121 / 220
120
しおりを挟む
「ほれ、ナクル元気出せ」
「うぅ……最近……一本も取れないッス……」
少し前まで取れていたものが取れない。それは自分が停滞していると錯覚してしまっても仕方ないだろう。実際ナクルは強くなっているし、少しずつでもブレイヴオーラだって発せられるようにはなってきている。しかしそれ以上に蔦絵の成長度合いが高いだけ。
(原作じゃ蔦絵さんは死んでたしなぁ。けど生きてたらこんなに強くなるのは確かに物語としては扱いどころが難しいかも)
主役よりも目立つ存在の扱いは難しい。それが敵キャラならば立場が違うので問題ないが、味方側でしかし近しい位置にいる存在であれば、作者としては扱いにくいキャラになりかねない。
(まあ、物語に食い込んでくる味方の最強キャラってよく序盤に死んだり、登場した瞬間にやっぱり死んだりするしなぁ)
それは主役を食ってしまう性質を持つ危険性があるからだ。だからよく主役が強くなるために踏み台として扱われたり、その時点で絶対に勝てない敵と一緒に自爆させて物語を進行させる流れを作る。
(これでもし蔦絵さんが勇者に覚醒したら、いよいよもってこの人だけで物語が完結しそうだな)
それほどまでの強さだ。まさに最強主人公の俺TUEEEである。
(十鞍がダンジョン内はオーラを扱いやすくなるって言ってたけど、そういう環境が蘇生の際に何かしら影響したことで強くなったってのも考えられるよな)
確証はないし、過去の事例もまたないだろう。何故なら普通は死んだらそれまでであり、蘇るなんてことは有り得ないだろうし。
例外で言えば千疋だが、彼女はまた別のベクトルの蘇生の仕方だと言えるか。
どうもダンジョンにはまだまだ謎がありそうだ。
項垂れているナクルの頭を撫でていると、いつの間にか寝息が聞こえてきた。見るとナクルが気持ち良さそうに船を漕いでいたのである。
「あら、ナクルったら……しょうがない子ね」
微笑ましそうに蔦絵が言う。
物語の主人公であり、普通とはかけ離れた運命を背負うことになった少女だが、こうして見ると、ただただ愛らしい少女にしか見えない。だからこそ沖長は、この子の笑顔を守りたいと思うのだが。
不意に沖長はこの機会だから聞いておきたいと思い口を開く。
「あの蔦絵さん、ちょっと聞いてもいいですか?」
「何かしら? 恋人なら募集中よ?」
「……そんなこと聞いてないですって」
「ふふ、冗談よ。それでどうしたの?」
「あ、いえ……答えたくないなら構わないんですけど、その……お父上のことで」
「っ…………そうね、知っちゃったものね」
どこか諦めた様子の溜息を吐くところを見ると、怒られることもなく話してくれるようでホッとした。
「いいわ。私の父の何が聞きたいのかしら?」
「えっと……単純にどうして離れて生活することになったのかってことなんですけど……」
蔦絵からは、父と仲直りできるように力を貸してほしいと、修一郎たちがいる前で懇願した。そして全員が家族として受け入れることにしたのだ。
まだ何をどうすればいいか定まっていないが、来るべき時が来たら全力で支援することを約束した。
ただ、蔦絵が何故家族と離れて過ごしているのか、その真意を尋ねたかったのだ。
沖長の問いに対し、蔦絵は立っていたその場から少し移動し、沖長と対面するように座り、「そうね……」と言って続ける。
「私の一族……天徒家が特殊な力を持っていることは聞いたわよね?」
「はい。占術に長けた一族ですよね。ユキナさんの一族である籠屋家と同じように」
「そう……けれど籠屋家は他家と交わりその血が薄まったことで、占術の力が次第に減退していったわ。結果、国家占術師から身を引き、その後釜として天徒が引き継いだ」
「そして今、その国家占術師を担っているのが蔦絵さんの双子の妹さんですよね」
その名を――天徒咲絵。ナクルの物語でも根幹を成すような重要人物とのこと。
「ええそう。あの子は生まれながらにして強大な天徒の力を有していたわ。私と違ってね」
天徒一族もまた、一族間での婚姻に限界が生まれ、他家と交わることを余儀なくされてきたという。そうして籠屋家ほどではないものの、徐々に力が減退化していき、今では占術の力を持つ者は咲絵ただ一人なのだそうだ。
「あの子の前は私たちの祖母がその任に就いていたのよ。もう他界したけれど、祖母もまた優秀な占術師だったらしいわ」
そうやって籠屋家が没落した後は、天徒家が国家を支え続けてきたらしい。
「ハッキリ言うとね、私は……あの子を国家占術師になんかしたくなかった」
「どうしてですか? 聞けば大概の望みは叶えてくれるって話ですけど」
「生活する上での不自由はないでしょうね。衣食住に関しては困ることはないわ。玩具が欲しいなら与えられるし、稀少な宝石や高価な服や靴、それこそ望めば何でも手に入るわね。けれど……たった一つだけ。与えられた住処から外に出ることは認められないのよ」
「! ……つまり軟禁状態ってことですか?」
「監視も目が常にあるから、監禁とも言えるわね。そして死ぬまでそれが続くの」
「それは……」
確かに生活するだけなら何不自由なく暮らせるだろう。ゲームやら漫画やらも望めば手に入るようで、引きこもり生活をする分には最高の環境かもしれない。
しかし常に周囲には監視の目があり、永遠にその場から動けないというのは酷過ぎる気がする。
また他人と接触する時も、面倒な手続きがいろいろあるらしく、たとえ家族といえどもそう簡単に会うことすらできないとのこと。
「あの子は……咲絵はね、いつも笑顔を絶やさない心優し子なの。けれど……国家占術師を引き継いでから、あの子からその笑顔を奪ったわ」
元々咲絵も、蔦絵と同じように小さい頃は外で遊んでいたらしい。しかし祖母が他界し、その後を咲絵が継ぐことになり、家族との対面も制限がかかるようになった。
蔦絵が久々に咲絵と会った時、咲絵は……。
「あの子は……泣いてたわ。寂しいって…………だって、まだ九歳だったのよ!」
どうやら咲絵が監禁されたのは、まだまだ家族が恋しい子供の時分だったようだ。
自由を満喫していた矢先に、突然それを奪われる。そして国のために重い責を背負わされる。しかもまだ十歳にも満たない時にだ。
さらに家族と引き離され、周りには知らない者たちの監視の目。
(それは……辛いだろうな)
想像することしかできないが、きっと自分なら耐えられない。耐えるためには心を凍り付かせるしかないだろう。
「当然父に言ったわ。咲絵を自由にしてほしいって。けれど……父は言うことを聞いてくれなかった」
国家に従属する立場にある存在として、家族よりも立場を優先した結果だ。それが蔦絵の怒りを買い、父の下から去ったというわけだった。
「うぅ……最近……一本も取れないッス……」
少し前まで取れていたものが取れない。それは自分が停滞していると錯覚してしまっても仕方ないだろう。実際ナクルは強くなっているし、少しずつでもブレイヴオーラだって発せられるようにはなってきている。しかしそれ以上に蔦絵の成長度合いが高いだけ。
(原作じゃ蔦絵さんは死んでたしなぁ。けど生きてたらこんなに強くなるのは確かに物語としては扱いどころが難しいかも)
主役よりも目立つ存在の扱いは難しい。それが敵キャラならば立場が違うので問題ないが、味方側でしかし近しい位置にいる存在であれば、作者としては扱いにくいキャラになりかねない。
(まあ、物語に食い込んでくる味方の最強キャラってよく序盤に死んだり、登場した瞬間にやっぱり死んだりするしなぁ)
それは主役を食ってしまう性質を持つ危険性があるからだ。だからよく主役が強くなるために踏み台として扱われたり、その時点で絶対に勝てない敵と一緒に自爆させて物語を進行させる流れを作る。
(これでもし蔦絵さんが勇者に覚醒したら、いよいよもってこの人だけで物語が完結しそうだな)
それほどまでの強さだ。まさに最強主人公の俺TUEEEである。
(十鞍がダンジョン内はオーラを扱いやすくなるって言ってたけど、そういう環境が蘇生の際に何かしら影響したことで強くなったってのも考えられるよな)
確証はないし、過去の事例もまたないだろう。何故なら普通は死んだらそれまでであり、蘇るなんてことは有り得ないだろうし。
例外で言えば千疋だが、彼女はまた別のベクトルの蘇生の仕方だと言えるか。
どうもダンジョンにはまだまだ謎がありそうだ。
項垂れているナクルの頭を撫でていると、いつの間にか寝息が聞こえてきた。見るとナクルが気持ち良さそうに船を漕いでいたのである。
「あら、ナクルったら……しょうがない子ね」
微笑ましそうに蔦絵が言う。
物語の主人公であり、普通とはかけ離れた運命を背負うことになった少女だが、こうして見ると、ただただ愛らしい少女にしか見えない。だからこそ沖長は、この子の笑顔を守りたいと思うのだが。
不意に沖長はこの機会だから聞いておきたいと思い口を開く。
「あの蔦絵さん、ちょっと聞いてもいいですか?」
「何かしら? 恋人なら募集中よ?」
「……そんなこと聞いてないですって」
「ふふ、冗談よ。それでどうしたの?」
「あ、いえ……答えたくないなら構わないんですけど、その……お父上のことで」
「っ…………そうね、知っちゃったものね」
どこか諦めた様子の溜息を吐くところを見ると、怒られることもなく話してくれるようでホッとした。
「いいわ。私の父の何が聞きたいのかしら?」
「えっと……単純にどうして離れて生活することになったのかってことなんですけど……」
蔦絵からは、父と仲直りできるように力を貸してほしいと、修一郎たちがいる前で懇願した。そして全員が家族として受け入れることにしたのだ。
まだ何をどうすればいいか定まっていないが、来るべき時が来たら全力で支援することを約束した。
ただ、蔦絵が何故家族と離れて過ごしているのか、その真意を尋ねたかったのだ。
沖長の問いに対し、蔦絵は立っていたその場から少し移動し、沖長と対面するように座り、「そうね……」と言って続ける。
「私の一族……天徒家が特殊な力を持っていることは聞いたわよね?」
「はい。占術に長けた一族ですよね。ユキナさんの一族である籠屋家と同じように」
「そう……けれど籠屋家は他家と交わりその血が薄まったことで、占術の力が次第に減退していったわ。結果、国家占術師から身を引き、その後釜として天徒が引き継いだ」
「そして今、その国家占術師を担っているのが蔦絵さんの双子の妹さんですよね」
その名を――天徒咲絵。ナクルの物語でも根幹を成すような重要人物とのこと。
「ええそう。あの子は生まれながらにして強大な天徒の力を有していたわ。私と違ってね」
天徒一族もまた、一族間での婚姻に限界が生まれ、他家と交わることを余儀なくされてきたという。そうして籠屋家ほどではないものの、徐々に力が減退化していき、今では占術の力を持つ者は咲絵ただ一人なのだそうだ。
「あの子の前は私たちの祖母がその任に就いていたのよ。もう他界したけれど、祖母もまた優秀な占術師だったらしいわ」
そうやって籠屋家が没落した後は、天徒家が国家を支え続けてきたらしい。
「ハッキリ言うとね、私は……あの子を国家占術師になんかしたくなかった」
「どうしてですか? 聞けば大概の望みは叶えてくれるって話ですけど」
「生活する上での不自由はないでしょうね。衣食住に関しては困ることはないわ。玩具が欲しいなら与えられるし、稀少な宝石や高価な服や靴、それこそ望めば何でも手に入るわね。けれど……たった一つだけ。与えられた住処から外に出ることは認められないのよ」
「! ……つまり軟禁状態ってことですか?」
「監視も目が常にあるから、監禁とも言えるわね。そして死ぬまでそれが続くの」
「それは……」
確かに生活するだけなら何不自由なく暮らせるだろう。ゲームやら漫画やらも望めば手に入るようで、引きこもり生活をする分には最高の環境かもしれない。
しかし常に周囲には監視の目があり、永遠にその場から動けないというのは酷過ぎる気がする。
また他人と接触する時も、面倒な手続きがいろいろあるらしく、たとえ家族といえどもそう簡単に会うことすらできないとのこと。
「あの子は……咲絵はね、いつも笑顔を絶やさない心優し子なの。けれど……国家占術師を引き継いでから、あの子からその笑顔を奪ったわ」
元々咲絵も、蔦絵と同じように小さい頃は外で遊んでいたらしい。しかし祖母が他界し、その後を咲絵が継ぐことになり、家族との対面も制限がかかるようになった。
蔦絵が久々に咲絵と会った時、咲絵は……。
「あの子は……泣いてたわ。寂しいって…………だって、まだ九歳だったのよ!」
どうやら咲絵が監禁されたのは、まだまだ家族が恋しい子供の時分だったようだ。
自由を満喫していた矢先に、突然それを奪われる。そして国のために重い責を背負わされる。しかもまだ十歳にも満たない時にだ。
さらに家族と引き離され、周りには知らない者たちの監視の目。
(それは……辛いだろうな)
想像することしかできないが、きっと自分なら耐えられない。耐えるためには心を凍り付かせるしかないだろう。
「当然父に言ったわ。咲絵を自由にしてほしいって。けれど……父は言うことを聞いてくれなかった」
国家に従属する立場にある存在として、家族よりも立場を優先した結果だ。それが蔦絵の怒りを買い、父の下から去ったというわけだった。
218
お気に入りに追加
1,301
あなたにおすすめの小説
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
逆ハーレムエンドは凡人には無理なので、主人公の座は喜んで、お渡しします
猿喰 森繁
ファンタジー
青柳千智は、神様が趣味で作った乙女ゲームの主人公として、無理やり転生させられてしまう。
元の生活に戻るには、逆ハーレムエンドを迎えなくてはいけないと言われる。
そして、何度もループを繰り返すうちに、ついに千智の心は完全に折れてしまい、廃人一歩手前までいってしまった。
そこで、神様は今までループのたびにリセットしていたレベルの経験値を渡し、最強状態にするが、もうすでに心が折れている千智は、やる気がなかった。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
〈完結〉この女を家に入れたことが父にとっての致命傷でした。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」アリサは父の後妻の言葉により、家を追い出されることとなる。
だがそれは待ち望んでいた日がやってきたでもあった。横領の罪で連座蟄居されられていた祖父の復活する日だった。
十年前、八歳の時からアリサは父と後妻により使用人として扱われてきた。
ところが自分の代わりに可愛がられてきたはずの異母妹ミュゼットまでもが、義母によって使用人に落とされてしまった。義母は自分の周囲に年頃の女が居ること自体が気に食わなかったのだ。
元々それぞれ自体は仲が悪い訳ではなかった二人は、お互い使用人の立場で二年間共に過ごすが、ミュゼットへの義母の仕打ちの酷さに、アリサは彼女を乳母のもとへ逃がす。
そして更に二年、とうとうその日が来た……
転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる