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161:かーらーのー。

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 結婚式かーらーのー、初夜。
 すっかり、完全に、まるっと、忘れていました。
 まぁ、どのみち出来ませんし、しませんけど。

「だからコレを着せられたのですね」
「ん。ミラベル――――」

 テオ様が、ちゅ、と軽くキスしてきたあと、私を抱きかかえて、ソファから立ち上がりました。

「しませんよ?」
「……ったく。わかってる」

 ただイチャイチャしたいそうです。

 ――――まぁ、それくらいなら? 
 


 ベッドに寝そべり、二人でイチャイチャ。
 軽くキスしたり、舌を絡めたり、指を絡めたり。

「ミラベル」
「はい?」
「ミラベル・フォレスター…………」
「なんですか?」

 テオ様に、ボソリと名前を呼ばれました。
 異色の瞳が妙にうるうるとしています。

「ミラベルが……私の、妻」
「っ、はい。そうですよ」
「ん。ミラベル、ありがとう。愛しているよ」

 どうやら、私がテオ様の妻になった事を、いまさら実感しているようです。
 バードキスを繰り返しながら、何度も何度も『愛している』と囁かれました。
 久しぶりに、テオ様が格好良いです。

「私も、愛していますよ」
「ん。ありがとう」



 初夜は、テオ様に腕枕をしてもらい、お喋りしながら眠りに就きました。
 そういえば、エロ衣を着た意味はあったのでしょうか?

「……」

 気になって、朝一番でテオ様に聞きましたら、すぃぃぃぃっと目を逸らされてしまいました。
 おんやぁ? と怪しみつつ、問い詰めましたら、「ミラベルが眠ったあとで、ちょっと…………抜いた」と言われました。

「ぬい……た?」
「ヌいた」
「ぬいた?」
「オナニーした」
「……さて、お腹も減りましたし、食堂に行きましょうか」

 聞かなかった事にして、朝食を頂くことにしました。
 テオ様が後ろから、怒ったのか、引いたのか、照れたのか、濡れたのか、どれか教えろとか、謎の問いかけをしてきますが、無視です。無視無視。

「結婚生活二日目で無視するな……」

 テオ様がぷりぷり言っていますが、顔がニヤニヤしているので、放置で大丈夫です。



 そんなこんなで、ぬるっと始まった結婚&新居生活ですが、二日間のお休みのあと、テオ様は執務を再開されました。
 私は後回しになっていた妃教育や第二王子宮の采配をすべく奮闘中です。



 なんやかんやとやっているうちに、気付けば春はもうすぐそこまでやって来ていました。
 ザラのお腹は、はち切れんばかりに膨らんでいます。

「そろそろ産休に入ってよ。あと、双方のご両親もそろそろ呼ぶのよ?」

 ザラが頑なにここで産むと言うので、ザラとロブのご両親をこちらの宮に滞在させて、初孫出産に立ち会えるように、と勧めています。
 ザラもロブも、両親を第二王子宮に滞在させるのは流石に……と遠慮していますが、テオ様も滞在させていい、と言って下さっているので、二人が行動しなければ、私が強制施行しようと思っています。

「っ……わかりました。自分たちで連絡しますから」
「絶対よ?」
「はい」

 実は、ザラのご両親にはお会いしたことが無かったので、ちょっとワクワクしています。
 ロブのご両親とは『B級グルメ』の時に何度かお会いして、料理について色々と話したことがありました。
 おばさまと手料理談義、またしたいです。


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