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132:変態ですか?
しおりを挟むううーんと伸びをして、ふと窓の外を見ると、真っ暗でした。
スースーと寝息が聞こえる方向に視線を向けると、テオ様が私の部屋のソファに座り、脚と腕を組んで眠っていました。
テーブルには夕食らしきものが一人分置いてあります。
きっと、私の分なのでしょう。
イスに座り、ゆっくりと咀嚼しながら食べ始めましたが、また途中で気持ち悪くなりました。
たぶん、おやつのクッキーが消化不良を起こしているのでしょう。
食事を終わらせ、テオ様の横にそっと座りました。
「テオ様、テオ様!」
「ん……あ、みらべる、おきたの?」
とろんとしたお顔で、少し舌っ足らずな感じのテオ様は、妙にエロいです。
ちょっとお腹がぞわぞわします。
「テオ様――――」
ちゅ、と唇を寄せて重ねました。
テオ様とのキスは、ふわふわとしていて、甘いです。
「テオ様、今朝はごめんなさい」
喉の奥に入れすぎて、えずいてしまうなんて。しかもテオ様を吐いたものに塗れさせてしまうなんて。本当に申し訳無いです。
「…………ん」
頬をほんのりと染めたテオ様が、キュッと抱きしめて来られました。
「どうされました?」
「っ、ミラベル、本当に、ありがとう」
――――吐瀉物を浴びせられて感謝?
「変態ですか?」
「をい。何をどう受け取った⁉」
受け取ったというか、考えていたことを説明しましたら、ガックリと項垂れられました。
「違う、そうじゃない」
「へ?」
「ミラベル、最近、ずっと体温が高いよな?」
「え、はぁ、たぶん」
「妙に眠かったりしないか?」
「ええ、しますね」
パーティーの計画や準備で大あらわでしたから。
でも、それも終わり。数日はゆっくりできますわ!
「ミラベル、月のものは?」
「え……あ、そういえば遅れてますねぇ。すっかり忘れてました! 明日辺り来そうですわ。なんだか体調が悪――――」
「――――来ない」
いま、言葉が被って良く聞こえませんでした。
「月のものは来ない」
「あ、はぁ。昨日しそこねましたしね……軽めでお願しますね?」
まだちょっと体調悪いんですよねー。と話していましたら、テオ様がガックリと肩を落とされました。
「違う、そうじゃない」
「何が?」
「いいか、ミラベル」
「は、はい」
ガシッと両肩をテオ様に掴まれました。
何でしょうかこの真剣な面持ちは。かなり珍しいです……。
「状況と時期から考えて、その気持ち悪いというのは、悪阻だ」
「つわり……」
「ん。妊娠している可能性が高い」
「あ、あー! それで!」
ポンと手を叩いて納得していましたら、テオ様がまたもやガックリと項垂れていらっしゃいました。
「こう……泣けとまでは言わないが…………嬉しく、ないの?」
ポツリと呟かれた言葉がとても可愛らしくて、キュンとしてしまいました。
テオ様の頭を撫で撫でしつつ、少し屈んで視線を合わせました。
「はい、嬉しいです!」
そう言うと、テオ様がびっくりするほどに光り輝く笑顔になられて、私の両頬を包み、甘い甘いキスをして下さいました。
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