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102:仲良しよね?

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 取り敢えずロブも解放して、ザラと今後について話し合って来なさい! と命令して、自分の部屋でのんびりと本を読んでいました。

 夫婦の寝室の扉から何故か不機嫌そうなテオ様が現れ、横にドカリと座って来ました。
 その衝撃で私の身体がピョコッと飛び跳ねてしまい、何だか間抜けです。

「ミラベル、私が打ち合わせ等をしている間に、途轍もない暴走をしでかしたようだな?」
「暴走? していませんよ?」
「ロブから報告を受けたが? 好きだった女に告白しろと言ったと」

 あー。言いましたね。
 暴走なのかしら?
 というかロブ、そんなことまで報告してるの? しかもテオ様に? え? 仲良しなの? いつの間に?

「……仲良しなわけがないだろうが。鈍感め!」
「もうっ! 何故みんな鈍感鈍感と言うのですか」
「目をみはるほどの鈍感だからだ」

 なぜ目を瞠られないといけないのでしょうか?
 普通に、ある程度真面目に対応しましたのに。
 ザラの事を思って色々と考えましたのに。

「…………ロブは私に、実行していいかの許可を取りに来た」
「へぇ? やっぱり仲良しじゃないですか」
「……」

 テオ様が恐怖に慄くような顔をし、俯き両手で顔を覆い、絶望的に鈍すぎるぅぅぅ、と嘆かれました。
 かなり失礼ではありません?

「くそっ、もういい。ロブ!」

 そして、何故か軽く悪態を吐いたあと、ロブを呼び付けました。

 ――――何故にここでロブ?

「私は自室にいるからな!」

 テオ様が溜め息を吐きながら私の部屋から出て行き、リジーもニヤニヤしながらそそくさと部屋から出て行ってしまい、ロブと二人っきりにされてしまいました。

「お嬢――――」

 ロブが私の座るソファの足元で跪き、真剣で硬質な表情で見上げてきました。
 何でしょう、この妙な緊迫感は。何か嫌な予感が――――。

「出会ってから、ずっと想いを寄せていました」
「ふへっ⁉」
「異性として、恋愛の対象として、見られていないのは解っていました。でも、俺はずっとお嬢の事を、ミラベル様のことを、愛していました」
「っ、あ……の……」
「ははっ! お嬢、顔が真っ赤ですよ? 少しは動揺してもらえたみたいですね?」

 少しというか、かなり動揺していますが⁉
 え、いつからなの? 出会った頃って?

「で、返事は? 気持ちの整理に付き合ってくださるんでしょう?」
「え、これ、そういうノリ的なやつ?」
「いえ。本気で愛していましたよ?」
「――――っ!」

 全身が真っ赤になっている気がします。
 主に恥ずかしさと、気まずさの方でですが、嬉しさもあります。
 でも、それは主人として、友人として、嬉しいや誇らしいという感情ですが。

「ロブ、ありがとう…………その、私はテオ様一筋ぎみだから、応えられないけれど。でも、ありがとう」 
「ぎみ、なんですか?」
「だって、時々嫌いなのよ……」
「はははっ! ハァ、あー、確かに、スッキリしますね。切り替えに付き合っていただいてありがとうございます」

 ロブの吹っ切れたような笑顔を見て、何だか私もとてもスッキリしました。
 ザラを幸せにしてよねと言うと、ロブがハッキリと返事をしてくれたので、一件落着! 万事順調! 順風満帆! とスキップしながら、テオ様のお部屋に向かいました。



 ――――誰か、この時の私を張っ倒して下さい!


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