厨二病設定てんこ盛りの王子殿下が迫って来ます。 〜異世界に転生したら、厨二病王子の通訳者にされました〜【R18版】

笛路

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167:ありがとぉぉ、おやふみぃぃ。

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 テオ様の『ありがとう』攻撃の最中、なかなかの鈍痛を伴って胎盤の排出が終わり、ベッドの寝具を交換してもらいました。
 その間、私はテオ様に抱っこをしてもらい、赤ちゃんは先生が綺麗に拭き上げて下さいました。

 ベッドに下ろしてもらうと、火照った身体を、ヒンヤリサラサラのシーツが冷やしてくれました。
 先生から赤ちゃんを受け取って、初授乳です。
 赤ちゃんが、ンペンペ、と変な音を口から出していて、飲めているのかよくわからないけれど、先生は大丈夫だと言って下さいました。

「テオ様、この子にお名前をいただけますか?」
「ん! 『レジナルド』」 
 
 赤ちゃんがお乳を飲んでいる姿をニコニコと眺めながら、テオ様がズバッとお名前を決めて下さいました。
 どうやら、産まれてから顔を見てのインスピレーションのようです。

「レジナルド・フォレスター?」
「うん」
「素敵な名前ですね。ありがとうございます」
「うん」

 テオ様は床に座り、ベッドに両肘を付いて、ニコニコと赤ちゃんの観察を続けています。

「あの、テオ様?」
「ん?」
「陛下たちに報告を……」
「…………リジー」
「テオ様!」

 出産の手伝いをしてくれていたリジーを、陛下たちへの伝言に使おうとしていたので慌てて止めました。
 流石に、陛下に伝言で報告は駄目な気がします。
 テオ様は、プチプチと小声で文句を言いながら、主寝室を出て、サロンへと向かってくださいました。

「ミラベル様、ご苦労様でした」
「ありがとうリジー」
「ザラには後で報告しておきますね」
「うん。よろしくね」

 絶賛子育て中のザラは、夜になった段階で、私室に戻るように言っていました。
 ロブはサロンの警備に入っていたので、リジーからの連絡の方が早いでしょう。



「ミラベル嬢、ご苦労だったな。さぁ、孫の顔を見せておくれ」
「陛下、ありがとうございます」

 陛下に抱っこしてもらおうかとレジナルドを差し出しましたら、テオ様が慌てて割り込んで来て、レジナルドを奪い取りました。

「見るだけです!」
「おま…………」
 
 陛下、ドン引きです。びっくりするほどにドン引きしています。 
 王妃殿下は、酸欠になるほどに笑っていらっしゃいます。
 そして、私の両親はボロ泣きでした。

「うわぁ、カオスですね!」

 ザラに報告に行っていたリジーが、主寝室に戻ってくるなり、笑顔でまさかのツッコミ。

『陛下の前だから! いつものサムは抑えて!』

 心の声と眼力でどうにか伝えようとしましたが、効果ナシでした。

「あはははー。セオドリック殿下は、相変わらず心が狭いですねぇ。はい、カフェインレスの飲み物です」
「……ありがとぉぉぅ」

 サムがクビにならないことを祈るばかりです。



 テオ様のわりと激しめの抵抗にあいつつ、陛下たちにレジナルドを抱っこしてもらいました。

「ミラベルちゃん、しっかりと休むのよ。私たちはこれで失礼するわね」

 王妃殿下が挨拶されると、それにならって両親も頭を下げて主寝室を出ていきました。
 私の地位の方が上ですし、陛下たちの手前そうせざるを得なかったのでしょうけど、少しさみしいような気がしました。 

「ミラベル様、今日は私たちが側に控えておきますので、ゆっくりとお休みされて下さい」

 リジーとパメラ先生が、レジナルドをベビーベッドに寝かせて、隣の部屋に移動していきました。
 実はかなり疲労困憊でしたので、非常に有り難いです。

「ありがとぉぉ、おやふみぃぃ」

 ベッドにボスンと倒れ込み、素早く夢の世界へと落ちていきました。


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