216 / 220
215
しおりを挟む
その気配は濃厚であり、まさに活発化しようとしているように感じた。放置しておけばダンジョンブレイクが本格的に引き起こされ、向こう側から妖魔たちがこちらの世界へとなだれ込んでくる可能性がった。
しかし本格化するなら、すぐにでも【異界対策局】だって動くだろう。一般人としての立ち位置を守るならば、このまま何もしないでいるのが一番なのだが……。
(気配はあっちの方角……か)
それなりに距離は近い。ただ仮に妖魔が溢れてきても、ここにいる修一郎たちがいる限りは被害なんてそうは出ないはず。しかしやはり気になるのは、先ほどから姿が見えないという雪風のこと。
懸念すべきは彼女がいずれ勇者として覚醒し、ナクルとともに物語の中枢へと関わっていくことだ。つまりまだ覚醒はしていないが、オーラを持ち合わせる人物であり、かつダンジョンの気配を察知してもおかしくない。
ナクルはダンジョンから自分を呼ぶ声が度々聞こえると口にしていた。原作ではその声に従って行動し、ダンジョン攻略に臨む姿が描かれているらしい。
もし、もしも雪風がその呼び声に干渉して、つい足を向けていたとしたら……?
(原作にはそんなことが起こるなんて羽竹も言ってなかったぞ)
あくまでも今回の件は、ナクルの第二段階の成長が主軸だった。雪風と邂逅はするものの、彼女とともに戦うのはもう少し後になってからなのだ。
なのに何故……?
疑問が次々と湧くが、嫌な予感が収まらない。仮に雪風がダンジョンに向かっているとするなら絶対止めるべきだ。何せ原作では、ダンジョン内には、あの妖魔人ユンダがいるはずなのだから。
「っ…………ナクル、お前は今すぐ修一郎さんと師匠にダンジョンのことと、雪風ちゃんがいなくなったことを伝えてくれ」
「ふぇ? いきなりどうしたんスか?」
ナクルだけではなく傍に立つ陣介も怪訝な表情を見せる。
「もしかしたらだけど……雪風はダンジョンに向かったかもしれない」
「!? ど、どういうことだ、沖長くんっ!」
飛びつくように問い質してきたのは陣介だ。
「な、何となくです! 近くにダンジョンの気配を感じますし」
「いや、だって雪風は勇者でも候補生でもないし……!」
「突然覚醒することだってあると思います。彼女のほどの才の持ち主なら……」
実際は原作知識ではあるが、そう伝えられないことがもどかしい。
「まさかあの子が……そんなことが……ああでも」
当主として貫禄を見せている彼でも、やはり孫の危機には落ち着いていられないようだ。
「ですから早く確かめに行かないと。もし俺の考えてる通りだとするなら、今すぐ連れ戻さないといけません」
「!? そ、その通りだ!」
「なので陣介さんもナクルと手分けして応援を呼んでください」
「ちょっと待つんだ。まさか君は……」
「はい。今すぐダンジョンがある方向へと向かいます」
「危険だ!」
「それは百も承知です。ですが急がないと間に合わない可能性があるんです!」
ユンダと相対して無事だとは到底思えない。もしかしたら原作の水月のように利用されかねないのだ。
「っ……分かった。確かにもしあの子がダンジョンに入っていたとしたら、連れ戻せるのは君とナクルだけだしな」
自分が戦力になれないことに歯噛みしながら口にしている。
「ナクル、そういうことだから頼む!」
「うぅ……ボクも一緒に行くッスよ!」
「今は一分一秒でも大切にしたいんだ! 手分けした方が効率が良い! それに俺の能力の方が応用が効く。それはお前なら分かってくれるだろう?」
「! …………分かったッス。けど……けど無茶しちゃダメッスからね!」
そう言って、ナクルと陣介が揃って走り去っていった。同時に沖長もまたスマホに電話をかけながら急いで外へと出る。
何コールか目に向こうが応じた。
『……もしもし?』
「あ、羽竹か?」
『ああ、そうだけど。ていうか今頃君は伊豆だろ? 何? 今ちょっと忙しいんだけど?』
「悪いが悠長に話してる時間はねえんだ」
『! ……どうやら切羽詰まった状況のようだね。もしかしてそっちでダンジョンブレイクでもしたかい?』
「嫌なタイミングでな。それで……雪風がどうやらダンジョンに向かった可能性が高い」
『……は? 雪風って……柳守雪風かい? 何の冗談かな? 彼女が原作に深く関わるのはもう少し後で……』
「だからイレギュラーが起きてんだってば!」
『……なるほど。そういうこともある……か。それで君は彼女を連れ戻すために向かってる最中ってところ?』
「ああ、そうだ。んで、原作についてだけど、もう一度確かめておきたい。向こうにはユンダがいるんだよな?」
『原作通りなら、ね。でも本来の筋からは大分違うし確信はないよ。それはイレギュラーである君なら理解してると思うけど』
「それはお前もだろ。……仮にだけど、ユンダが雪風に興味を持つことは有り得るか?」
全速力で駆けながら問う。少し沈黙があった後、静かに長門が口を開く。
『彼女の勇者としての資質は本物さ。あの愉快犯が興味を持つに十分足りる』
「やっぱそうか……じゃあ会ってもすぐに殺されることはないってことか?」
『それはどうだろう。奴は強者との戦いを望むけど、才能ある存在をその手で摘み取ることを快感としてるところもある。普通はじっくり育ててから狩ることを信条としているみたいだけど、勢い余ってつい壊す……なんてことも多い』
恐らくそれはもしかしたら沖長自身が経験したことではないかとふと思った。あの時、確かにユンダは自分に興味を抱いたはず。しかし成長を促すといったことはせずに命を断ちにきた。あれはその勢い余ってというノリが発動してしまった故のことかもしれない。
なら雪風と対した時に、沖長と同じようなことが起きることも十分考えられる。そうなれば彼女に逃げる術は……ない。
確かに雪風は強いし、相手が人間相手ならたとえ強者でも生き残る可能性を見出すことはできるだろう。しかし相手は妖魔人。さらに悪いことに今度はダンジョン内でもある。妖魔人が十全に実力を発揮できる環境が整えられている。
そんな状況で生き残る力が雪風にあるとは思えない。たとえ勇者として覚醒したとしてもだ。いや、覚醒したらしたで、ユンダがそのまま拉致していくという場合も想定できる。どちらにしろ一人ではどうしようもない相手ということ。
『……どうするつもり?』
「もちろん連れ戻す」
『すでにダンジョン内でユンダに会ってるかもしれないよ?』
「それでもだ」
『……死ぬかもしれないよ?』
「死なないようにするだけだ」
『……はあ。やはり君はバカだね。初めて会ったであろう人間のためにそこまでするなんてさ』
「いいだろ。これが俺の性分なんだよ」
『はいはい。まあ、僕的には君が生き残る方が都合は良いし無事を祈るよ。頑張ることだね』
そう言って通話が切られた。沖長はスマホをポケットに入れる。
(絶対に死なねえし、雪風も利用させねえよ)
そう決意し、沖長はさらに加速していった。
しかし本格化するなら、すぐにでも【異界対策局】だって動くだろう。一般人としての立ち位置を守るならば、このまま何もしないでいるのが一番なのだが……。
(気配はあっちの方角……か)
それなりに距離は近い。ただ仮に妖魔が溢れてきても、ここにいる修一郎たちがいる限りは被害なんてそうは出ないはず。しかしやはり気になるのは、先ほどから姿が見えないという雪風のこと。
懸念すべきは彼女がいずれ勇者として覚醒し、ナクルとともに物語の中枢へと関わっていくことだ。つまりまだ覚醒はしていないが、オーラを持ち合わせる人物であり、かつダンジョンの気配を察知してもおかしくない。
ナクルはダンジョンから自分を呼ぶ声が度々聞こえると口にしていた。原作ではその声に従って行動し、ダンジョン攻略に臨む姿が描かれているらしい。
もし、もしも雪風がその呼び声に干渉して、つい足を向けていたとしたら……?
(原作にはそんなことが起こるなんて羽竹も言ってなかったぞ)
あくまでも今回の件は、ナクルの第二段階の成長が主軸だった。雪風と邂逅はするものの、彼女とともに戦うのはもう少し後になってからなのだ。
なのに何故……?
疑問が次々と湧くが、嫌な予感が収まらない。仮に雪風がダンジョンに向かっているとするなら絶対止めるべきだ。何せ原作では、ダンジョン内には、あの妖魔人ユンダがいるはずなのだから。
「っ…………ナクル、お前は今すぐ修一郎さんと師匠にダンジョンのことと、雪風ちゃんがいなくなったことを伝えてくれ」
「ふぇ? いきなりどうしたんスか?」
ナクルだけではなく傍に立つ陣介も怪訝な表情を見せる。
「もしかしたらだけど……雪風はダンジョンに向かったかもしれない」
「!? ど、どういうことだ、沖長くんっ!」
飛びつくように問い質してきたのは陣介だ。
「な、何となくです! 近くにダンジョンの気配を感じますし」
「いや、だって雪風は勇者でも候補生でもないし……!」
「突然覚醒することだってあると思います。彼女のほどの才の持ち主なら……」
実際は原作知識ではあるが、そう伝えられないことがもどかしい。
「まさかあの子が……そんなことが……ああでも」
当主として貫禄を見せている彼でも、やはり孫の危機には落ち着いていられないようだ。
「ですから早く確かめに行かないと。もし俺の考えてる通りだとするなら、今すぐ連れ戻さないといけません」
「!? そ、その通りだ!」
「なので陣介さんもナクルと手分けして応援を呼んでください」
「ちょっと待つんだ。まさか君は……」
「はい。今すぐダンジョンがある方向へと向かいます」
「危険だ!」
「それは百も承知です。ですが急がないと間に合わない可能性があるんです!」
ユンダと相対して無事だとは到底思えない。もしかしたら原作の水月のように利用されかねないのだ。
「っ……分かった。確かにもしあの子がダンジョンに入っていたとしたら、連れ戻せるのは君とナクルだけだしな」
自分が戦力になれないことに歯噛みしながら口にしている。
「ナクル、そういうことだから頼む!」
「うぅ……ボクも一緒に行くッスよ!」
「今は一分一秒でも大切にしたいんだ! 手分けした方が効率が良い! それに俺の能力の方が応用が効く。それはお前なら分かってくれるだろう?」
「! …………分かったッス。けど……けど無茶しちゃダメッスからね!」
そう言って、ナクルと陣介が揃って走り去っていった。同時に沖長もまたスマホに電話をかけながら急いで外へと出る。
何コールか目に向こうが応じた。
『……もしもし?』
「あ、羽竹か?」
『ああ、そうだけど。ていうか今頃君は伊豆だろ? 何? 今ちょっと忙しいんだけど?』
「悪いが悠長に話してる時間はねえんだ」
『! ……どうやら切羽詰まった状況のようだね。もしかしてそっちでダンジョンブレイクでもしたかい?』
「嫌なタイミングでな。それで……雪風がどうやらダンジョンに向かった可能性が高い」
『……は? 雪風って……柳守雪風かい? 何の冗談かな? 彼女が原作に深く関わるのはもう少し後で……』
「だからイレギュラーが起きてんだってば!」
『……なるほど。そういうこともある……か。それで君は彼女を連れ戻すために向かってる最中ってところ?』
「ああ、そうだ。んで、原作についてだけど、もう一度確かめておきたい。向こうにはユンダがいるんだよな?」
『原作通りなら、ね。でも本来の筋からは大分違うし確信はないよ。それはイレギュラーである君なら理解してると思うけど』
「それはお前もだろ。……仮にだけど、ユンダが雪風に興味を持つことは有り得るか?」
全速力で駆けながら問う。少し沈黙があった後、静かに長門が口を開く。
『彼女の勇者としての資質は本物さ。あの愉快犯が興味を持つに十分足りる』
「やっぱそうか……じゃあ会ってもすぐに殺されることはないってことか?」
『それはどうだろう。奴は強者との戦いを望むけど、才能ある存在をその手で摘み取ることを快感としてるところもある。普通はじっくり育ててから狩ることを信条としているみたいだけど、勢い余ってつい壊す……なんてことも多い』
恐らくそれはもしかしたら沖長自身が経験したことではないかとふと思った。あの時、確かにユンダは自分に興味を抱いたはず。しかし成長を促すといったことはせずに命を断ちにきた。あれはその勢い余ってというノリが発動してしまった故のことかもしれない。
なら雪風と対した時に、沖長と同じようなことが起きることも十分考えられる。そうなれば彼女に逃げる術は……ない。
確かに雪風は強いし、相手が人間相手ならたとえ強者でも生き残る可能性を見出すことはできるだろう。しかし相手は妖魔人。さらに悪いことに今度はダンジョン内でもある。妖魔人が十全に実力を発揮できる環境が整えられている。
そんな状況で生き残る力が雪風にあるとは思えない。たとえ勇者として覚醒したとしてもだ。いや、覚醒したらしたで、ユンダがそのまま拉致していくという場合も想定できる。どちらにしろ一人ではどうしようもない相手ということ。
『……どうするつもり?』
「もちろん連れ戻す」
『すでにダンジョン内でユンダに会ってるかもしれないよ?』
「それでもだ」
『……死ぬかもしれないよ?』
「死なないようにするだけだ」
『……はあ。やはり君はバカだね。初めて会ったであろう人間のためにそこまでするなんてさ』
「いいだろ。これが俺の性分なんだよ」
『はいはい。まあ、僕的には君が生き残る方が都合は良いし無事を祈るよ。頑張ることだね』
そう言って通話が切られた。沖長はスマホをポケットに入れる。
(絶対に死なねえし、雪風も利用させねえよ)
そう決意し、沖長はさらに加速していった。
145
お気に入りに追加
1,301
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
異世界に行ったら才能に満ち溢れていました
みずうし
ファンタジー
銀行に勤めるそこそこ頭はイイところ以外に取り柄のない23歳青山 零 は突如、自称神からの死亡宣言を受けた。そして気がついたら異世界。
異世界ではまるで別人のような体になった零だが、その体には類い稀なる才能が隠されていて....
屋台飯! いらない子認定されたので、旅に出たいと思います。
彩世幻夜
ファンタジー
母が死にました。
父が連れてきた継母と異母弟に家を追い出されました。
わー、凄いテンプレ展開ですね!
ふふふ、私はこの時を待っていた!
いざ行かん、正義の旅へ!
え? 魔王? 知りませんよ、私は勇者でも聖女でも賢者でもありませんから。
でも……美味しいは正義、ですよね?
2021/02/19 第一部完結
2021/02/21 第二部連載開始
2021/05/05 第二部完結
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる