厨二病設定てんこ盛りの王子殿下が迫って来ます。 〜異世界に転生したら、厨二病王子の通訳者にされました〜【R18版】

笛路

文字の大きさ
上 下
171 / 196

165:初夏になりました。

しおりを挟む



 日々は穏やかに…………穏やかに?
 まぁまぁ穏やかに流れゆき、季節は徐々に夏になって来ています。

「うんしょ、よっ、ほっ!」

 お腹はどんどんと膨らみ、前に前に出てきています。ベッドから起き上がるのも一苦労です。

「……ん? どうした?」
「お手洗いです」
「ん、付き添う」

 最近はおトイレが近くて、夜中にのそのそと起きては……の繰り返し、お腹の中では赤ちゃんが大暴れ、毎夜数回は脚が攣って悶え苦しみ……かなりの寝不足です。
 そして、テオ様ももれなく一緒に寝不足です。

 お手洗いから出ると、テオ様が腰を支えてくださいます。
 ヨタヨタと歩き、ベッドにドフッと座り、コテンと上半身をベッドに倒し、脚をゆっくりと上げる。

「ふいぃぃ」
「一人で行こうとするなよ? ちゃんと起こして」
「はい。ありがとうございます」

 こういう時のテオ様は、ものすごく優しくて、頼りがいがあります。
 ベッドに横向きで寝そべった私に毛布を掛けてくださり、お腹をそっと撫でつつ低く掠れた声で、おやすみ、と囁かれました。

 ――――旦那様が格好良すぎます!

 

 六月の半ば、朝も少し蒸し暑くなってきたその日、食堂で朝食を摂っている最中に、パチン、と小さな音がしました。
 何の音だろうなぁと思いつつ食事を続けていましたら、お尻に濡れた感覚がありました。
 不審に思って立ち上がりましたら、イスが濡れています。

「ええぇ? 食事中にすみません、漏らしてしまいました」

 まさかの尿意に気付かずに漏らすとは。
 今もちょぼちょぼっと漏れ出ていて、かなり恥ずかしいです。
 子宮で膀胱が押さえられて、感覚が鈍くなってはいるものの、漏らすほどにまでなるとは……。

「「……」」
「お嬢様、それは、たぶん破水です」
「はすい…………破水!」

 先程のパチンはそれでしたか! と驚愕していましたら、私の鈍感さに驚愕するとテオ様とザラに言われてしまいました。
 こういう時のディスりはテオ様とザラがタッグを組んでしまうので、勝ち目がありません。
 なんならリジーやロブさえも、あちら側に参戦してしまいますし。

 とりあえず、お股にバスタオルを挟みながら主寝室へと向かいました。
 非常に滑稽な格好です。



 前駆陣痛もまだ無いのに破水したので、大丈夫かと聞きましたら、『前期破水』といい、陣痛がまだでも、ほとんどの人が一日以内で陣痛が起こり出産に至る、とのことでした。

「とりあえず、腰をえぐるような痛みが十分起きになったら、準備を始めますので、それまでは安静にしていれば、飲食等もして大丈夫ですよ」

 専属医のパメラ先生に軽く診察してもらい、少しホッとしました。
 子宮口が開くまで、体力温存とエネルギー補給が私の仕事だそうです。

 テオ様はコーディに指示を出し、数日の休みを確保していました。素早いです。
 コーディが、こんな時だけ異常なほどの優秀さを出さないで下さいよぉ。とか俯いてブツブツとボヤきながら主寝室を出ていきました。

「よし、いつでも出てこい!」

 テオ様が張り切ってありますが、たぶんまだ十数時間くらい経たないと出てこない気がします。
 だって、まだなんにも痛くないんですもの。


しおりを挟む
script?guid=on
感想 6

あなたにおすすめの小説

溺愛彼氏は消防士!?

すずなり。
恋愛
彼氏から突然言われた言葉。 「別れよう。」 その言葉はちゃんと受け取ったけど、飲み込むことができない私は友達を呼び出してやけ酒を飲んだ。 飲み過ぎた帰り、イケメン消防士さんに助けられて・・・新しい恋が始まっていく。 「男ならキスの先をは期待させないとな。」 「俺とこの先・・・してみない?」 「もっと・・・甘い声を聞かせて・・?」 私の身は持つの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界と何ら関係はありません。 ※コメントや乾燥を受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。

イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。

すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。 そこで私は一人の男の人と出会う。 「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」 そんな言葉をかけてきた彼。 でも私には秘密があった。 「キミ・・・目が・・?」 「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」 ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。 「お願いだから俺を好きになって・・・。」 その言葉を聞いてお付き合いが始まる。 「やぁぁっ・・!」 「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」 激しくなっていく夜の生活。 私の身はもつの!? ※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 では、お楽しみください。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

不吉だと捨てられた令嬢が拾ったのは、呪われた王子殿下でした ~正体を隠し王宮に上がります~

長井よる
恋愛
 フローレス侯爵家の次女のレティシアは、この国で忌み嫌われる紫の髪と瞳を持って生まれたため、父親から疎まれ、ついには十歳の時に捨てられてしまう。  孤児となり、死にかけていたレティシアは、この国の高名な魔法使いに拾われ、彼の弟子として新たな人生を歩むことになる。  レティシアが十七歳になったある日、事故に遭い瀕死の王子アンドレアスを介抱する。アンドレアスの体には呪いがかけられており、成人まで生きられないという運命が待ち受けていた。レティシアは試行錯誤の末、何とか呪いの進行を止めることに成功する。  アンドレアスから、王宮に来てほしいと懇願されたレティシアは、正体を隠し王宮に上がることを決意するが……。  呪われた王子×秘密を抱えた令嬢(魔法使いの弟子)のラブストーリーです。  ※残酷な描写注意 10/30:主要登場人物•事件設定をUPしました。  

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

波間柏
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

責任を取らなくていいので溺愛しないでください

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
漆黒騎士団の女騎士であるシャンテルは任務の途中で一人の男にまんまと美味しくいただかれてしまった。どうやらその男は以前から彼女を狙っていたらしい。 だが任務のため、そんなことにはお構いなしのシャンテル。むしろ邪魔。その男から逃げながら任務をこなす日々。だが、その男の正体に気づいたとき――。 ※2023.6.14:アルファポリスノーチェブックスより書籍化されました。 ※ノーチェ作品の何かをレンタルしますと特別番外編(鍵付き)がお読みいただけます。

処理中です...