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ジョブの洗礼はゲームではそんなに時間はかからないのだが、リアルだと分からないので、今の内に自分の《ステータス》を確認しておく。
そういや、と思い《パーティ》の欄をクリック。そこに映し出されるのは、最近ギルドにてパーティ登録をしたポアムの情報が映し出される。
このようにパーティ登録をすれば、離れていてもその者の情報をある程度は知ることができるので便利なシステムではある。
ただこのように《ステータス》画面を持っているのは、どうやら今のところはオレだけらしい。画面が見えているのもオレだけなので、操作している姿は、あまるで夢遊病に浸かっている者のようだ。
何といっても何も無い空中に指先でスクロールやクリックなどをしているのだから。傍から見たら怪しさ爆発だろう。
ちなみに他の者が《ステータス》を確認しようと思ったら、《ギルドカード》を作ればいいのだ。そこには本人の情報が映し出される。
アイテムでも確認しておくかな。そういや、多分今まで手に入れたものはあるだろうと思って確認を怠ってたけど、本当にあるか全部確かめてなかったしな。
何せ金や食材などは無かったのだから。
クリックをして調べてみた。
うんうん、どうやら問題無……く……っ!?
あまりのことにオレは思わず全身が硬直した。
「……ちょっと待てよ……っ、何で……何でこんなもんがあんだよ?」
アイテムの最後の欄に、手に入れた覚えのない代物の名前が刻まれてあった。
《憤怒の心得》
オレは今まで入手したすべてのアイテムの名と数を把握している。スキルも魔法も何もかもだ。だが、《憤怒の心得》などというアイテムの存在など知らないし、聞いたこともない。
オレは震える手でクリックして説明欄を開く。しかし……。
「……白紙?」
そう、説明欄には何も書かれていなかったのだ。
「何だ、バグ? いやまあ、こんなことになってんだから有り得るっちゃ有り得るけど……」
だが妙に気になるのも事実だ。
《心得》ってことは、【地下祭壇】に行けばジョブが得られるってことか? いや、《憤怒》ってのはジョブってよりはスキルっぽいしな。んじゃ、これは神級のスキルってこと?
それだったら嬉しい。どんな理由で、どんな経緯で手に入ったかは謎だが、自分だけの特別が手に入るのなら、ゲーマーとしては嬉しくないわけがない。
ただやはり説明が何も無いというのはかなり気になるが……。
「神級のスキルなんてものはゲーム時にも無かった。これがもしソレだっていうんなら、おいおい……テンションが上がってくんじゃねーか!」
「あの、何が上がるんです?」
「いや、だからさ、この神級……って、ポアム!」
「はい! 終わりましたよ、イックウ様!」
「え? あ、もう終わったの?」
「はい。ところで何をされていたんですか? 例の《ステータス》画面とやらを確認でも?」
「ま、まーね」
ポアムには、《ステータス》画面については話してある。別に話したところで実害はないだろうからだ。
とりあえず《憤怒の心得》のことは後で考えよう。これが《拳神の心得》と同格のものでも、ここで今、どうこうすることなんてできないのだから。
「えっと、それで? 結局は何のジョブを?」
「はい! わたしにピッタリなジョブ。つまり《僧侶》にしました!」
「そっか。うん、良い選択だと思うぞ」
彼女の性格にも戦い方にもピッタリだと思うし。
それからポアムは一応司祭からジョブに関する説明を受けた後、オレと一緒に外へと出た。
「これからどうしますか?」
「まだ日が沈むまでには時間あるし、ギルドへ行ってクエストでもしてみるか」
「はい! 今すぐ行きましょう!」
「あはは、やる気十分だなぁ」
「だって、早くレベルを上げたいです! つまりイックウ様のサポートをきっちりしたいですから!」
こんな献身的な子、今までオレの周りにいただろうか。いや、断じていなかった。多分オレに助けられた恩を必死で返したいって思ってるんだろうけど、それでも嬉しい。
「よっしゃ! んじゃサクッと行きますか!」
そうしてこの国にあるギルドへ直行した。
【始まりの街】と比べても、この国のギルドの規模は大きなものだった。受付だけでも数が多いし、人の出入りも激しい。
掲示板に張られているクエストの数も規模に比例するかのように多い。
「さて、どのクエストにするか……」
「あ、これなんかどうですか?」
「ん、どれどれ……“スキルゴブリンの討伐”か。ランクはDね」
モンスターにもクエストと同じくランクがあり、スキルゴブリンはDランクで、下から二番目だ。まあ、弱い方だということ。
オレは楽勝だけど、ポアムにとっては良い練習になるかもな……よし。
「分かった。んじゃ、受付してくっから」
「はい!」
クエストの紙を手に取り、受付に持って行き受領してもらう。
――スキルゴブリン討伐 十体――
クエスト受領である。
「よーし、んじゃさっそく外に行くか……っとその前に、武器屋に行って装備を整えてからだな!」
せっかくジョブを得ても、それに似合う武器を持たなければ存分に力を発揮することはできない。オレは基本的に武器を必要としないが、他のジョブではそうはいかない。
もちろん武器無しでもスキルや魔法を使えるが、威力が落ちたり、使えないスキルなどがあったりするので、やはり装備品は大事なのだ。
こうしてオレたちはまず、国の武器屋に向かって、装備を整えてからフィールドに出ることにした。
そういや、と思い《パーティ》の欄をクリック。そこに映し出されるのは、最近ギルドにてパーティ登録をしたポアムの情報が映し出される。
このようにパーティ登録をすれば、離れていてもその者の情報をある程度は知ることができるので便利なシステムではある。
ただこのように《ステータス》画面を持っているのは、どうやら今のところはオレだけらしい。画面が見えているのもオレだけなので、操作している姿は、あまるで夢遊病に浸かっている者のようだ。
何といっても何も無い空中に指先でスクロールやクリックなどをしているのだから。傍から見たら怪しさ爆発だろう。
ちなみに他の者が《ステータス》を確認しようと思ったら、《ギルドカード》を作ればいいのだ。そこには本人の情報が映し出される。
アイテムでも確認しておくかな。そういや、多分今まで手に入れたものはあるだろうと思って確認を怠ってたけど、本当にあるか全部確かめてなかったしな。
何せ金や食材などは無かったのだから。
クリックをして調べてみた。
うんうん、どうやら問題無……く……っ!?
あまりのことにオレは思わず全身が硬直した。
「……ちょっと待てよ……っ、何で……何でこんなもんがあんだよ?」
アイテムの最後の欄に、手に入れた覚えのない代物の名前が刻まれてあった。
《憤怒の心得》
オレは今まで入手したすべてのアイテムの名と数を把握している。スキルも魔法も何もかもだ。だが、《憤怒の心得》などというアイテムの存在など知らないし、聞いたこともない。
オレは震える手でクリックして説明欄を開く。しかし……。
「……白紙?」
そう、説明欄には何も書かれていなかったのだ。
「何だ、バグ? いやまあ、こんなことになってんだから有り得るっちゃ有り得るけど……」
だが妙に気になるのも事実だ。
《心得》ってことは、【地下祭壇】に行けばジョブが得られるってことか? いや、《憤怒》ってのはジョブってよりはスキルっぽいしな。んじゃ、これは神級のスキルってこと?
それだったら嬉しい。どんな理由で、どんな経緯で手に入ったかは謎だが、自分だけの特別が手に入るのなら、ゲーマーとしては嬉しくないわけがない。
ただやはり説明が何も無いというのはかなり気になるが……。
「神級のスキルなんてものはゲーム時にも無かった。これがもしソレだっていうんなら、おいおい……テンションが上がってくんじゃねーか!」
「あの、何が上がるんです?」
「いや、だからさ、この神級……って、ポアム!」
「はい! 終わりましたよ、イックウ様!」
「え? あ、もう終わったの?」
「はい。ところで何をされていたんですか? 例の《ステータス》画面とやらを確認でも?」
「ま、まーね」
ポアムには、《ステータス》画面については話してある。別に話したところで実害はないだろうからだ。
とりあえず《憤怒の心得》のことは後で考えよう。これが《拳神の心得》と同格のものでも、ここで今、どうこうすることなんてできないのだから。
「えっと、それで? 結局は何のジョブを?」
「はい! わたしにピッタリなジョブ。つまり《僧侶》にしました!」
「そっか。うん、良い選択だと思うぞ」
彼女の性格にも戦い方にもピッタリだと思うし。
それからポアムは一応司祭からジョブに関する説明を受けた後、オレと一緒に外へと出た。
「これからどうしますか?」
「まだ日が沈むまでには時間あるし、ギルドへ行ってクエストでもしてみるか」
「はい! 今すぐ行きましょう!」
「あはは、やる気十分だなぁ」
「だって、早くレベルを上げたいです! つまりイックウ様のサポートをきっちりしたいですから!」
こんな献身的な子、今までオレの周りにいただろうか。いや、断じていなかった。多分オレに助けられた恩を必死で返したいって思ってるんだろうけど、それでも嬉しい。
「よっしゃ! んじゃサクッと行きますか!」
そうしてこの国にあるギルドへ直行した。
【始まりの街】と比べても、この国のギルドの規模は大きなものだった。受付だけでも数が多いし、人の出入りも激しい。
掲示板に張られているクエストの数も規模に比例するかのように多い。
「さて、どのクエストにするか……」
「あ、これなんかどうですか?」
「ん、どれどれ……“スキルゴブリンの討伐”か。ランクはDね」
モンスターにもクエストと同じくランクがあり、スキルゴブリンはDランクで、下から二番目だ。まあ、弱い方だということ。
オレは楽勝だけど、ポアムにとっては良い練習になるかもな……よし。
「分かった。んじゃ、受付してくっから」
「はい!」
クエストの紙を手に取り、受付に持って行き受領してもらう。
――スキルゴブリン討伐 十体――
クエスト受領である。
「よーし、んじゃさっそく外に行くか……っとその前に、武器屋に行って装備を整えてからだな!」
せっかくジョブを得ても、それに似合う武器を持たなければ存分に力を発揮することはできない。オレは基本的に武器を必要としないが、他のジョブではそうはいかない。
もちろん武器無しでもスキルや魔法を使えるが、威力が落ちたり、使えないスキルなどがあったりするので、やはり装備品は大事なのだ。
こうしてオレたちはまず、国の武器屋に向かって、装備を整えてからフィールドに出ることにした。
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