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121:どこ情報⁉

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 フンスフンスと意気込んで、ふわふわ金髪のシャロン様について、サロンの端の方に行きました。

「ごきげんよう」

 皆様にご挨拶して、お名前をお伺いしました。
 継承権十位以降の方の奥様やご令嬢で、年齢は三十代から二十代前半でした。
 一族名鑑の内容を思い出しつつ、お名前と照らし合わせていましたら、シャロン様がずずいっと顔を近付けて来られました。

「ミラベル様!」
「はひっ!」
「こちらに並んでいるお菓子は、ミラベル様の領地で開発されたのですか? アシュリー様からは、ミラベル様の発案だとお伺いしてましたが」

 ――――あれ? そっち?

「あ、はい。それらが入り混じっていますので……おひとつずつご紹介しましょうか?」
「「ぜひ!」」

 何か、後ろからも声がいっぱい聞こえた、と思い振り返りましたら、老若問わずの女性陣がワサッと集まられていました。



「――――で、こちらが湯煎したタイプのチーズケーキで、焼いただけのものより、しっとり滑らかになっております。次に、スフレタイプですが、ふわふわジュワッとした口当たりの軽い食感のせいで、気を抜くとワンホール食べてしまいそうになります」

 私の説明を聞いて、それぞれが、食べたいものをお皿に取って行くという謎のシステムが発生しました。

 ワンホールは流石に食べ過ぎですよ、とか聞こえません!
 ミラベル様のお腹は底なしなので、とか口を滑らせたリジーには横腹チョップをしておきました。

「ごほん! こちらのカラフルなものはマカロンと言いまして、アーモンドパウダーと卵白と砂糖というシンプルな材料ではありますが、そこに様々なフレーバーを加えています。茶色のものはチョコ、ピンクのものはストロベリー、白っぽいもので黒い粒が見えるのは紅茶、紫のものはカシス――――」

 マカロンはとても拘っています。
 外はザックリパリッと、中はしっとり、クリームは芳醇で滑らかに。と、私は口で伝えただけですが。
 シェフ達が昼夜問わずに頑張って、開発して下さったことをしっかりとアピールしておきました。

「んっ! んんーぅ!」
「んんんー!」

 私の説明を聞きながら、パクリとマカロンを口に含んだシャロン様たちが、口を押さえて目をキラキラさせていました。

 分かります。
 口に含んだ瞬間から鼻に抜ける香りのよさ。
 飲み込む前から叫びたくなるのですよね。
 分かりますっっっ!

「美味しいでしょう⁉ マカロンは王城シェフたちの努力の結晶なのです!」

 続いて説明したかき氷も大好評でした。
 メニュー表の説明をしつつ、王妃殿下にご紹介頂いた画家様の傑作で――、と話していましたら、王妃殿下の横に佇むテオ様が、ものっそいダークネスなお顔をされていました。
 バッと背を向けて見なかったことにしたのですが、背中にビシバシと何だか痛い視線かビームが当たっているような気がします。

「ミラベル様、殿下のお顔が――――」
「エスカー様、きっ、気のせいです!」
「あれは、明らかに嫉妬している顔よ?」
「ユリアナ様、気のせいで――――」
「「気のせいじゃないわよ」」
「うぐぅ……」

 周りにいた方から、『気のせいじゃない』と何度もステレオで言われてしまいました。

「それにしても、噂より嫉妬が酷そうですわね」
「えぇ。あれ、絶対にねちっこいわよぉ」
「あ、私聞きましたの! 先日、ミラベル様をベッドの上の住人にしてしまったから、『世話をするため、今日は指導しない、訓練は自主でやるように』と言い残して颯爽と消えられたとか」
「「きやぁぁぁ」」
「「やだぁ、そんなに⁉」」

 ――――をい!

 どこ情報網ですかそれ! 先日ってか、一昨日と昨日の話ですわよね⁉
 てか、あのファション厨二病野郎! 何を堂々と宣っていらっしゃいますの⁉ 脳内に何か湧いてますの⁉
 ちょっと、本気でシバくべきな気がしてきました。


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