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134:侍医に確認した。 side:セオドリック
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ミラベルが妊娠したようだとザラに言われ、ミラベルが寝ている間に侍医に相談した。
あの事件以来、年配の侍医でさえも嫌だと言うミラベル。
それを無視して、寝ている間に診察させる気にもなれず、どうしたものかと考えていたら、侍医が城下町には女医者もいると言い出した。
ならば、面談のち相応しそうならば専属として打診して良いと侍医に命じた。
そもそも、今現在は診察してもそれほど判ることはなく、ザラやリジーの報告での判断で充分との事だった。
ミラベルに二人で報告がしたかったと言われ、慌てて執務室で予定を確認した。
幸いなことに私の明日の執務は別日に伸ばしても大丈夫そうだ。
――――あとはあの二人だな。
両親の寝室の扉を叩くが出てこない。
もう寝ているのか? 老人か! と苛立ちつつ、再度扉を叩くと、ややあって扉が少し開いた。
「……何だ?」
「…………」
いつも綺麗に整えられている髪を少し乱し、シャツのボタンを半分ほど開けて着崩した格好の父上が、途轍もなく不機嫌そうな顔をしていた。
あと、唇が少し赤く染まっているのが、妙に目立っていた。
「お忙しいところ、申し訳ありません」
「……あぁ」
明日の朝食後に時間をもらったので、素早く立ち去ることにした。
両親の情事など想像もしたくない。
あと、母上の香水の匂いが妙に鼻に付く。ミラベルの匂いで癒やされたい。
ミラベルの部屋に行くと誰もいなかったので、夫婦の寝室に向かった。
ベッドの上に小さく丸まった物体がある。
ミラベルは一人だと、少し丸まって寝る癖があるようだ。
――――ふっ、可愛いな。
穏やかな寝息を立てるミラベルを起こさないように手早く風呂を終わらせ、ベッドに入ろうとして異様な光景に気が付いた。
ミラベルの鼻と口が、聖鎧の入り口に入っている。
脳の処理が追い付かない。
言葉が変だが、入っているのだ。鼻と口が。
まるで顔から聖鎧が生えているかのような格好。
「ミラベル?」
ゆさゆさと肩を揺らすと、ミラベルがバチッと目を開いた。
きょどりとした眼で私を見て、聖鎧を見て、また私を見た。
見る見るうちに顔を真っ赤にし、ぎゃぁぁぁ! と叫んで聖鎧を投げ捨てると、布団の中に潜ってしまった。
「ミラベル、何してたんだ?」
――――自慰か? 自慰なのかっっ⁉
「ミラベル?」
――――くそっ、もうちょっと早く戻れば!
「ミラベル、出ておいで?」
――――何のご褒美だ⁉
「ミーラーベールー?」
「っ、煩いですっ!」
「ねぇ、怒らないから。何してたか教えてくれないか?」
ミラベルが布団からヒョコッと鼻まで顔を出して「引かないですか?」と聞いてきた。
ブンブンと頭を縦に振って、ニヤける顔を叱咤しつつ、ミラベルが話しやすいようにと床に膝を付き、視線を合わせた。
侍医から、妊娠初期に性欲が減退する者と、増進する者がいると聞いた。
ミラベルは後者なんだな⁉
ついでに、挿入や中出しは禁止だが、軽い自慰ならば大丈夫だと確認している。
そして、自慰がいいのであれば、私が手でしてもいいし、ミラベルの手伝いをしてもいい、と!
残念なことに、口は駄目だと言われたが……。
――――大丈夫だっ! ちゃんと手伝えるぞっっ!
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