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180:責任と重たさを。
しおりを挟む取り敢えず、テオ様に保護する許可を取りましょう、ということで、ロブに仔猫を抱えてもらおうとしましたが、フシャーフシャーと威嚇されてしまいました。
肩に掛けていたショールを外し、ロブに渡しました。
「これで包んであげて」
「はい」
「ははうえ、ねこ、だいじょうぶでしょうか?」
「そこまで酷い傷ではないから、きっと大丈夫よ」
そう言うと、レジナルドとミーシャが二人で顔を見合わせてホッと息をついていました。
超絶かわいいです!
「お嬢様、顔」
ザラに謎の注意を受けました。いえ、謎とかではなく、顔がユルユルにニヤけているのでしょうが……謎、としておきたいです。
「……猫」
「はい」
「……猫」
「はい」
テオ様に、手当をして保護したい旨を伝えました。が、返事は「……猫」のみです。
「よろしいですか?」
「黒猫」
「はい」
「ルプ――――」
「狼ではありません。猫は猫科です」
「ディアボ――――」
「こんなに可愛らしいのに、悪魔は駄目です」
「……けち。じゃぁ、セシル」
じゃあって。
「この小ささでは男の子か女の子かまだわかりませんよ」
「セシルはどっちでもいける」
確かに。どっちでもいけそうなお名前ですね。
うん、と頷いて、私のスカートの後ろに隠れていたレジナルドとミーシャに、保護しますと宣言しました。
「「きゃぁぁぁ!」」
「うおっ⁉」
二人が歓喜の声をあげると、テオ様がビクッと驚いていて、可愛かったのは子供たちには内緒にしておきましょう。
早速、王城勤務の獣医のところへ連れて行くと、消毒と手当てと、食事を与えてもらいました。
「一週間もすれば傷は治るでしょうから、それからノミ退治ですね。それまではこちらでお預かりします」
「え…………」
「やだっ」
レジナルドはしょんぼり、ミーシャは不満でプリプリしていましたが、ザラがピシャリと説教して、二人仲良く手を繋いでしょんぼり歩いていました。
「ふふふっ。可愛いわね」
「ええ……ですが、何故保護されたのですか?」
野生動物はあまり保護しないようにしていました。
野良猫、野良犬、何故か野良の牛、山羊、羊もいますが。
そこは野良というよりは野生動物でいいのでしょうか?って、それは置いておいて。
動物の一生は人より短くとも命は命です。
安易に手出しするものではありません。
ですが、あの子達も三歳になり、生きるということに、生き物に、段々と興味が出てきています。
「命に対する責任は、触れ合わないとわからないから」
「……確かに。そうですね」
テオ様は、そこをなんとなく読み取って理解して下さったのでしょう。
一番初めに「……猫」と言った瞬間は、苦虫を噛み潰したようなお顔でしたから。
さて、今後はどうするかをテオ様と話し合わないといけませんね。
「もしかしたら、暫くはザラたちに迷惑を掛けるかも」
「……私、猫……好きなので、構いませんよ」
ザラがツンと顔をそらしてそんなことを言うものだから、キュンキュンしてしまい、飛びつきました。
「ザラ、大好きっ!」
「あー! わたしも、ぎゅーするー! レジーも、いっしょー」
ミーシャが楽しそうにザラの脚に抱きつき、レジナルドはもじもじとしながらも私の脚に抱きつき、四人でキャッキャと笑い合いました。
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