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140:ドン引きの回数。
しおりを挟むアシュリー様はフレアースカートタイプの甚平を来て少しご機嫌が戻られたようです。
「袖のつなぎ目はレースになってるのね。涼しくていいわねぇ」
本来はたこ糸などで繋がれているのですが、レースにしてオシャレ感を出してみました。
内側と外側の二ヵ所で紐を結ぶだけで良く、楽に着れるというのもお気に召されたようです。
ヘレナ様とベリンダ様はハーフパンツを選ばれました。
「寝相はいいの?」
「主人に見られなければいいのです!」
フフンと胸を張って鼻息荒く返事されたベリンダ様の様子に疑問を抱きました。
そもそも、旦那様にはほとんど見られてしまっているのでは? と。だって、夜の営みとかもしますし、後始末も寝ている間にされてしまいますし……。
「……え、意識を失うほど⁉」
「自力で体を清められないほど⁉」
「アイツ、抱き潰してるの⁉ キモッ」
三者三様にドン引きされました。
アシュリー様にいたっては、ちょっと方向が……いや、違いませんね。いつもどおりの反応ですね。
そして、これはザラとすり合わせした時と同じパターンですね。
そして、夜のお話になったので、妊娠したことを伝えると、お三人から抱きしめられ、お祝いのお言葉をいただきました。
床に敷いておいた土足厳禁のカーペットの上に四人で丸く座って、真ん中に置いてあるオヤツを食べながらモソモソと話しながら、情報収集です。
「えっ⁉ 六時間…………」
「皆様は、どのくらいなんですか? 間隔とか、回数とか、時間とか」
「私は三日に一度、一時間くらい? でも、多いし長いと聞いたわよ⁉」
「えっ……」
――――あら?
ロブも結構多いようだったから、そもそもこの世界の男性が……と思っていましたが、アシュリー様のお話で、何だか様々な疑惑が出てきました。
「アイツ、やっぱり猿ね」
「……私も、そんな気がしてきました」
――――猿というか、絶倫というか。
「…………ねぇ、ヘレナ様はどのくらいなの?」
「え? 私は週一で、たぶん三十分くらいよ。始まるまでと、終わってからのおしゃべりなんかは一時間くらいしてるけど……どうしたの?」
ベリンダ様がどんどんと暗い顔になっていきます。何となく、目も潤んで来ているような……?
「私、結婚してもう二年経つの!」
「は、はい」
「なのにっ……なのに、まだ今年になってから三回しかそういうことしてないの…………」
「「えっ⁉」」
ちなみに去年は、というか、数えてるのですかという質問に、ベリンダ様がじっとりとした目つきで「六回」と言われました。
六回、平均、二ヶ月に一回……新婚なのに、六回……。
「旦那様、凄く……我慢強くていらっしゃるのね?」
「あの人、結婚前も今も、足繁く娼館に通っていますの」
「「……」」
ぐうの音も出ないとはこういうことなのですね。
「だ、旦那様とご相談や話し合い――――」
「出来ないわよっ!」
ベリンダ様は、伯爵から押しに押されて結婚された、とお伺いしていたので、娼館通いには本当にびっくりしました。
お付き合いしている頃から、通われてあったらしいのですが、『話せない理由がある。私を信じてくれ。絶対に君を裏切ったりはしない』と言われたらしく、この三年ほど、ずっと一人で抱え込んでいたそうです。
瞳に涙を溜めたベリンダ様を三人でキュッと抱きしめて、背中を擦りました。
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