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117:どうしても続けたいなら、別。
しおりを挟むあれ? あれ? と言っている間に、抱えられ、夫婦の寝室に連れ込まれました。
そして、あんれぇぇ? と首を傾げている間に、全裸にされていました。
あれから何時間経ったのでしょうか?
今はベッドに横になり、テオ様に後ろ抱きにされてウトウトとしています。
ゆるゆるとナニかが出し入れされていますが、もう反応も出来ないほどに疲れ果て、意識が飛びそうです。
何時間か前に、「二時間というお約束をしていたはずですが……」と伝えると、にっこりと笑われました。目が全く笑っていないやつで。
「週二の二時間は、ミラベルが、私に、課した制約だよな?」
「え、はい」
「ならば、ミラベルが、どうしても続けて欲しくなった時は、別だよな?」
いや、そんなことにはならないです…………という反論を出せないくらいに色々とありました。ほんと、色々と……。
「てぉ…………も、眠い……です」
「ん、寝ていいよ」
よしよしと頭や頬を撫でてくださいます。優しいです。
でも、腰もゆさゆさ揺らし続けてきます。優しくないです。
「も、むりぃ…………腹上……死、す…………る」
「腹上死? どちらかと言うと、大概は下にいるが? そもそも、性交死と言うべきだ。あと、ミラベルは健康だから、その可能性は限りなく低いだろう。例えば――――」
テオ様が何か医学的には、とかなんとかグタグタと宣いつつ、腰を振っていらっしゃいましたが、私の意識は温かい夢の中へと旅立ちました。
「ん…………っ、ケホッ」
起きましたら、喉がカラカラでした。
水を求めてサイドボードに手を伸ばそうとしましたら、手がうまく動きませんでした。
プルプルです。手もですが、全身プルプルです。ちょっとでも動かすと、鈍痛と震えがきます。
「……テオ様?」
隣にはテオ様はいませんでした。
窓から見える空は薄い紫で、雲はオレンジ色に反射していました。とても美しい色合いです。
…………明らかに朝焼けではありません。
暫くぼぉっと外を眺めていましたら、ザラが部屋に入ってきました。
「あ、お嬢様。起きられたのですね。体調はいかがですか?」
「…………み、ず」
「はい。お体を少し起こしますね」
ザラとリジーにベッドから起こしてもらいました。
背中にはたっぷりのクッションを挟んで、グラスに入った水を両手で受け取りました。
「っ、ふぅ……」
「ミラベル様、大丈夫ですか?」
リジーがとても心配そうな顔で聞いてきます。口を開けるのも、声を出すのも億劫で、こくりと頷きました。
ザラとリジーがホッとした顔になり、明日はどうにか行えそうですね、とにこやかに話しているのを聞いて、妙な違和感が生まれました。
「ざら……あした、なに?」
ザラとリジーが私の方を向いて、ぽかんとしています。
そして、ハッとして説明してくれました。
私、二日近く寝ていたそうです。
途中でトイレ等に起きていたそうですが、全く記憶がありません。
「どうりで。お返事が適当だったのは、寝ぼけてあったからなのですね」
漏らしたり、何か、恥ずかしいことになっていなくて良かったと思うとともに、一番気になっていることを確認したくなりました。
「テオ、さまは?」
「もう数十分で戻られると思いますよ」
テオ様が戻ってこられるのを待つ間に、ご飯を食べることにしました。
ヘッドボードに重ねられたクッションに体を預けて、食休みをしていると、扉がそっと開きました。
「っ…………ミラベル」
夫婦の寝室におずおずと入ってきたテオ様は、びっくりするほどに悲しそうなお顔をされていました。
俯きがちにベッドに近寄られると、両手で私の頬を包み、おでこにゆっくりと柔らかいキスをしてこられました。次に、目蓋、鼻。そして、最後に唇。
コツンとおでこ同士をくっつけて、ごめん、と泣きそうなお声で謝られました。
「本当に性交死しそうなほどに攻めていたとは思わなかったんだ……」
「…………」
いや、もっと他に言うことあるだろうが! と叫ばなかった私を、誰か褒めて下さい。
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