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174:杜撰な計画。
しおりを挟む王妃殿下から娼館での事件についてお伺いしていましたら、予想外の言葉が耳に飛び込んできました。
「どうやら、酩酊する薬物を使って情報収集されていたらしいのよ」
「えっ⁉」
「あ、大丈夫よ。あの子、慣らされてるから効かないわ」
「あー……」
そういえば、直系の王族は毒に慣らしていくのでした。
そういった薬物も『毒』扱いなのですね。
だとすると、ベリンダ様の旦那様――アンダーソン伯爵様は、薬物を使用されてしまって⁉
「あぁ、そっちも大丈夫よ。詳しくは言えないけれど、協力者を作っていたそうよ」
本当にホッとしました。
色々と大きな事件のようですが、だからといって何も言えず、友人が泣くのだけは嫌です。
仲睦まじそうなお二人が、出産後のお祝に訪れてくださった時の事を思い出し、胸がキュッと締め付けられました。
「それでね、そこの娼館は取り潰しにすることにしたのだけれど、なかなかに大勢の貴族が通っててねぇ。愛人にと身請けされた子もいたから、それらの調査も兼ねてでセオドリックが陣頭指揮をとっているのよ」
全く嫌な話だわぁ、と王妃殿下が大きな声溜息を吐きました。
「宰相閣下は、何かしらの責任を負ってお辞めに成られるのですか?」
「んー、それもあるのだけれどね。婚外子の子供を一応気にはかけていたらしいのよ。だからといって気落ちしちゃってねぇ。あ、次期宰相はアンダーソンよ。事件がある程度収束したら国民に向けて発表するわ」
「畏まりました」
そして、一番の問題は、どこのスパイだったのか、なのですが、隣国ゴステラを挟んで向こう側にあるメイスン国とのことでした。
隣国はかなり大きく資源も豊富で、国力でいうと我がフォレストリアより幾分か上ではありますが、表面上は平等を保っています。
ですが、ゴステラとメイスンは小競り合いが多く、時々小規模の戦闘もあっていました。
「まさか、こちらを取り込んで、ゴステラにけしかけようだなんて、杜撰な計画…………ほんと、頭が痛いわぁ」
「これからどうなりますか? 流石にメイスンとの争い――――」
王妃殿下が蟀谷を押さえながら、目の前にあったお茶をぐい飲みしました。
そして、流石にソレはしないわよ、と呟かれました。
ソレはしないけれど、別の方法での牽制はするそうです。
「本当はセオドリックが細々と説明したかったんでしょうけどね。ちょっと手が離せなくてねぇ。もう少し待っててあげてね?」
「はい!」
「…………で! レジナルドとミーシャは⁉」
あ、報告がメインかと思いましたが、割とこっちのほうがメインな感じなんですかね?
王妃殿下は二時間たっぷりと子供たちと遊んでから王城に帰られました。
あら? 報告に来られたのかしら? 遊びに来られたのかしら? ……とかは、聞いてはだめよね?
「駄目です」
――――よ、ねぇ。
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