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100:日数か回数か。
しおりを挟む取り敢えず、正気に戻った二人に話を聞く事にしました。
「ロブも座って」
「ですが……」
「いいから、座る!」
「は、はい」
それで? と説明を求めると、ザラが深々と頭を下げました。
「この度は、大変申し訳ありませんでした。いかようにも処分を――――」
「え、嫌よ。ザラがいなくなったら、本気で泣くわよ!?」
「っ!」
何故かザラが頬を染めて、ロブには睨まれて。
さっきから、私の『主人株』的なものが暴落していない? 大丈夫? え? 大丈夫なのね。ならいいわ。
「ずっと気分が悪そうだったのは、悪阻なのね?」
「はい」
――――そういうことだったのね。
「それなら悪阻が収まるまでは休みなさい」
「そんなっ! 私が休んだら、お風呂で寝こけようとするお嬢様を叩き起こしたり、ぶ厚くてダサい夜着を着ようとするのを止めたり、あわよくば簡易なワンピースで一日中過ごそうと――――」
「ちょ! それ、ただの小言でしょ!」
「……失礼いたしました」
ザラは取り敢えず、無理せず休み休みで働くと約束してくれました。
「それから、ロブ」
「はい」
ロブがビシッと姿勢を正し、何故か覚悟を決めたような、重苦しい顔で短く返事をしました。
「えっと、別に処分とか言い渡さないわよ?」
「……はい」
「取り敢えず、ザラの悪阻が終わったら、休暇を取ってザラの家に挨拶に行きなさい。それから、ロブの家にも」
「っ、お気遣いありがとうございます」
ロブが深々と頭を下げ、ザラも続いて頭を下げるものだから、とてもいたたまれない気持ちになりました。
だって……私、特に何もしていないし。
「じゃ、ロブは護衛に戻っていいわよ」
ロブをペペイっと部屋の外に追い出しました。
ザラが普通に立ち上がって仕事に戻ろうとしたので、ソファに押し留めて横に座り、体をザラの方に向けました。
「で、毎日って、本当なの⁉」
ずずいっと前のめりになってしまったのは気にしないで欲しいです。
「……いえ、その、本当に毎日というわけではありませんが」
「じゃあ、週に?」
「…………週五日ほど」
「毎日じゃない!」
――――週五⁉ アレを週五⁉
「あの激しい運動を何時間もやるのに、週五⁉」
「何時間? お嬢様? お嬢様は……何時間されているのですか?」
「えっと――――」
晩餐の後、お風呂に入って、直ぐとかだから……。
「たぶん、休憩挟んでだけど、四時間から六時間くらい?」
「六時間⁉ え、あれを六時間ですか⁉」
「え? ザラは何時間しているのよ?」
ザラがあまりにも驚愕な顔をするものだから、気になってきました。
「三十分から一時間です」
「え、そんなに短いの?」
「初めの頃、何回も何回もとしつこく長かったので、ルールを決めました」
「ルール……」
仕事に影響しないように一回だけ。ただし、ロブがしたいと言った日はなるべく断らない、と。
それで週五なのね。
私は週二だから、ちょっとは楽かしら? でも、長いからどの道よね。
「ここ最近はどうしてたのよ?」
「風邪気味で体調が悪い、生理中、でどうにかかわしていました」
――――なるほど。
ちょこちょこぶっ込みつつ、ザラと話した結果、判明したこと。
・ロブは、基本一回で我慢出来るが、日数は多い派。
・テオ様は、回数が多く、日数は我慢出来なくもない派。
「…………どっちも嫌だわ」
「ええ……きついです。普通にゆっくり眠りたいです」
「よねぇ⁉」
前世でもだったけど、猥談は女子でも上下関係でも盛り上がるのね……。
あと、テオ様とルール決めましょう。ルール!
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