
俺はそのままペタリと座り込み、両手を広げてジッと見つめる。
「……今のが……《命光波《めいこうは》》か」
知識にあった《残機10億》が持つ技の一つである。
命のエネルギーを圧縮し放つ。その威力は見ての通り。
「……あ、でも命を込め過ぎちまったな」
【残機:9億9999万9001 レコードポイント:2万3250】
あれ? でもおかしいぞ。
俺は〝1000機〟分の命のエネルギーを圧縮するイメージをしたのだ。大量のキルマンティスには、俺が千人分くらい集まらないと倒せないと思ったからだ。
しかし残機は何故か〝2機〟多い。
「ん? そうか、《レコードポイント》が増えたからか」
この《レコードポイント》というのは、情報を信じるなら〝1万〟ごとに〝一機〟増えるシステムのようだ。まさにアクションゲームみたいである。
つまり2万ポイントを超えたから2機増えたってことだ。
「てか俺の命って1万ポイントなんだな。ちょっとショックなんですけど」
いや、俺よりも圧倒的に強いキルマンティスの数十匹分と考えると妥当なのか? だとすると人間の命って重いな。
「けどとにかく今はここを出よう。マジで怖えし」
俺は落とされた崖へと向かい、手掛かりを見つけてゆっくりと登っていく。
……あれ? にしても身体が軽い?
崖を登って気が付いたが、意外にスイスイと登れている自分の力に驚いた。
何事もなく上に辿り着いてから、気になったのでステータスを確認してギョッとする。
地村十利 ランク:H NEXT:100/100
体力:30
魔力:0
攻撃:24
防御:20
魔攻:0
魔防:20
敏捷:24
運:1
美人は怖いっていうけど、まったくもってその通りだった。
良い顔して近づいてきて、親切にしてくれたと思ってたのに……。
これで俺ももうお終いかぁ………………………………って、あれ?
俺はそこでいつまでも終わらない思考に疑問を持つ。
というより首を斬られたっていうのに、何故まだ意識を保っていられるのか?
痛みだってすでに無いから、てっきり死んだと思っていた。てか即死のはずだった。
しかしいまだに俺は瞼を開ければ視界は良好だし、その気になったら喋ることもできそうだ。
…………あ。
そこでようやく思い出す。俺の〝能力〟を。
見れば、いつの間にか俺の身体が復活していた。溝にすっぽりハマって動きにくいが、確かに身体が存在している感覚がある。
手も、足も、目も、何もかもが正常に動く。
ていうか俺素っ裸じゃん!? けど死んで……ない? いや……これは……!?
そこで俺は視界にあった文字に変化が生じていることに気づく。
【残機:9億9999万9999 レコードポイント:0】
一機……減っていた。
つまり俺は一機失ったということ。これは死んでしまったことを意味する。
そして……復活したのだ。
うわぁ、マジで死んで復活できる能力だったし。
実は半ば疑っていたのである。だってあまりにも現実感のない状況だったし、ユニークスキルだなんて言われてもピンとこなかった。
だからできる限り死なないようにしようと思ったのである。
しかしこうして実際に経験してみて、脳内に流れ込んできた情報が嘘ではないことが証明された。
…………だったらマジで〝アレ〟もできるのか?
俺は息を殺しながら、溝から顔をひょっこりと出す。
どうやら俺に気づかずに、キルマンティスたちは餌を食べて満足したのか、思い思いに動き回っている。
正直……〝アレ〟を使うのも怖いけど、使わねえとどうにもなんねえしな。
俺は意を決して、溝から這い出た。
すると当然俺の存在に気づいたキルマンティスたちが目を光らせて駆け寄ってくる。
「……落ち着け。証明はされたんだ。できる……できる。信じろ……俺!」
俺は胸の前に両手を近づけ、互いの掌を少し距離を開けて向かい合わせる。
その間にも、大量のキルマンティスが、物凄い勢いで突っ込んでくる。
足が竦む。今すぐ逃げ出したい。蹲りたい。
だがここで試さずにいつ試すというのか。
「……来い……来い……来い来い来い来い来いっ! ――俺の命よ来やがれっ!」
すると向かい合わせた掌の中で、マッチに火を点けたように〝ナニカ〟が灯り、それが一気に膨らんで大きくなる。
桜色に輝く霊魂のような形をしたソレを、俺は両手でそっと包み込んだまま、向かってくる昆虫どもに向けた。
「いっけぇぇぇぇぇぇっ!」
魂の底から叫びながら、両手を一気に開いた直後、両手から凄まじい勢いで桜色の閃光がレーザーのように放たれる。
後ろに壁があって良かった。レーザーの衝撃で吹き飛ばされそうだったが壁が俺を支えてくれている。
そして桜色の閃光は、その先にいたキルマンティスを飲み込む。
僅か数秒ほどの出来事だったが、手の中から桜色の霊魂が消失したあと、俺は目の前を見てギョッとした。
そこにいたはずの大量のキルマンティスが、跡形もなく消え去り、またその先にある壁には、先が見えないほどの穴が開いていたのである。
「す、すっげぇ……!?」
それを俺がやったなんて誰が信じてくれるだろうか。
すると大量の仲間たちが一瞬にして殺された事実を見て恐怖を感じたのか、残った数体のキルマンティスは、慌ててその場から逃げ去って行った。
俺はそのままペタリと座り込み、両手を広げてジッと見つめる。
「……今のが……《命光波《めいこうは》》か」
知識にあった《残機10億》が持つ技の一つである。
命のエネルギーを圧縮し放つ。その威力は見ての通り。
「……あ、でも命を込め過ぎちまったな」
【残機:9億9999万9001 レコードポイント:2万3250】
あれ? でもおかしいぞ。
俺は〝1000機〟分の命のエネルギーを圧縮するイメージをしたのだ。大量のキルマンティスには、俺が千人分くらい集まらないと倒せないと思ったからだ。
しかし残機は何故か〝2機〟多い。
「ん? そうか、《レコードポイント》が増えたからか」
この《レコードポイント》というのは、情報を信じるなら〝1万〟ごとに〝一機〟増えるシステムのようだ。まさにアクションゲームみたいである。
つまり2万ポイントを超えたから2機増えたってことだ。
「てか俺の命って1万ポイントなんだな。ちょっとショックなんですけど」
いや、俺よりも圧倒的に強いキルマンティスの数十匹分と考えると妥当なのか? だとすると人間の命って重いな。
「けどとにかく今はここを出よう。マジで怖えし」
俺は落とされた崖へと向かい、手掛かりを見つけてゆっくりと登っていく。
……あれ? にしても身体が軽い?
崖を登って気が付いたが、意外にスイスイと登れている自分の力に驚いた。
何事もなく上に辿り着いてから、気になったのでステータスを確認してギョッとする。
地村十利 ランク:H NEXT:100/100
体力:30
魔力:0
攻撃:24
防御:20
魔攻:0
魔防:20
敏捷:24
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