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第十一話 ギルド創設
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「どんなことができるんです?」
「スキルはまだ《錬金》だけの一つだけなのだよ」
それもそうか。スキルポイントだってないだろうし、他のスキルを取得することもできないはず。
ただ俺が最初から持っていた《死眼》は、使えば使うほどに成長するスキルだ。
ということは彼女のソレだって、使い続ければステージが上がっていくと思うのだが……。
しかしそのことを聞いてみると、予想外の返答がきた。
それは現在先輩は《錬金C》というスキルを持っているのだが、使い続けたら成長するといった説明はなかったらしい。
それどころかランクを上げるには、やはりスキルポイントを消費しなければならないとおいう記述さえあったのだ。
……これはどういうことだ? 何で俺のスキルだけ使用回数が成長の鍵なんだろ?
「先輩のジョブってユニークじゃないんですか?」
「ふむ? そのような言葉はステータス上では見ていないな。どういうことだい?」
「実はですね、俺のジョブは『死神』ってやつなんですけど」
「ず、ずいぶんと物騒なジョブだねそれは……」
うん、それは俺も思った。
「でもぼっちの君には何となくピッタリかも」
「人のこと言えないでしょうが。それよりも俺のジョブにはユニークって書かれていて、唯一無二のジョブらしいんです」
そして《死眼》の特性についても教えた。
「ふむ。なるほどね、これは実に興味深いことだ。つまりステータス持ち……『ギフター』だったかな? その者たちの中には、ユニーク――つまり特殊なジョブを与えられた者がいるということか。しかもその者たちが持つスキルもまた特殊で、これらはスキルポイントを消費するのではなく、使用回数で成長していく」
一体何故こんな違いが存在するのだろうか。
同じようにスキルポイントを消費してステージを上げるシステムでも別に問題ないと思うが。
「……残念ながら今の情報では、解明できない問題だね。ただ現状言えることは、君は恵まれたジョブを持っているということだ」
「まあそうっすよね。レベルを上げなくても、スキルさえ使い続けていればステージは上げられますし」
「うむ、しかしユニーク故、強力なスキル故にリスクや制限も多いのだろう。気力消費が馬鹿げていることもその一つだ」
確かに。だって《鑑定》なんて一回使用しても気力消費は10なのだ。それに比べて【死線】なんて一回で300も消費する。どう考えても異常な消費量だ。
先輩の《錬金》だって、一回使う量は8だという。
つまりは普通のスキルの初期段階はその程度ということだ。
「まあしかし、どうやらその突出したスキルのお蔭もあって、君が生き延びたようだから、ボクとしては感謝しかないがね」
先輩には俺がドラゴンと遭遇し討伐したことも伝えたのだ。
「一応ステータス表記を紙に書いてもらえますか?」
そう言うと、何の抵抗も見せずに先輩はサラサラッと、記憶しているのかステータス画面を出すようなこともなく書き上げた。
愛葉こまち レベル:1 スキルポイント:3
体力:10/10 気力:20/20
筋力:7 耐久性:9
特攻:12 特防:13
敏捷:12 運:85
ジョブ:錬金術師
スキル:錬金C
コアモンスター討伐数:0
討伐ポイント:0
称号:探究者
なるほど。レベル1に相応しい感じのパラメータだと思った。
俺もドラゴンを倒す前はこんなもんだったはず。
「それじゃ俺も、一応書いておいたんで」
そう言って彼女に見せると、
「……開いた口が塞がらないとはこのことなのだろうね」
まあ自分のステータスが基本になるから、今の俺のを見て唖然とするのもよく分かる。
「しかしこの特攻は……ああなるほど、規格外の《死眼》のせいか」
さすがは先輩。一目見て理解したようだ。
俺は、それぞれのステータスを書いた紙をアイテムボックスへとしまっておく。あとでどこか人気のない場所で燃やすためだ。残しておいて誰かに見られたら面倒なので。
「けど先輩、これから先、生き残っていくためには、レベル上げは必須だと思いますよ?」
「それは理解しているんだがね。ただボクは運動というものには自信がないのだよ。知っているだろう? 二十段の階段を上っただけで全身がプルプルするくらいだぞ?」
そうなのだ。彼女、頭はすこぶる良いのだが、残念ながら体力に関して五歳児にも劣る。
ちょっと走っただけで息は切れるし、一時間立っているだけでフラフラしだすほどだ。
老人よりも老人な身体能力の持ち主。それが愛葉こまちという女性である。
「おっ、それじゃあのシステムを使おうではないか!」
「はい? システム?」
「その通りだよ。《ギルド》を結成すれば問題ないじゃないか!」
「…………」
「え? その何言ってんの的な顔は何かな? もしや君はステータスの機能を十全に把握していないのかい?」
「ステータス機能?」
「……自分のステータス画面を出したまえ」
俺は訝しみながらも言われた通りにした。
「自身の名前を指で押し続けるんだ」
「押し続ける?」
「いいから試してみたまえよ」
名前を押すと、ただ〝名前〟という僅かな説明しか浮き上がってこなかったはず。
しかし押し続けることはしなかった。何かがあるようだが……。
三秒ほど名前を押し続けていると、驚くことに別画面が開いたのである。
そこには〝ギルド〟と銘打たれた画面があり、〝創設〟、〝加入〟、〝脱退〟などの文字が刻み込まれていた。
「お、おお……!」
「開けたようだな。それがギルド画面だよ。ギルドは簡単にいうとチームのこと。つまり他の『ギフター』とチームを組むことができるのさ」
彼女の説明によると、ギルドとして活動するには二つの方法があるとのこと。
一つはすでに構成されたギルドに加入申請を出し、許可を受けて入ること。ただし脱退するのは個人の意思でできるらしい。
「そしてもう一つが自らギルドを創設し、『ギルドマスター』となること」
「ギルド……マスター……」
「このギルドには幾つかメリットが存在する。それはギルドメンバー同士が、いつでも連絡が取れるし、居場所だって把握することができるのだよ」
「それは……確かに便利だな」
遠く離れていても、電話ができるようなものなので素晴らしい機能だ。
「それにともにダンジョンを攻略すると、メンバーがモンスターを倒して得た経験値なら、他のメンバーも獲得できることだな」
つまり仮に俺と先輩が同じギルドならば、先輩が戦闘に参加しなくとも、俺がモンスターを倒すだけで先輩は経験値を得られるらしい。
「あー……なるほど。つまり先輩、寄生プレイでレベル上げようって魂胆ですね?」
「フッフッフ! そのとーりっ!」
だからそんな胸を張って言うようなことじゃないし。
まあ確かにその方が楽にレベリングできると思うけど。
「ただモンスターを直接倒した者が得られる経験値の半分しかもらえないらしいがね」
そこはちゃんとシビアにできているようだ。それでも十分に価値のあるシステムではあるが。
「つまり俺がギルドを創設して、そこに先輩が加入するってことですか? それだったら別に先輩が『ギルドマスター』でもいいんじゃ……」
こんな見た目でも一応年上だしな。
「いんや! 残念ながらボクは人の上に立てるタイプではないからね。『ギルドマスター』は君の方が適任だ」
「俺も人の上になんか立ちたくねえなぁ」
「どうせボクしかいないんだから気にする必要はないだろう?」
「…………それもそっか」
「そうあっさり納得されるのも釈然としないが、まあ良しとしよう。それで? さっそく創設してみたまえよ」
そう言われて、画面の〝創設〟を押して手続きを行うことにした。
「スキルはまだ《錬金》だけの一つだけなのだよ」
それもそうか。スキルポイントだってないだろうし、他のスキルを取得することもできないはず。
ただ俺が最初から持っていた《死眼》は、使えば使うほどに成長するスキルだ。
ということは彼女のソレだって、使い続ければステージが上がっていくと思うのだが……。
しかしそのことを聞いてみると、予想外の返答がきた。
それは現在先輩は《錬金C》というスキルを持っているのだが、使い続けたら成長するといった説明はなかったらしい。
それどころかランクを上げるには、やはりスキルポイントを消費しなければならないとおいう記述さえあったのだ。
……これはどういうことだ? 何で俺のスキルだけ使用回数が成長の鍵なんだろ?
「先輩のジョブってユニークじゃないんですか?」
「ふむ? そのような言葉はステータス上では見ていないな。どういうことだい?」
「実はですね、俺のジョブは『死神』ってやつなんですけど」
「ず、ずいぶんと物騒なジョブだねそれは……」
うん、それは俺も思った。
「でもぼっちの君には何となくピッタリかも」
「人のこと言えないでしょうが。それよりも俺のジョブにはユニークって書かれていて、唯一無二のジョブらしいんです」
そして《死眼》の特性についても教えた。
「ふむ。なるほどね、これは実に興味深いことだ。つまりステータス持ち……『ギフター』だったかな? その者たちの中には、ユニーク――つまり特殊なジョブを与えられた者がいるということか。しかもその者たちが持つスキルもまた特殊で、これらはスキルポイントを消費するのではなく、使用回数で成長していく」
一体何故こんな違いが存在するのだろうか。
同じようにスキルポイントを消費してステージを上げるシステムでも別に問題ないと思うが。
「……残念ながら今の情報では、解明できない問題だね。ただ現状言えることは、君は恵まれたジョブを持っているということだ」
「まあそうっすよね。レベルを上げなくても、スキルさえ使い続けていればステージは上げられますし」
「うむ、しかしユニーク故、強力なスキル故にリスクや制限も多いのだろう。気力消費が馬鹿げていることもその一つだ」
確かに。だって《鑑定》なんて一回使用しても気力消費は10なのだ。それに比べて【死線】なんて一回で300も消費する。どう考えても異常な消費量だ。
先輩の《錬金》だって、一回使う量は8だという。
つまりは普通のスキルの初期段階はその程度ということだ。
「まあしかし、どうやらその突出したスキルのお蔭もあって、君が生き延びたようだから、ボクとしては感謝しかないがね」
先輩には俺がドラゴンと遭遇し討伐したことも伝えたのだ。
「一応ステータス表記を紙に書いてもらえますか?」
そう言うと、何の抵抗も見せずに先輩はサラサラッと、記憶しているのかステータス画面を出すようなこともなく書き上げた。
愛葉こまち レベル:1 スキルポイント:3
体力:10/10 気力:20/20
筋力:7 耐久性:9
特攻:12 特防:13
敏捷:12 運:85
ジョブ:錬金術師
スキル:錬金C
コアモンスター討伐数:0
討伐ポイント:0
称号:探究者
なるほど。レベル1に相応しい感じのパラメータだと思った。
俺もドラゴンを倒す前はこんなもんだったはず。
「それじゃ俺も、一応書いておいたんで」
そう言って彼女に見せると、
「……開いた口が塞がらないとはこのことなのだろうね」
まあ自分のステータスが基本になるから、今の俺のを見て唖然とするのもよく分かる。
「しかしこの特攻は……ああなるほど、規格外の《死眼》のせいか」
さすがは先輩。一目見て理解したようだ。
俺は、それぞれのステータスを書いた紙をアイテムボックスへとしまっておく。あとでどこか人気のない場所で燃やすためだ。残しておいて誰かに見られたら面倒なので。
「けど先輩、これから先、生き残っていくためには、レベル上げは必須だと思いますよ?」
「それは理解しているんだがね。ただボクは運動というものには自信がないのだよ。知っているだろう? 二十段の階段を上っただけで全身がプルプルするくらいだぞ?」
そうなのだ。彼女、頭はすこぶる良いのだが、残念ながら体力に関して五歳児にも劣る。
ちょっと走っただけで息は切れるし、一時間立っているだけでフラフラしだすほどだ。
老人よりも老人な身体能力の持ち主。それが愛葉こまちという女性である。
「おっ、それじゃあのシステムを使おうではないか!」
「はい? システム?」
「その通りだよ。《ギルド》を結成すれば問題ないじゃないか!」
「…………」
「え? その何言ってんの的な顔は何かな? もしや君はステータスの機能を十全に把握していないのかい?」
「ステータス機能?」
「……自分のステータス画面を出したまえ」
俺は訝しみながらも言われた通りにした。
「自身の名前を指で押し続けるんだ」
「押し続ける?」
「いいから試してみたまえよ」
名前を押すと、ただ〝名前〟という僅かな説明しか浮き上がってこなかったはず。
しかし押し続けることはしなかった。何かがあるようだが……。
三秒ほど名前を押し続けていると、驚くことに別画面が開いたのである。
そこには〝ギルド〟と銘打たれた画面があり、〝創設〟、〝加入〟、〝脱退〟などの文字が刻み込まれていた。
「お、おお……!」
「開けたようだな。それがギルド画面だよ。ギルドは簡単にいうとチームのこと。つまり他の『ギフター』とチームを組むことができるのさ」
彼女の説明によると、ギルドとして活動するには二つの方法があるとのこと。
一つはすでに構成されたギルドに加入申請を出し、許可を受けて入ること。ただし脱退するのは個人の意思でできるらしい。
「そしてもう一つが自らギルドを創設し、『ギルドマスター』となること」
「ギルド……マスター……」
「このギルドには幾つかメリットが存在する。それはギルドメンバー同士が、いつでも連絡が取れるし、居場所だって把握することができるのだよ」
「それは……確かに便利だな」
遠く離れていても、電話ができるようなものなので素晴らしい機能だ。
「それにともにダンジョンを攻略すると、メンバーがモンスターを倒して得た経験値なら、他のメンバーも獲得できることだな」
つまり仮に俺と先輩が同じギルドならば、先輩が戦闘に参加しなくとも、俺がモンスターを倒すだけで先輩は経験値を得られるらしい。
「あー……なるほど。つまり先輩、寄生プレイでレベル上げようって魂胆ですね?」
「フッフッフ! そのとーりっ!」
だからそんな胸を張って言うようなことじゃないし。
まあ確かにその方が楽にレベリングできると思うけど。
「ただモンスターを直接倒した者が得られる経験値の半分しかもらえないらしいがね」
そこはちゃんとシビアにできているようだ。それでも十分に価値のあるシステムではあるが。
「つまり俺がギルドを創設して、そこに先輩が加入するってことですか? それだったら別に先輩が『ギルドマスター』でもいいんじゃ……」
こんな見た目でも一応年上だしな。
「いんや! 残念ながらボクは人の上に立てるタイプではないからね。『ギルドマスター』は君の方が適任だ」
「俺も人の上になんか立ちたくねえなぁ」
「どうせボクしかいないんだから気にする必要はないだろう?」
「…………それもそっか」
「そうあっさり納得されるのも釈然としないが、まあ良しとしよう。それで? さっそく創設してみたまえよ」
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