厨二病設定てんこ盛りの王子殿下が迫って来ます。 〜異世界に転生したら、厨二病王子の通訳者にされました〜【R18版】

笛路

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146:縦横無尽なる寝相。

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 三人でベッドのヘッドボードに背中を預け、二つのベッドを縦横無尽に動き回るベリンダ様を眺めていました。

「凄いわね……」
「……凄いですね。あんなに転がって酔わないのでしょうか?」
「ミラベル様が気になるのはそこなのですか⁉」

 いえ、他にも、何故に頭が足元に行ったり、枕に戻ったりするのかも気になりますし、故意としか思えない蹴りやパンチも気になります。

 時々近寄ってくるので、三人でザッと避けたりして、ちょっとしたアトラクション扱いです。

「それにしても、と一緒に寝れるのですから、ベリンダ様の旦那様は相当愛していらっしゃると思うのですよね」

 ヘレナ様がとうとう扱いをしてしまいました。

「確かに。と寝るのは相当な愛が無いと無理ですわね」

 アシュリー様も悪ノリしてしまい、ちょっと大きな声で笑ってしまったのですが、ベリンダ様は相変わらず爆睡されたままです。

 わたくし的には、ベリンダ様の旦那様が娼館通いされているという話が、ずっと喉の奥に引っかかっています。

 貴族の子息は、娼館で閨指導を受けると聞いたことがありますし、騎士たちはわりと血気盛んなので、そういったところで熱を発散されるともお伺いしています。
 ですが、アンダーソン伯爵は文官なのに、と思ったのです。
 文官でも他所で熱を発散させないと、妻では足りないのでしょうか?
 それとも、ただ単に気が多い方なのでしょうか?
 
「私はお会いした事がないのですが、どのような方なのですか?」
「そうですねぇ――――」

 見た目は、少し派手めの方らしいのですが、性格はとても穏やかで、ベリンダ様に一筋にしか見えないそうです。
 紹介はアシュリー様からだったそうですが、伯爵の方がベリンダ様にアタックされ、少しお付き合いをされたあと、求婚されたとのことでした。

「何か理由があるのでしょうかね?」
「私は、そう信じたいですわ」

 取り敢えず、ベリンダ様に助けを求められたら、必ず助けましょうね、と三人でお約束しました。



 そんなこんなでベリンダ様を眺めつつ話していると、朝日が登り始めました。

「ふぁぁぁ……もう朝になりましたのね。何故か眠いですわ」
「えぇ、本当に、何故か眠いですわね」
「あははは!」

 アシュリー様とヘレナ様の会話に笑っていましたら、ベリンダ様がビクリと起き上がり、キョロキョロとしだしました。

「え、へ? あら? おはようございます?」
「「おはようございます」」

 うふふとアシュリー様が笑いながら、次からはベリンダ様とは同じベッドで寝ないと宣言されました。

「ううっっ、やはりご迷惑を……」
「ええ、途轍もなく。だからこそ、伯爵はベリンダ様を裏切るようなことはされていないような気がするのです。だって、一緒に寝られているのでしょう?」
「…………はい」

 帰って、旦那様とよく話し合ってね、と三人で励まして、パジャマパーティーを終了しました。


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