厨二病設定てんこ盛りの王子殿下が迫って来ます。 〜異世界に転生したら、厨二病王子の通訳者にされました〜【R18版】

笛路

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閑話:2.22 あの日のザラとロブ。

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 お嬢様の衣装部屋には、イベント用の棚があります。
 二月二十二日用の棚には、猫の日の夜着が用意されていました。

 お風呂上がりのお嬢様に、説明書の手順に従い、装着していきますが、解らないことがありました。
 『尻尾はゆっくりと装着する。首輪同様、飼い主自らが装着することもある』と書いてあるのですが、尻尾の金具を装着する場所が解らないのです。
 取りそこねたフックか何かがあるのかと探しましたが、見付からないので、セオドリック殿下に委ねることとしました。



 何故か特別報酬をいただける事になりました。
 尻尾は、セオドリック殿下自らが装着する方向で大丈夫なようでした。

 部屋に戻ると、もうすぐ一歳になる娘はしっかりと寝ている、一緒に見に行くか? とロブに聞かれたので、こくりと頷きました。

 お嬢様のお世話があり、部屋に戻るのが遅くなる日は、ロブと二人で娘の寝姿を見る事にしているのです。

「大きくなったわね」
「あぁ」



 お風呂から上がり、髪を乾かしながら寝室に戻ると、ロブがタオルを受け取って、乾かしてくれます。
 いつの間にか始まった、二人の習慣。

「ありがとう」
「ん。今日は、どうだった?」

 いつもならここで、今日の出来事を話したり、明日の連絡事項などを済ませてしまうのですが、気になっていたことがあったので、ついつい聞いてしまいました。

「……その…………尻尾の金属は、肛門に挿すやつだ」
「…………はい?」

 何度、頭の中で反芻しても、理解が及びません。
 あの金属を、後ろの所に……挿し込む。

「で、ラッピングしたお嬢を、殿下の目の前に置いてきた、と」

 あら、何だかトゲのある言い方に感じます。
 髪の毛を乾かしてくれている手を振り払い、ロブをじっと見つめ、つい言ってしました。

「なに? お姿を想像でもしたの?」
「……」

 少し泣きそうな顔のロブに、ベッドにドフリと押し倒されてしまいました。
 きっちりと着込んでいた夜着を、やや乱暴に取り払われ、裸にされました。

「何度でも疑うといい。そのたびに俺は、ザラを抱くだけだから。貴女を愛し、貴女からの愛を乞うだけだから」



 ぐずぐずに溶かされ、ゆっくりと挿入されました。
 ロブは中に入って来たのに、一切動かずただ覆いかぶさり、私の顔中に啄むようなキスを繰り返していました。

「んっ……」
「ザラ、愛してる」
「んぁ、あっ、も、動いて」
「……仰せのままに」

 何度も何度も、「愛してる」と囁き続けてくれるロブ。
 何度も何度も、嫌な言い方をして、ロブに愛されていると確認してしまう私。

 素直に「本当は信じているわ。私も愛しています」と伝えられたら、彼は心から幸せそうに笑ってくれるでしょうか?



 ******



 凛とした妻と、ほにゃほにゃ笑顔が可愛らしい娘、愛しい俺の家族。
 二人との時間が何よりも愛おしい。

 ザラは、あまり感情を出してくれない。
 時々、頬を染めて微笑んでくれる。
 怒った時は少し、強い口調になる。



 ただ、明日の護衛の任務時間の事を考えていただけだった。
 セオドリック殿下が張り切っているなら、お嬢は昼までは起きて来られないだろうな、と。

 ザラが怒っている。静かに、炎を燃やしている。

「何度でも疑うといい。そのたびに俺は、ザラを抱くだけだから。貴女を愛し、貴女からの愛を乞うだけだから」

 ――――もう、俺の中はザラだけなのに。

 抱いている時は、俺に縋り付いてくれるから。
 愛してると囁くと、頬を染めてくれるから。

「ザラ、愛してる」
「んぁ、あっ、も、動いて」
「……仰せのままに」

 ――――グズグズに融けて、混ざり合おう?

「ひあぁんっ!」
「ザラ、鳴き方が違う」
「っ⁉」
「ちゃんと鳴いて。手伝うから」

 グリッと奥を突きながら、熟れた果実を押しつぶせば、ザラは美しく乱れる。

「にきゃぁぁぁ!」
「っ! 可愛いな。もっと!」
「にゃっ、やっ、今はにゃだぁぁぁ」
「ザラ――――!」



 そうして、翌朝、自分本位のセックスと、短絡さに対する嫌悪感に押し潰され、ベッドに座り頭を抱える。
 大体ここまでがいつのも流れだ。

「ん、ロブ…………もう起きたの?」
「あぁ、少し早い。まだ寝ていて大丈夫だよ」

 気怠そうなザラの頬を撫で、眠るよう促すと、ザラが目を細め微笑んだ。

「ロブ、本当はね、ちゃんと信じているわ。貴方を心から愛しているの」
「――――っ!」

 久しぶりにザラが言ってくれた『愛してる』は、ささくれ立った俺の心の奥深くまで染み入った。
 もういい大人なのに、ザラに抱きついてボロボロと泣いてしまった。

「ぼれもっ、ばいじでる」
「あはは! 何を言ってるから解らないわよ!」

 晴れ渡るような笑顔のザラが愛おしくて、何度も唇を重ねた。
 涙で塩っぱかったのと、鼻水が付いてしまったのは、物凄く申し訳無かった。


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