厨二病設定てんこ盛りの王子殿下が迫って来ます。 〜異世界に転生したら、厨二病王子の通訳者にされました〜【R18版】

笛路

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閑話:妻を裏切って娼館に通う。(前編)

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 宰相補佐になり、伯爵の地位を父から継ぎ、仕事に明け暮れていた……というよりは、押し潰されかけていた。
 そんな折に、親友のユージン・ドゥルイットから、彼の恋人――後に妻になるアシュリー嬢の友人を紹介された。

 クリーム色に近いブロンドヘアーとアンバー色の瞳を持ったご令嬢は、ベリンダと名乗った。



 ベリンダ嬢と何度かデートを重ねる内に、背が少し高めでスラッとしているのに、顔はぽんやりとした柔らかさのあるアンバランスさ、思ったことをすぐに言ってしまう迂闊さ、何でも美味しそうに食べる姿に癒やされるようになった。
 半年もしない内に本気でベリンダ嬢に惚れた。

 形式に則り、彼女の父上に求婚の申込みをし、彼女に求婚し、一年の婚約期間を設けることになった――――。



「は? 娼館に、私がですか?」
「結婚を控えている大切な時期にすまない。…………頼む。全てを曝け出し、頼れるのはお前しかいないんだ」
「……かしこまりました」

 元々は宰相閣下の私的な問題ではあったものの、国を揺るがしかねない犯罪の可能性もあった為、知る者は最小限にし、現地で調査をすることになった。



「スペンサー、娼館通いしてるという噂が立っているぞ。何があった?」
「……別に何も?」
「妻には伝えていないが……裏切るなよ?」

 裏切るつもりなんて毛頭ない。そう言いたいが、言えない。



「おや? 貴殿は先日婚約されたばかりでは?」
「まぁ、そうですが……ね」
「身持ちが硬いのはいいことですが、発散させないと辛い、と女性は理解してくれませんからなぁ」

 お前と一緒にするな。そう言いたいが、言えない。



「あの…………っ、いえ、何でもないです」

 ベリンダが、潤んだアンバーの瞳をそっと伏せ、薄桃色の唇をキュッと噛んだ。
 彼女も知ってしまったのだろう。
 逃げ出しそうな彼女の腕に手を伸ばし、引き寄せて、抱きしめて、口付けをした。

「あと半年で結婚式だね。待ち遠しいね?」
「…………っ、はい」

 違うんだ。
 信じてくれ。
 仕事なんだ。
 君を裏切ってなんていない。
 愛している。

 そう、伝えられたらどんなにいいだろう。
 そう、伝えたとしても、ただの言い訳にしか聞こえない気がして、何も言えなかった。



 いつからか、ベリンダは私といても外向きの顔をするようになってしまった。
 結婚式の今日でさえも…………。

「では、失礼いたします」

 全て滞りなく終わり、夫婦の寝室のベッドに二人並んで座った。
 後ろから腰にそっと手を回すと、ビクリと震えられた。
 初めは緊張からだと思っていた。
 抱きしめて暖かさを堪能した。
 膝に乗せて、唇を重ねた所でベリンダの顔が真っ青になっていることに気が付いた。

「……ベリンダ?」
「スペンサー様、今日は…………娼婦に会いに行かれないのですか?」

 初夜のこのタイミングでのこのセリフ、彼女なりの最大の抵抗だったのだろう。
 小刻みに震えて。勇気を振り絞って。

 もう一度、甘く甘く、どこまでも甘いキスをした。
 口では言えない想いを、唇に乗せて。

「君を、心から愛しているんだ」

 一瞬、花が綻ぶように笑ってくれた。が、すぐに偽物の笑顔に変わってしまった。

「ありがとう存じます」

 そんな顔をしないで――――。



「んっ……あっ、んあぁぁ!」

 何度も手で絶頂へと導き、痛みなんて感じる隙も無いほどに蕩けさせた。
 娼館通いするようになって、唯一自分の為になった情報は、『処女でも、きちんと解して、慣れさせれば痛みは少ない』という事くらいな気がする。

「いやぁ! も、ダメッ!」
「どう駄目なのかな? ベリンダ?」
「い、イクッ……いっちゃう」
「うん。イッていいよ」
「やっ、もぅ、やぁぁぁぁぁん!」

 ビシャビシャと飛沫を飛ばして果てた。
 呆然とするベリンダの頭を撫でて、軽く口付けをした。

「あぅん……」

 少し触れるだけでも刺激に感じるようだった。
 これなら大丈夫だろう。

「ベリンダ、ひとつになろう?」
「スペンサーさまと……ひとつ?」
「あぁ、そうだよ。ほら、私のモノが君の中に入りたいと言っている」

 昂ったソレにベリンダの手を添えると、彼女が真っ赤になってギュッと目を閉じた。

「ひとつに…………なりたいです」
「っ!」

 あぁ、なんて可愛いんだろうか。
 彼女の顔色を伺いつつ、ゆっくりと自身を埋めた。
 やはり痛かったようだが、娼婦たちが言っていたような、『引き裂かれ、叫ぶほどの痛さ』ではなかったようでホッとした。

「痛いのに頑張ったね。ありがとう」
「はいっ。ひとつに、なれましたね」

 嬉しそうに、心から微笑むベリンダが愛おしい。
 暫くの間、彼女の中に留まり、なるべく動かないようにしていた。

「これからは、スペンサー様の腕の中は、私だけの場所ですよね?」
「…………」

 幸せそうに微笑む彼女を見て、全身が凍りつきそうだった。
 言えない。
 まだ娼館に通い続けなければならない、なんて言えない。

 彼女の中で萎えてしまったモノを取り出し、用意されていた布で彼女と自身を拭き清めた。
 初めてのことばかりで疲れただろうから、そう誤魔化して、ベリンダを抱きしめて眠りについた。
 起きたら、彼女はベッドから消えていた。



 慌てて屋敷中探してみれば、自分の寝室でぐっすりと眠っているベリンダを発見した。
 両手両足をダイナミックに開いて、とても安心しきっている雰囲気だった。

 ベリンダの手足を閉じ、横に滑り込むと、彼女が寝返りを打ってこちらを向いた――――。

「――――ヴグッ⁉」

 股間に激痛。
 飛びかける意識。
 かすむ目で視線を下半身にやると、彼女の膝がクリーンヒットしていた。

「べ……リンダ…………」

 起きているのか?
 怒っているのか?
 嫌われてしまったのか?
 元々、嫌われていたのだろうか?

「ベリンダ?」

 何度声を掛けても、スヤスヤと安心しきった寝顔のベリンダ。……に、ボコボコに殴られた。
 きっと、夢の中でストレスを発散させているのだろう。
 きっと、いや、絶対に私が原因のストレスだろう。
 全て私が受け止めてみせる!


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