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第4話 バグを利用して
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「よし! よしよし! やっぱこのバグが生き残ってたな!」
実際、称号を変えるには、《リセットチケット》が必要になる。ただ、それは普通のやり方。バグを知り尽くす十束にしかできない方法が、まさにこれだったのだ。
本来、この【始まりの砂浜】は、一度しか訪れない場所であり、外に出れば、あの渦は瞬時に閉じてしまって、二度と潜ることはできないのだ。
【始まりの砂浜】とは、人に称号を与えるためだけに存在してる謎空間であり、入った者には《勇者ガチャ》の権利が与えられる。
つまり何らかの方法で、再度行くことができれば、何度もガチャを引けるということだ。
そしてあの渦。何故十束が、《メガフォーク》を渦に差し込んだまま放置して向こうに行ったかというと、ああすることで、あっちとこっちを強制的に閉じられないようにしたのだ。これが渦消失無効化バグ。
(まあ、本来はこのバグも修正する予定だったんだけどな)
こういうやり方でもし戻っても、二度とガチャなんてできないように修正を施す予定だった。しかし、それは間に合わずに今へと繋がる。
「とにもかくにも、もう一度やり直す」
十束は、先ほどと同じようにガチャをし始める。
まず十一枚のカードを一枚にして、それから最後の一枚をめくった。
だが、また望む称号ではなかった。
「くっ! もう一回やり直しだ!」
またも渦を潜って、今度は間髪入れずに、すぐにこちらに素早く戻ってくる。
ちなみに『食の勇者』の称号は消えたが、武器である《メガフォーク》はそのまま残っている。これも一種の褒美だ。
つまり、お目当ての称号が出るまで、その称号に適した武器を、その都度、手にできるのだ。
そうして、十束は何度も何度も何度も何度もガチャを繰り返していく。
しかし――。
「……っくはぁ! ダメかぁぁ……っ!」
これで百三十回。さすがに疲労が溜まり、そのまま森の中で横たわった。
(ちくしょう……分かってたことだけど、やっぱなかなか出ねえ……! はは……でも当然か。あの称号が出る確率は、何といっても――十億分の一だもんな)
当たれば超ラッキーとも思える『特性勇者』でさえ一万分の一だ。ガチャの裏技を使って、当たり確率を上げているといっても、元が十億分の一なのだから。
「……いや、諦めてどうする。ここは俺が命をかけてでも完成させたいって思ったゲームの中だぞ! だったら最高の状態でプレイしたいだろうが!」
自分に活を入れて起き上がり、再度ガチャをし始める。
そして、二百回、三百回……四百回……五百回…………と過ぎていき、もう数えるのも止めた頃――。
「次こそ……次こそは……」
精神的な疲労で倒れそうになりながらも、十束はガチャをやる手を止めない。
そして、もう何回目になるか定かではないが、再び《勇者ガチャ》に運命を託した。
その直後、出現した文字を目にした十束は、しばらく思考が停止してしまった。
――〝界〟――
そこには、紛れもなく自身が心から欲した文字が刻まれていた。
「やった……っ、やったぞ……やったぁぁぁぁぁぁああああああああっ!」
ついに念願の称号を手に入れることができた。
ここまで諦めずに、本当に良かった。
「よっしゃよっしゃ! よっしゃあぁぁぁぁ! マジで嬉しい! 嬉し過ぎるぅ! あ、そうだ! さっそくステータスを確認だ!」
――――――――――――――――――――――――――――――
サキヤマ トツカ Lv:1 NEXT EXP:8
HP:30/30 BP:20 SP:3
ATK:E- DEF:E+ RES:D
AGI:E++ HIT:E- LUK:A
スキル:《地図》・《袋》
Bスキル:《自在界入《バグ・ボーダー》》
称号:界《さかい》の勇者
――――――――――――――――――――――――――――――
明らかに、『特性勇者』よりも初期設定が高い。しかも、何よりも凶悪なのは、この称号の持つスキルである。
(まあでも、スキルに関してはあとで確かめよう。今はちょっと……休みてえ)
とりあえず【始まりの砂浜】は、十束以外入ってこられないので、この安全地帯でしばらく休むことにした。
さすがにもう限界だ。何も食べてないし、口にしたのは『水の勇者』を引き当てた時に生み出しておいた水だけ。ガチャに集中している時は、さほど空腹感に苛まれることはなかったが、安堵した瞬間に腹の虫が騒ぎ始めている。
こんなことなら、『食の勇者』の時に、そこらのものを食べておけば良かったと後悔した。
木々の隙間から見える、青々とした空を見つめながら大きな溜息を吐き出す。
「……それにしても、これでようやく第一歩ってとこだな」
仮に、他の攻略者(ユーザー)たちがいたとしても、十束よりも大分進んでいるだろう。時間にして三日間くらい経っただろうから。
貫徹は慣れているといっても、身体ごと動きっぱなしなのは、さすがに堪えた。
(けど、よく引けたよなぁ。俺の人生の運……使い切っちまったかも……)
実際心が折られそうになっていたのも事実だ。
何せ俺が引いたこの称号――『|無双勇者(ユニーク・ブレイバー)』と名付けており、確率は十億分の一。ハッキリ言って、人生の運をすべて注ぎ込んでも手にできない可能性の高い超絶レアな称号である。
ちなみにこれは、開発者《十束》の完全な戯れ設定であり、ぶっ壊れ称号となっていて、もし得ることができれば、それこそ無双できるほどの力を潜在的に持っている。
ただし、こんなバグった称号があることは十束しか知らない。いつもいつも無理難題を吹っ掛けてくるムカつく上司に対し、憂さ晴らしで、こういうバランスブレイカーを組み込んだ。
恐らく誰も引くことはないだろうが、それでも自分が開発したゲームには、こういう秘密が存在するんだぞと、自分だけが知っていることが、何よりのストレス解消になっていた。また自分が開発に注ぎ込んだ証のようなものを刻み込みたかったのである。
久しぶりの休息を取った後、十束は早速自身の得たスキルを練習することにした。
実際、この【始まりの砂浜】は、そういった練習をするための場所でもある。最も、そんなことに気づかずに、いきなり渦に飛び込んで向こうの世界に行き、突然の戦場に四苦八苦するユーザーもいることだろう。
十束は、そんな愚行をしたりしない。ていうか開発者の一人なのだから、知識はすべて利用するべきだと思っている。
(『界の勇者』は、バグ称号だ。こいつのスキル――《自在界入》は、あらゆる境界に独自介入し、変質させたり崩壊させることができる)
つまりどういうことかというと……。
十束は、落ちていた二つの石を両手にそれぞれ手に取る。そしてコツンと、二つを合わせた。
だが、互いに一つの個体として存在している以上、こんなふうに、たかが合わせただけでは軽く音が鳴るくらいだろう。
「けど――《自在界入》」
スキル名を口にすると、触れている部分が蜃気楼のように歪み始め、次第に二つの石がゆっくりと混ざり合っていく。
スキルを止めると、二つの石は完全にくっつき、まるで瓢箪のような形になった。
これが十束の得た能力だ。
石と石の表面の境界に介入し、その性質を歪めて両者を繋ぎ合わせたのである。
「んで、今度は――《自在界入》」
持っていた石が、瞬時にして砂状になって手元から地面へ零れ落ちていく。
「よし、これも問題ないな」
今度は一部分だけでなく、全体――石をこの形にしている自然的な力の境界に介入し、細かく崩壊させたのである。
今、この力を見て、本当に役立つのかと思う人が中にいるかもしれないが、あらゆるものの存在を変質できるということは、十束の意のままに操作できるということ。
つまり簡単に言えば、森羅万象を自由自在に書き換えることが可能なのだ。
己にとって理不尽なこと、不幸なこと、悲劇などといったものを逆転させ、都合の良いように現実化することができる。これほど凶悪で最強で万能な力はないだろう。
だからこその〝バグ称号〟なのである。
(けどまだ弱いし制限もある上、使えばBPも結構消費するから気を付ける必要がある)
ステータスを確認すれば、フルで20あったBPが、今は10になっていた。
ちなみにBPとは、〝ブレイブ・ポイント〟のことで、いわゆるMP――マジックポイントのようなものだと考えてくれればいい。
魔法を使うための魔力が、スキルを使うための勇者力に変わっているというだけの話。
当然このポイントは、スキルを使えば、そのスキルに応じて消費される。そしてレベルを上げれば、それに比例して増加していく。
一定期間休息を取ることで、体力であるHPもBPも回復する。
ちなみにだが、中にはBPを消費しないスキルも存在している。初期スキルにある《地図》や《袋》がその例だ。一度習得してしまえば、それ以降はBPを要求しないものもあるというわけである。
「今はフルでBスキル二回か。燃費は悪いけど、それだけにリターンは大きい」
レベルを上げて使いこなしていけば、制限も緩和していき、無類の強さを得ることができる。
ただしレベルを上げるには、基本的にモンスターを討伐しなければならない。ステータスの〝NEXT EXP〟は、次のレベルアップまで必要な経験値。
アイテムなどでも、経験値を得ることはできるが、序盤はオーソドックスにモンスター討伐でレベリングである。
《自在界入》で、システムそのものに介入し、レベルを上げたり、パラメーターを変化したりはできないように設定した。さすがにそれは反則過ぎると思ったので。だって、それができればレベリングの楽しみもないし、装備やアイテムなどの価値もなくなってしまう。バグはバグだが、若干制限を設けたバグでもあるのだ。
だが、こんなことになるのなら、生存率を上げるためにも、そんな制限など取っ払っておけば良かったと思う。現実とゲームでは違うということだ。
(ま、ここは安全だし、いろいろ試してみるか)
十束は急ぐ必要はないと判断し、時折休息を挟みつつ、何度もスキルを試して、使い勝手を覚えていった。
実際、称号を変えるには、《リセットチケット》が必要になる。ただ、それは普通のやり方。バグを知り尽くす十束にしかできない方法が、まさにこれだったのだ。
本来、この【始まりの砂浜】は、一度しか訪れない場所であり、外に出れば、あの渦は瞬時に閉じてしまって、二度と潜ることはできないのだ。
【始まりの砂浜】とは、人に称号を与えるためだけに存在してる謎空間であり、入った者には《勇者ガチャ》の権利が与えられる。
つまり何らかの方法で、再度行くことができれば、何度もガチャを引けるということだ。
そしてあの渦。何故十束が、《メガフォーク》を渦に差し込んだまま放置して向こうに行ったかというと、ああすることで、あっちとこっちを強制的に閉じられないようにしたのだ。これが渦消失無効化バグ。
(まあ、本来はこのバグも修正する予定だったんだけどな)
こういうやり方でもし戻っても、二度とガチャなんてできないように修正を施す予定だった。しかし、それは間に合わずに今へと繋がる。
「とにもかくにも、もう一度やり直す」
十束は、先ほどと同じようにガチャをし始める。
まず十一枚のカードを一枚にして、それから最後の一枚をめくった。
だが、また望む称号ではなかった。
「くっ! もう一回やり直しだ!」
またも渦を潜って、今度は間髪入れずに、すぐにこちらに素早く戻ってくる。
ちなみに『食の勇者』の称号は消えたが、武器である《メガフォーク》はそのまま残っている。これも一種の褒美だ。
つまり、お目当ての称号が出るまで、その称号に適した武器を、その都度、手にできるのだ。
そうして、十束は何度も何度も何度も何度もガチャを繰り返していく。
しかし――。
「……っくはぁ! ダメかぁぁ……っ!」
これで百三十回。さすがに疲労が溜まり、そのまま森の中で横たわった。
(ちくしょう……分かってたことだけど、やっぱなかなか出ねえ……! はは……でも当然か。あの称号が出る確率は、何といっても――十億分の一だもんな)
当たれば超ラッキーとも思える『特性勇者』でさえ一万分の一だ。ガチャの裏技を使って、当たり確率を上げているといっても、元が十億分の一なのだから。
「……いや、諦めてどうする。ここは俺が命をかけてでも完成させたいって思ったゲームの中だぞ! だったら最高の状態でプレイしたいだろうが!」
自分に活を入れて起き上がり、再度ガチャをし始める。
そして、二百回、三百回……四百回……五百回…………と過ぎていき、もう数えるのも止めた頃――。
「次こそ……次こそは……」
精神的な疲労で倒れそうになりながらも、十束はガチャをやる手を止めない。
そして、もう何回目になるか定かではないが、再び《勇者ガチャ》に運命を託した。
その直後、出現した文字を目にした十束は、しばらく思考が停止してしまった。
――〝界〟――
そこには、紛れもなく自身が心から欲した文字が刻まれていた。
「やった……っ、やったぞ……やったぁぁぁぁぁぁああああああああっ!」
ついに念願の称号を手に入れることができた。
ここまで諦めずに、本当に良かった。
「よっしゃよっしゃ! よっしゃあぁぁぁぁ! マジで嬉しい! 嬉し過ぎるぅ! あ、そうだ! さっそくステータスを確認だ!」
――――――――――――――――――――――――――――――
サキヤマ トツカ Lv:1 NEXT EXP:8
HP:30/30 BP:20 SP:3
ATK:E- DEF:E+ RES:D
AGI:E++ HIT:E- LUK:A
スキル:《地図》・《袋》
Bスキル:《自在界入《バグ・ボーダー》》
称号:界《さかい》の勇者
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明らかに、『特性勇者』よりも初期設定が高い。しかも、何よりも凶悪なのは、この称号の持つスキルである。
(まあでも、スキルに関してはあとで確かめよう。今はちょっと……休みてえ)
とりあえず【始まりの砂浜】は、十束以外入ってこられないので、この安全地帯でしばらく休むことにした。
さすがにもう限界だ。何も食べてないし、口にしたのは『水の勇者』を引き当てた時に生み出しておいた水だけ。ガチャに集中している時は、さほど空腹感に苛まれることはなかったが、安堵した瞬間に腹の虫が騒ぎ始めている。
こんなことなら、『食の勇者』の時に、そこらのものを食べておけば良かったと後悔した。
木々の隙間から見える、青々とした空を見つめながら大きな溜息を吐き出す。
「……それにしても、これでようやく第一歩ってとこだな」
仮に、他の攻略者(ユーザー)たちがいたとしても、十束よりも大分進んでいるだろう。時間にして三日間くらい経っただろうから。
貫徹は慣れているといっても、身体ごと動きっぱなしなのは、さすがに堪えた。
(けど、よく引けたよなぁ。俺の人生の運……使い切っちまったかも……)
実際心が折られそうになっていたのも事実だ。
何せ俺が引いたこの称号――『|無双勇者(ユニーク・ブレイバー)』と名付けており、確率は十億分の一。ハッキリ言って、人生の運をすべて注ぎ込んでも手にできない可能性の高い超絶レアな称号である。
ちなみにこれは、開発者《十束》の完全な戯れ設定であり、ぶっ壊れ称号となっていて、もし得ることができれば、それこそ無双できるほどの力を潜在的に持っている。
ただし、こんなバグった称号があることは十束しか知らない。いつもいつも無理難題を吹っ掛けてくるムカつく上司に対し、憂さ晴らしで、こういうバランスブレイカーを組み込んだ。
恐らく誰も引くことはないだろうが、それでも自分が開発したゲームには、こういう秘密が存在するんだぞと、自分だけが知っていることが、何よりのストレス解消になっていた。また自分が開発に注ぎ込んだ証のようなものを刻み込みたかったのである。
久しぶりの休息を取った後、十束は早速自身の得たスキルを練習することにした。
実際、この【始まりの砂浜】は、そういった練習をするための場所でもある。最も、そんなことに気づかずに、いきなり渦に飛び込んで向こうの世界に行き、突然の戦場に四苦八苦するユーザーもいることだろう。
十束は、そんな愚行をしたりしない。ていうか開発者の一人なのだから、知識はすべて利用するべきだと思っている。
(『界の勇者』は、バグ称号だ。こいつのスキル――《自在界入》は、あらゆる境界に独自介入し、変質させたり崩壊させることができる)
つまりどういうことかというと……。
十束は、落ちていた二つの石を両手にそれぞれ手に取る。そしてコツンと、二つを合わせた。
だが、互いに一つの個体として存在している以上、こんなふうに、たかが合わせただけでは軽く音が鳴るくらいだろう。
「けど――《自在界入》」
スキル名を口にすると、触れている部分が蜃気楼のように歪み始め、次第に二つの石がゆっくりと混ざり合っていく。
スキルを止めると、二つの石は完全にくっつき、まるで瓢箪のような形になった。
これが十束の得た能力だ。
石と石の表面の境界に介入し、その性質を歪めて両者を繋ぎ合わせたのである。
「んで、今度は――《自在界入》」
持っていた石が、瞬時にして砂状になって手元から地面へ零れ落ちていく。
「よし、これも問題ないな」
今度は一部分だけでなく、全体――石をこの形にしている自然的な力の境界に介入し、細かく崩壊させたのである。
今、この力を見て、本当に役立つのかと思う人が中にいるかもしれないが、あらゆるものの存在を変質できるということは、十束の意のままに操作できるということ。
つまり簡単に言えば、森羅万象を自由自在に書き換えることが可能なのだ。
己にとって理不尽なこと、不幸なこと、悲劇などといったものを逆転させ、都合の良いように現実化することができる。これほど凶悪で最強で万能な力はないだろう。
だからこその〝バグ称号〟なのである。
(けどまだ弱いし制限もある上、使えばBPも結構消費するから気を付ける必要がある)
ステータスを確認すれば、フルで20あったBPが、今は10になっていた。
ちなみにBPとは、〝ブレイブ・ポイント〟のことで、いわゆるMP――マジックポイントのようなものだと考えてくれればいい。
魔法を使うための魔力が、スキルを使うための勇者力に変わっているというだけの話。
当然このポイントは、スキルを使えば、そのスキルに応じて消費される。そしてレベルを上げれば、それに比例して増加していく。
一定期間休息を取ることで、体力であるHPもBPも回復する。
ちなみにだが、中にはBPを消費しないスキルも存在している。初期スキルにある《地図》や《袋》がその例だ。一度習得してしまえば、それ以降はBPを要求しないものもあるというわけである。
「今はフルでBスキル二回か。燃費は悪いけど、それだけにリターンは大きい」
レベルを上げて使いこなしていけば、制限も緩和していき、無類の強さを得ることができる。
ただしレベルを上げるには、基本的にモンスターを討伐しなければならない。ステータスの〝NEXT EXP〟は、次のレベルアップまで必要な経験値。
アイテムなどでも、経験値を得ることはできるが、序盤はオーソドックスにモンスター討伐でレベリングである。
《自在界入》で、システムそのものに介入し、レベルを上げたり、パラメーターを変化したりはできないように設定した。さすがにそれは反則過ぎると思ったので。だって、それができればレベリングの楽しみもないし、装備やアイテムなどの価値もなくなってしまう。バグはバグだが、若干制限を設けたバグでもあるのだ。
だが、こんなことになるのなら、生存率を上げるためにも、そんな制限など取っ払っておけば良かったと思う。現実とゲームでは違うということだ。
(ま、ここは安全だし、いろいろ試してみるか)
十束は急ぐ必要はないと判断し、時折休息を挟みつつ、何度もスキルを試して、使い勝手を覚えていった。
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