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第三話
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これは俺が自分の街でのんびりとスローライフを送っていた時だ。
ある日、突如として家に黒服の連中が乗り込んできたと思ったら、いきなり拉致されて、気づけばセレブリティな屋敷の中、亀甲縛りで天井から吊るされていた。
何を言っているか分からないと思うだろうが、マジで言葉の通りなのだから仕方ない。
そして俺の前に現れたのは――一人の少女。
俺とそう変わらない歳のくせして、この屋敷の主人と名乗るその女から、とんでもないことを聞かされたのである。
『あなたは借金のカタとして売られたのよ。今日からあなたは私の奴隷』
当然縄で縛られながらも俺は抗弁したよ。訳が分からない、何の冗談だって。
しかし借用書と書かれた紙には、親父のサインと一言が添えられていた。
『ごっめーん! ギャンブルでやっちった! お前の人生をチップにして負けたんで、あとヨロシクーポン券!』
殺意を覚えた。前々からクズな親父だったが、とうとう実の息子を売るような手に出やがった。
てか何だこのヨロシクーポン券ってのは。ふざけるのも大概にしろや!
そうして俺は、その日からご主人様となる少女――富士鷹ひなめに強制的に尽くすことになったのである。
俺は将来、悠々自適なスローライフをして過ごしたいのだ。美人で可愛い嫁さんをもらて、毎日イチャイチャしながら幸せな生活を夢見ていたのに……。
当然俺は夢を捨て切ることなんてできなかった。
なので俺はひなめに問い質した。一体幾らの借金があるのか、と。
こうなったら自分で自分を救う他ない。だから金額を尋ねたのだが――。
『10億よ』
ああ、正直耳を疑ったさ。さすがの親父でも、そんな金額は有り得ないって。
けど借用書にも、ちゃんと十億の肩代わりと書かれていた。
そこで堪らず、一体親父がどんなギャンブルをして負けたのかを聞いたのだ。
何でも親父は、レートを爆上げしたギャンブルに手を染めていたらしい。何度も勝負に負け、借金が膨らみ続ける。
こうなったらと、最上級の掛け金である勝負をした。勝てばその万倍以上もの金が入ってくると聞いて調子に乗ったのだ。
そして勝負に打って出て……負けた。
合計で――マイナス10億。
当然親父に支払える能力なんてない。あるわけがない。そもそもまともに働いてないアイツが払えるわけがないのだ。そこで親父は、俺の人生を借金の肩にしたというわけである。
しかもよく見れば何故か俺の母印まである。聞けば親父が俺が寝ている時に、こっそりと借用書に押させたのだという。
……マジで最低過ぎる。
とんだクズ親もいたもんだ。もっともヤツのクズっぷりは今に始まったことじゃないが。
ていうかこれ俺の意思がないし無効じゃね? 親父……犯罪者じゃね? ああいや、もし親父が犯罪者として捕まったら、それはそれで困ることがある。
ちくしょう……どう足掻いても親父のケツを俺が持たねえといけねえのかよぉ。
無論、俺はこのまま泣き寝入りするつもりなどなかった。
親父が俺を救ってくれることはない。有り得ない。絶対に無い。今頃、美人の姉ちゃんとよろしくやってる姿が目に浮かぶし。
だから俺は、自分で自分を救うしか方法はなかった。
ただ10億なんて、とてもじゃないが普通の仕事についていては返せるはずもない。
一生奴隷なんてごめんだ。だから俺は提案した。
冒険者として稼ぎまくり、そこから借金を返済していく、と。
冒険者になれば一攫千金も夢ではない。ただそんな夢を叶えるためには、様々なハードルをクリアしていかなければならないが。
その案を出した時、ひなめは一瞬驚いた様子だったが、すぐに面白そうな笑みを浮かべると、快く受け入れてくれた。いや、何か含みのあるような顔だったが気のせいだったらいいな……。
ただし一時の自由は得たものの、月末に設定された支払いが滞れば、その時点で冒険者終了。奴隷として一生を尽くすことが条件となった。もし逃亡を図れば、地獄の底まで追って必ず後悔させるという怖い言葉を頂いた。
それでもチャンスなのは確かなので、俺はその条件を受け入れることにしたのである。どうせ何もしなくても奴隷なのだから、最後まで足掻こうと思ったのだ。
だが〝洗礼の儀〟を受け、自分には冒険者としての道を行くのが厳しいことを突きつけられたのである。
まさにお先真っ暗状態。そんな時に、俺は何気なく最後の悪足掻きとしてステータスを確認してみたのだ。
するとそこには驚くべきモノが存在した。
地村十利 ランク:H NEXT:0/100
体力:15
魔力:0
攻撃:12
防御:10
魔攻:0
魔防:10
敏捷:12
運:1
ユニークスキル:残機10億
ある日、突如として家に黒服の連中が乗り込んできたと思ったら、いきなり拉致されて、気づけばセレブリティな屋敷の中、亀甲縛りで天井から吊るされていた。
何を言っているか分からないと思うだろうが、マジで言葉の通りなのだから仕方ない。
そして俺の前に現れたのは――一人の少女。
俺とそう変わらない歳のくせして、この屋敷の主人と名乗るその女から、とんでもないことを聞かされたのである。
『あなたは借金のカタとして売られたのよ。今日からあなたは私の奴隷』
当然縄で縛られながらも俺は抗弁したよ。訳が分からない、何の冗談だって。
しかし借用書と書かれた紙には、親父のサインと一言が添えられていた。
『ごっめーん! ギャンブルでやっちった! お前の人生をチップにして負けたんで、あとヨロシクーポン券!』
殺意を覚えた。前々からクズな親父だったが、とうとう実の息子を売るような手に出やがった。
てか何だこのヨロシクーポン券ってのは。ふざけるのも大概にしろや!
そうして俺は、その日からご主人様となる少女――富士鷹ひなめに強制的に尽くすことになったのである。
俺は将来、悠々自適なスローライフをして過ごしたいのだ。美人で可愛い嫁さんをもらて、毎日イチャイチャしながら幸せな生活を夢見ていたのに……。
当然俺は夢を捨て切ることなんてできなかった。
なので俺はひなめに問い質した。一体幾らの借金があるのか、と。
こうなったら自分で自分を救う他ない。だから金額を尋ねたのだが――。
『10億よ』
ああ、正直耳を疑ったさ。さすがの親父でも、そんな金額は有り得ないって。
けど借用書にも、ちゃんと十億の肩代わりと書かれていた。
そこで堪らず、一体親父がどんなギャンブルをして負けたのかを聞いたのだ。
何でも親父は、レートを爆上げしたギャンブルに手を染めていたらしい。何度も勝負に負け、借金が膨らみ続ける。
こうなったらと、最上級の掛け金である勝負をした。勝てばその万倍以上もの金が入ってくると聞いて調子に乗ったのだ。
そして勝負に打って出て……負けた。
合計で――マイナス10億。
当然親父に支払える能力なんてない。あるわけがない。そもそもまともに働いてないアイツが払えるわけがないのだ。そこで親父は、俺の人生を借金の肩にしたというわけである。
しかもよく見れば何故か俺の母印まである。聞けば親父が俺が寝ている時に、こっそりと借用書に押させたのだという。
……マジで最低過ぎる。
とんだクズ親もいたもんだ。もっともヤツのクズっぷりは今に始まったことじゃないが。
ていうかこれ俺の意思がないし無効じゃね? 親父……犯罪者じゃね? ああいや、もし親父が犯罪者として捕まったら、それはそれで困ることがある。
ちくしょう……どう足掻いても親父のケツを俺が持たねえといけねえのかよぉ。
無論、俺はこのまま泣き寝入りするつもりなどなかった。
親父が俺を救ってくれることはない。有り得ない。絶対に無い。今頃、美人の姉ちゃんとよろしくやってる姿が目に浮かぶし。
だから俺は、自分で自分を救うしか方法はなかった。
ただ10億なんて、とてもじゃないが普通の仕事についていては返せるはずもない。
一生奴隷なんてごめんだ。だから俺は提案した。
冒険者として稼ぎまくり、そこから借金を返済していく、と。
冒険者になれば一攫千金も夢ではない。ただそんな夢を叶えるためには、様々なハードルをクリアしていかなければならないが。
その案を出した時、ひなめは一瞬驚いた様子だったが、すぐに面白そうな笑みを浮かべると、快く受け入れてくれた。いや、何か含みのあるような顔だったが気のせいだったらいいな……。
ただし一時の自由は得たものの、月末に設定された支払いが滞れば、その時点で冒険者終了。奴隷として一生を尽くすことが条件となった。もし逃亡を図れば、地獄の底まで追って必ず後悔させるという怖い言葉を頂いた。
それでもチャンスなのは確かなので、俺はその条件を受け入れることにしたのである。どうせ何もしなくても奴隷なのだから、最後まで足掻こうと思ったのだ。
だが〝洗礼の儀〟を受け、自分には冒険者としての道を行くのが厳しいことを突きつけられたのである。
まさにお先真っ暗状態。そんな時に、俺は何気なく最後の悪足掻きとしてステータスを確認してみたのだ。
するとそこには驚くべきモノが存在した。
地村十利 ランク:H NEXT:0/100
体力:15
魔力:0
攻撃:12
防御:10
魔攻:0
魔防:10
敏捷:12
運:1
ユニークスキル:残機10億
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